日本生理学会雑誌80巻3号

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表紙の説明

Cover_20180801

大会名:第94 回日本生理学会大会

演題番号:3P-091

演題名:体性感覚刺激によるエストラジオール分泌低下反応の反射中枢

演題名(英語):Reflex center for somato-sympathetic ovarian estradiol secretion

演者:内田さえ,鍵谷方子

所属:東京都健康長寿医療センター研究所・自律神経機能

説明(キャプション):  ストレスは卵巣からのエストラジオール分泌を抑制し生殖機能の低下を招くが,この反応には視床下部が統合中枢として働くと考えられている.我々は近年,身体的ストレス刺激(後肢の機械的侵害刺激)が卵巣からのエストラジオール分泌を低下させること,この低下反応は卵巣交感神経(上卵巣神経)活動の亢進に起因することを麻酔ラットで証明した.本研究は,このストレスで誘発される卵巣エストラジオール分泌低下反応における視床下部の関与を調べた.

脛骨神経の電気刺激は,上卵巣神経遠心性活動を亢進させ,卵巣からのエストラジオール分泌速度を低下させた(図A).これらの反応は,急性除脳ラット(視床下部と中脳の間で切断)でも中枢無傷時と同程度に観察されたが(図B),急性脊髄切断ラット(第2 頸髄で切断)では消失した.以上から,侵害性刺激といった身体的ストレスによる卵巣エストラジオール分泌低下反応の主な統合中枢は,脳幹に存在することが麻酔ラットで明らかとなった(図C).

A,B:中枢無傷ラット(A)と除脳ラット(B)において,脛骨神経電気刺激(赤線)が卵巣交感神経活動(a),血圧(b)を上昇させる一方で,卵巣からのエストラジオール分泌速度(c)を低下させる反応の一例を示す.a には神経活動頻度のヒストグラムを示し,上部には刺激前後の神経活動の生波形を示す.C:身体的ストレスが卵巣ホルモン分泌に与える影響の機序を示す模式図.

<関連論文>Uchida S., Kagitani F., Autonomic Neuroscience:Basic and Clinical. 2017; 206:63-66. Mechanism of physical stress-induced inhibition of ovarian estradiol secretion in anesthetized rats.

利益相反の有無:なし