JJP和文要旨 vol 50 no 4

蔗糖摂取時の傷害反応に対する視床下部背内側部の破壊の効果

  • Effect of VMH Lesion on Sucrose-Fed Nociceptive Responses
  • K. Mukherjee,R. Mathur,U. Nayar (Neurophysiol. Lab., Dept. of Physiol., All India Inst. of Med. Sci., India)

傷害刺激の痛み反応が蔗糖の摂取で増大する機構が追求された.視床下部背内側部破壊は同様に過敏な痛みを引き起こすが,蔗糖を与えても変化しなかったことより,視床下部背内側部はこの機構に関係しているらしい. [Regular paper pp. 395-404] [On PubMed] | [JJP-Online]

定量運動負荷に対する心拍応答の指数双曲線関数への回帰

  • Exponential Hyperbolic Sine Function Fitting of Heart Rate Response to Constant Load Exercise
  • 水尾 純1, 中津 高明3, 村上 充1, 草地 省蔵1,2, 富永 洋功3,間島 圭一3, 上杉 忠久1, 上田 久志1, 末澤 知聡1, 辻 孝夫1 (岡山大学医学部 1第一内科学教室・2保健学科,3屋島総合病院循環器科)

異 なる強度の定常負荷での心拍応答は指数双曲線関数に一元的に回帰された.心拍の overshoot 応答は指数関数は回帰できず.本解析は心拍応答の定量的解析に有用.心拍応答機構に inductance component が存在する. [Regular paper pp. 405-412] [On PubMed] | [JJP-Online]

ラット足底筋と前脛骨筋の異なる部位に分布するタイプ別にみた筋線維の細胞サイズと酸化系酵素活性

  • Cell Size and Oxidative Enzyme Activity of Different Types of Fibers in Different Regions of the Rat Plantaris and Tibialis Anterior Muscles
  • 中谷 敏昭1,2,中嶋 敏勝1,喜多 大三1,広藤 千代子3,伊藤 一生4,伊藤 稔5,石原 昭彦6 (1奈良県立医科大学薬理学講座,2天理大学体育学部,3大阪学院短期大学,4東亜大学総合学術研究科,5京都大学・6総合人間学部環境適応論講座)

ラッ トの足底筋と前脛骨筋の異なる部位に分布する筋線維の細胞サイズと酸化系酵素活性を分析した.ATPase 活性の違いから筋線維を I,IIA,IIB に分類した.IIA 線維の細胞サイズと酸化系酵素活性については部位による違いはみられなかった.IIB 線維の細胞サイズは中層部と表層部に比較して深層部で小さく,酸化系酵素活性は中層部と表層部に比較して深層部で高い値を示した.これらの結果より IIB 線維では細胞サイズや酸化系酵素活性に筋の部位による違いがあることが明かとなった. [Regular paper pp. 413-418] [On PubMed] | [JJP-Online]

胃 H+,K+-ATPase のリジン/グリシンクラスター構造の役割についての検討

  • Significance of Lysine/Glycine Cluster Structure in Gastric H+,K+-ATPase
  • 浅野 真司,三輪 耕治*,矢代 博昭*,田渕 圭章,竹口 紀晃* (富山医科薬科大学 遺伝子実験施設・*薬学部)

胃 H+,K+-ATPase の触媒鎖のアミノ末端部分には特徴的なリジン/グリシンクラスター構造が存在する.我々は変異体の作製,機能解析を行い,この構造がH+,K+-ATPase 活性に必須でないこと,カチオンに対する親和性の決定に直接関わらないことを発見した. [Regular paper pp. 419-428] [On PubMed] | [JJP-Online]

Xenopus oocyte に発現された GABAC 受容体のプロテインキナーゼ C に依るインターナリゼーション

  • Activation of Protein Kinase C Induces Internalization of the GABAC Receptors Expressed in Xenopus Oocytes
  • 草間 貞,畑間 康二,斎藤 清茂,木澤 靖夫,村上 元 (日本大学薬学部機能形態学研究室)

ヒト _1 サブユニットからなる GABAC 受容体を Xenopus oocyte に発現させ,その挙動に対する PKC 活性化薬の影響を免疫組織化学的に検討した結果,膜表面から内部にインターナライズされる像を得た. [Regular paper pp. 429-435] [On PubMed] | [JJP-Online]

