164. Two-pore channelはPIP2依存的なゲーティングに特化したモードを備えている

われわれの細胞は多様なシグナルに対応するタンパク質を備えており、それにより細胞内外の情報処理を行っています。電位依存性イオンチャネルは、細胞の膜電位変化を感知してイオンを透過させる機能を持ちますが、その1種であるTwo-pore channel (TPC) は、膜電位に加えてホスホイノシチドであるPIP2も感知します。TPCには、サブタイプ毎に2種の刺激に対する応答性の違いがありますが、その違いを生み出す詳細な機構はよくわかっていませんでした。

今回我々は、おもに膜電位変化により活性化するTPC3を対象とし、電位センサーの実体であるDII-S4に蛍光分子をとりつけ、その動きを測定しました。その結果、DII-S4は“up”と“down”の状態の間に、さらに中間の状態を取ることがわかりました(図)。この中間状態を固定化すると、TPC3をPIP2依存的なチャネルに変換することができました。この結果は、TPCが、DII-S4のup/ down状態の切り替えによりゲートを開閉する典型的なモードに加え、PIP2による開閉に対応した“隠しモード”ともいえる中間状態を備えたユニークなイオンチャネルであることを示しています。

Conformational rearrangements in the second voltage sensor domain switch PIP2– and voltage-gating modes in two-pore channels.
Takushi Shimomura, Kiichi Hirazawa, Yoshihiro Kubo.
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
120 (6): e2209569120, 2023.

<図の説明>

TPCの単量体は、ドメインI(DI)とDIIの二つのよく似たドメインを含む。それぞれのドメインは、イオン透過孔を形成するポア領域(長方形)と電位センサー(楕円)からなり、電位センサーのDII-S4ヘリックスが膜電位変化に重要である。DII-S4上の(+)は、正に荷電したアミノ酸残基をあらわし、これにより膜電位変化を感知する。図の上下方向は、電位依存的なモードをあらわす。加えて、TPCは特徴的な中間状態(intermediate)をとることができ、このときにDIにPIP2が結合するとゲートが開けるようなモード(横方向)も存在する。丸(○)は本研究で明らかにした、中間状態をとるときに近接するDII-S4とDII-S2のアミノ酸残基のペア。