101. てんかんを伴う精神運動発達遅滞をもたらすKv2.1突然変異体は神経連続発火活動を抑制する

乳幼児期発症のてんかん発作を伴う精神運動発達遅滞に、様々な電位依存性カリウムチャネル(Kv)の点突然変異が関わることが知られていますが、その発症機序はよく分かっていません。最近私達は乳幼児期発症のてんかん患者437人の全エクソーム解析により、大脳皮質と海馬の錐体神経細胞での主な遅延整流性KvであるKv2.1をコードする遺伝子(KCNB1)の、2つの新生(de novo)突然変異を2人の患児で同定しました。変異を持つ患児は、どちらも乳児期より運動発達の遅れが認められ、生後1-1.5年で全般てんかん発作を発症し、現在も重度の知的障害を持っています。1つの変異はチャネル電位センサー領域(p.R306C)に生じたもので、チャネルの電位感受性が強く障害され、もう一方の変異はイオン透過領域(p.G401R)に生じたもので、チャネル機能が失われることが分かりました。それぞれの変異Kv2.1を錐体神経細胞に発現させると、どちらの場合も神経連続発火活動が強く阻害されました。このことは、錐体神経細胞の不十分な発火活動が神経回路網の発達と安定性の両方に悪影響を与え、疾患発症に至ることを示唆しています。

Saitsu H*, Akita T* et al. De novo KCNB1 mutations in infantile epilepsy inhibit repetitive neuronal firing. Scientific Reports 5:15199, doi: 10.1038/srep15199 (2015). *equal contribution & corresponding authors

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