カワヤツメの松果体に見られるメラトニン分泌リズムの光依存性と温度依存性

  • Light- and Temperature-Dependence of the Melatonin Secretion Rhythm in the Pineal Organ of the Lamprey, Lampetra japonica
  • 鮫島 道和,Shaik Shavali,保 智己,内田 勝久,森田 之大,福田 敦夫 (浜松医科大学第一生理)

松 果体にある生体時計の振動体の性質を知るための実験を行った.培養下のカワヤツメ松果体でのメラトニン分泌リズムは光と温度に依存性示した.松果体で受容 される光がリズムを調節すること,メラトニンはカワヤツメの行動リズムを直接制御していないことが明らかになった. [Regular paper pp. 437-442] [On PubMed] | [JJP-Online]

自然発症 CCK-A 受容体遺伝子欠損 (OLETF) ラットの胃排出遅延の機序

  • Mechanism of Delayed Gastric Emptying in Naturally Occurring CCK-A Receptor Gene Knockout (OLETF) Rats
  • 太田 稔,金井 節子,佐藤 裕子,増田 正雄,高橋 徳1,自見 厚郎2,船越 顕博3,宮坂 京子 (東京都老人総合研究所臨床生理部門,1ミシガン大学内科,2久留米大学第一病理,3国立病院九州がんセンター)

遺 伝的に CCK-A 受容体が欠損しているラットをみつけた.胃排出速度を遅延させる作用をもつ CCK-A 受容体が欠損しているにもかかわらず,このラットでは,むしろ遅延していた.レセルピンの前処置により,遅延していた胃排出速度は正常化し,血中ノルアド レナリンが高値をしめしたことから,交感神経の緊張が高いことが原因のひとつと考えられた [Regular paper pp. 443-448] [On PubMed] | [JJP-Online]

漸増負荷運動時の呼吸性代償点と低酸素換気応答性および運動時の乳酸増加度との関連

  • Respiratory Compensation Point during Incremental Exercise as Related to Hypoxic Ventilatory Chemosensitivity and Lactate Increase in Man
  • 高野 成子 (金沢大学教育学部保健教室)

漸増負荷運動時の酸素消費量 (V・o2) 増加に対する肺換気量増加は呼吸性代償点 (RCP) と呼ばれる V・o2 点で急峻となる.成人男 (n = 22),女 (n = 16) 被験者におけるRCPは低酸素換気応答性および運動時の血中乳酸増加度との間に負の相関関係にあることが判明した. [Regular paper pp. 449-455] [On PubMed] | [JJP-Online]

骨格筋の電気生理学的およびカルシウム放出の研究のための新しい 3 槽グリースギャップ隔絶反転型装置

  • Novel Inverted Triple Grease-Gap Isolation Chamber for Electrophysiological and Calcium Release Studies in Skeletal Muscle Fibers
  • M. Quinonez,M. DiFranco (Lab. de Fisiol. y Biofis. del Musculo, Inst. de Biol. Exp., Fac. de Ciencias, Univ. Central de Venezuela, Venezuela)

骨格筋における電気生理学的研究と光学的 Ca2+ 放出検出のための新しい 3 槽グリースギャップ隔絶反転型装置について報告する.この隔絶装置は高い電気抵抗を有し,機械的にも安定したグリースギャップを用いている.標本の取り付 けは簡単で熟練を要しない.また,取り付けた標本は安定しており信頼できる.隔絶装置の実用性を示唆する電気生理学的,および光学的データを提示する. [Technical paper pp. 457-462] [On PubMed] |[JJP-Online]

マウス肝・腎の in vivo 高磁場磁気共鳴画像

  • In Vivo NMR Micro-Imaging of Kidney and Liver of Mouse at 9.4 T
  • 小坂 光男 ,大渡 伸,瀬尾 芳輝4,川久保 秀彦,原田 整一, 勝又 達哉1,井田 弘明2,フォルカー レーマン3 (長崎大学熱帯医学研究所・環境医学部門 (疾病生態)・1寄生虫学部門,2長崎大学医学部第一内科,3NMR Microscopy Application Laboratory, Bruker Analytische Messtechnik GmbH,4京都府立医科大学第一生理学)

9.4 T 高磁場 NMR マイクロイメージング装置を用い,マウス肝腎の in vivo 測定を行った.縦緩和時間 (T1),横緩和時間 (T2),体積磁化率の均一度 (T2*),血流により良好な組織コントラストを得た. [Technical paper pp. 463-467] [On PubMed] | [JJP-Online]