理事長からのご挨拶

理事長挨拶

一般の皆様へ

生理学は私たちがどのような仕組みで生きているのかを研究する学問です。日本生理学会には3,000人を超える会員が所属しており、生命現象の仕組みを分子から個体までのあらゆるレベルから明らかにするための研究を日夜進めています。この研究成果は、日本生理学会大会、各地で開催される地方学術集会、日本生理学雑誌(和文学術雑誌)、Journal of Physiological Sciences(英文学術雑誌)において発表されています。また、日本生理学会大会においては、私ども会員が得た研究成果を多くの方々に知って頂くために市民公開講座も開催させて頂いています。日本生理学会員は、私たちの日々の生活に役立つ研究成果と、現時点では日々の生活には直接役立てることが難しいが生理学の学問大系構築に大いに貢献し得る研究成果を求めて日々鋭意努力しています。現時点では私たちの日々の生活にすぐには役立たないと思われる研究成果からも、その研究成果のコンセプトを基盤に多くの薬剤が生まれ、また疾病予防法が開発され、また日々の生活習慣の指針が産み出されることによって、多くの皆様の健康増進に役立っています。日本生理学会は、研究成果を世界に発信すべく、国際学会も開催しています。2009年には京都国際会館において第36回国際生理学連合世界大会を日本生理学会主催にて開催し、世界各地から4,000人の研究者が京都を訪れ、最新の研究成果の発表と討論を行いました。さらに、2019年には神戸国際会議場にて、第9回アジア・オセアニア生理学会連合2019年大会を日本生理学会が主催させて頂きます。アジア・オセアニアから多くの研究者が参加し、生理学の更なる発展に大きく寄与することが期待されています。

人が生きていく上で自らが意識しなくても営まれる機能、例えば睡眠中でも息をし、心臓は働き続けますし、食後腸では食べた食物が消化され体内に吸収されていきます。さらには、腎臓では体内での代謝産物を尿中に排泄する作業が弛まなく行なわれています。これらの生命の営みを「自律機能」と言います。いわゆる自律神経を介した生命機能です。これらの働きは神経のみならずホルモンなどによっても調節されています。一方、買い物に行くために歩こう、コンピュータのキーボードを打とう、暑いので上着を脱ごう等といった自らの意志に基づいて行なう行動、これを「能動的行動(機能)」と言います。自律機能および能動的行動(機能)が如何に調節されているか、その仕組みを研究する学問が生理学です。生理学では、正常機能のみならず、病気になるメカニズムも研究しており、またその病態から機能を正常に戻すための方法も研究しています。さらには、心身の問題も研究対象としています。私自身も最初に「生理学」という言葉を耳にした時にはどのような学問かというイメージが湧きませんでした。皆様も生理学という学問に対して同じような感じを抱いておられるのではないでしょうか?しかしながら、生理学とは日々私たちが生きている仕組みを解明しようとする学問であり、私たちが日々の生活を過ごすにあたり疑問に思う生命現象の謎を解き明かし、病態の解明も行なう学問です。多くの方々に生命が如何に精密な調節機構により営まれているかという不思議さを知っていただけるように、日本生理学会は努めてまいりますので、学会に対するご意見やご質問があれば事務局にお寄せください。

日本生理学会理事長: 丸中 良典(京都府立医科大学)

日本生理学会会員の皆様へ

平成28年3月22日に、日本生理学会理事長(会長)に就任しました京都府立医科大学の丸中良典です。栗原敏前理事長(会長)から理事長職(会長)職を引継ぐことになり身の引き締まる思いです。栗原敏前理事長(会長)は第36回国際生理学連合世界大会 (IUPS2009) の開催の折には副会長(財務担当)として、また日本生理学会の一般社団法人への移行時にも副会長(財務担当)として、日本生理学会の活性化に多大な貢献をされました。会員一同心より感謝申し上げます。栗原敏前理事長は、それまで2名体制でありました副理事長職を6名体制とされ、種々の山積しておりました難題を解決されて来られました。特に、事務局の移転、財政問題などを見事に解決されました。このように日本生理学会の発展に多大なご貢献をされました栗原敏前理事長の後を受けて理事長に就任させて頂くにあたり一言抱負を述べさせて頂きたく存じます。

 個々の研究者の個性と自由な発想を基盤として得られた研究成果により生理学の揺るぎない学問大系が構築されてきました。日本生理学会は会員個々の個性と自由な発想に立脚した弛みない研究・教育(人財育成)への努力の上に成り立っています。日本生理学会は、この生理学の学問構築の神髄を脈々と受け継ぎ、また次世代の研究者へと伝える役目を担っています。振り返れば、私自身、40年以上前に京都府立医科大学の学部学生時代に受けた生理学講義の感動を今でも持ち続けております。生命現象研究分野において分子から個体レベルまでの機能をこれほど美しく体系付けている学問があるのかと感動したことを昨日のことのように覚えております。このような感動を受けたのは私ひとりではないと存じます。生理学という学問大系は非常に巾広い基盤を有しており、かつ奥深いものです。誤解を受けることを恐れずに生理学を一言で語るなら、「生理学とはあらゆる面において自由な学問である」ということです。研究の神髄は、研究の流行を追うことではなく、新たなる研究分野を開拓するオリジナリティー溢れる研究を行なうことです。如何なる制約も受けず、自由に研究する「開拓精神」を持ち続けることこそが研究を推進する最大のモチベーションとなります。もちろん、これは生理学研究に限ったことではありませんが、生理学こそがその先頭に立ち、このことを実践することが、多くの若い人達を生理学研究に引きつけ、若くて優秀な研究者の育成につながると確信しています。この点でも日本生理学会が果たす役割は非常に大きいと存じます。

 生理学研究の醍醐味は、時間を基軸にして生命現象制御機構の概念構築を行なうことにあります。「連続した時間軸を基軸に生命現象をみる」、これこそが生理学研究の醍醐味であり、何と魅力的なことではないでしょうか!自由な発想のもとにオリジナリティー溢れる研究を推進するため日々弛まない努力をされている日本生理学会の会員の皆様方が、その努力の結果得られた研究成果を世界に発信し、このことを基盤として次世代を担う若い研究者を育成していかれるためのより良い環境作りに、元より微力ではございますが、精一杯尽力する所存です。学会運営に関して、会員の皆様方より種々のご意見を賜ることができれば幸いです。会員皆様方より頂きましたご意見を今後の日本生理学会運営に生かし、会員皆様の研究教育面でのさらなる飛躍と日本生理学会のさらなる発展につながる様に努力して参りますので、何卒宜しくお願い致します。

 日本生理学会理事長: 丸中 良典(京都府立医科大学)