003.言語は特別-文法を担う大脳の部位を発見

脳科学の進歩に伴い、人間の脳の活動を画像として捉える機能的MRI(磁気共鳴映像法)を用いて、心のさまざまな機能の座が、脳のどこにあるかを調べられるようになってきた。しかし、人間で見られる認知能力がサルやチンパンジーでも観察され、言語能力ですら一般的な認知能力の延長としてとらえられるとする研究者が大勢を占めていた。本研究では、一般的な認知能力の課題と文法判断課題を直接対比することで、言語理解に対する特異的な活動が左脳の下前頭回(図の赤色の部分)に局在することを発見した(Neuron 35, 589-597)。この成果は、言語処理が人間の脳で特別な意味を持つことを初めてはっきりさせたもので、言語の本質である「文法」という抽象的な概念が脳の中でどのように使われているかという疑問に対し、特定の大脳皮質の働きとして客観的に答えるものである。記憶などの認知機能では説明できない言語能力の座を特定したこの発見は、「言語の脳科学」の出発点であると考える。
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