急性低酸素時の頸動脈小体化学感受機序におけるイオンチャネルの役割
- Roles of ion channels in carotid body chemotransmission of acute hypoxia
- Machiko Shirahata1,2,James S.K. Sham1,3 (Departments of 1Environmental Health Sciences,2Anesthesiology/Critical Care Medicine,3Medicine, The Johns Hopkins University, USA)
頸動脈小体化学受容器における低酸素感受機序をイオンチャネルレベルで 解析した最近の研究成果をまとめた優れた総説である,特に動物種差に焦点をおき,酸素感受性K+ チャネルによる glomus cell の脱分極はウサギに特異的であり,他の動物種では別の K+ チャネルやレセプターがより重要であることを明らかにしている. [Review pp. 213-228] [English abstract]
統合生物学より見た冠微小循環
- Integrative physiology of coronary microcirculation
- 梶谷 文彦,後藤 真己 (川崎医科大学)
冠循環,特に比較的深い心筋内血行動態の特徴は,心筋収縮が絶えず繰り返されるた めに酸素需要が高いにもかかわらず,心筋収縮に伴うメカニカルストレスも関与して ,他臓器の循環に比較して収縮期抵抗が高く,ほぼ拡張期のみに流れが制限されるこ とである.このような心筋流入血流の不利な条件を克服するため,冠循環は個々の心 筋細胞近傍の毛細血管まで血流を保つことが出来るようによく発達した微小血流路が 構築されている. [Review pp. 229-241] [English abstract]
メダカ初期胚における胞胚腔内等張性外液形成に関与する二種の外液塩素イオン依存性塩素イオンチャネルおよび伸張受容性陽イオンチャネル
- Two types of external Cl−-dependent Cl− channels and one type of stretch receptor cation channel contribute to formation of isotonic blastocoel fluid in early medaka fish embryo
- 重本 尚 (神戸大学医学部第二生理学教室)
淡水中で発生するメダカ胞胚腔内には等張性の外液が分泌され初期胚細胞に新たな外環境を与える.この分泌には,相反的に外液の塩素イオン感受性を有する 2 種の新規な塩素イオンチャネルが関与することを示し,かつそのチャネルの性質を明らかにした. [Regular paper pp. 243-255][English abstract]
シアン酸塩の投与によりヘモグロビンの酸素親和性が増加したラットにおける循環,代謝系の低酸素耐性の増大
- Increased cardiovascular and metabolic tolerance to acute hypoxia in the rat with increased hemoglobin-O2 affinity induced by Na-cyanate treatment
- 滝 潤一郎1,2,増田 善昭1,林 文明2,福田 康一郎2 (千葉大学医学部 1第三内科・2第二生理)
シアン酸塩投与による低酸素耐性増加の機序をラットを用いて検討した.ヘモグロビンの酸素親和性の増加,代謝率の低下,一回心拍出量の増加と心拍数の変化,低酸素負荷時の循環機能低下の軽減,および心筋と延髄の毛細血管密度の増加が原因と考えられた. [Regular paper pp. 257-265][English abstract]
モルモット大動脈における内皮細胞依存性弛緩の 18βグリシルレチノ酸による抑制
- Inhibition of the endothelium-dependent relaxation by 18β-glycyrrhetinic acid in the guinea-pig aorta
- 福田 裕康,越田 信,山本 喜通,鈴木 光 (名古屋市立大学医学部生理学第一)
モルモット大動脈輪状平滑筋標本において,サブスタンス P により誘発される内皮細胞依存性弛緩に及ぼすギャップ結合抑制薬 18βグリシルレチノ酸 (GA) の効果を調べた.GA は内皮細胞依存性弛緩のうち,主に EDHF による弛緩を抑制すると考えられた.GA はまたノルアドレナリンや高カリウムイオンによる収縮や K チャネル開口薬による弛緩も変化させた.GA の作用とギャップ結合の抑制との関係について考察した. [Regular paper pp. 267-274] [English abstract]
運動による心拍の自己フィードバック制御
- Self-biofeedback control of heart rate with exercise
- 佐田 孝治,浜田 真悟1,米沢 良治2,二宮 石雄3 (社会保険下関厚生病院循環器科・1ME 室,2広島工業大学工学部電気工学科,3広島国際大学臨床工学科)
新たに作成した心拍制御装置を使用して,患者自身で運動負量を調節することにより,過剰な心拍応答を阻止し一定の心拍を維持する新しい心臓のトレーニング方法を開発した.本法を健常者に応用したところ,走行速度を変化させて心拍数を設定値に維持できることがわかった. [Regular paper pp. 275-281] [English abstract]
乳酸の心外膜投与による直腸運動反応の神経性機序
- The neural mechanism of rectal motility response induced by epicardial application of lactic acid
- J. Koley,A.K. Basak1,M. Das,M.Z. Haque,B.N. Koley2 (Department of Physiology, Electrophysilogy Unit, University College of Science, India,1Department of Physiology, Nepalgunj Medical College, Nepal,2Department of Phsysiology, College of Medical Sciences, Nepal)
麻酔ネコで乳酸を心外膜に与えると,直腸の運動は反射性に2相性の反応を示す.この反応は心臓の交感神経切除および仙髄の前根切除で消失する,この反応の 求心路は心臓交感神経であり,遠心路は骨盤神経である.反射中枢は四丘体より上位にある.2相性反応のうち直腸の弛緩と収縮はそれぞれ NO とアセチルコリンによって起こる. [Regular paper pp. 283-288][English abstract]
ラット大脳皮質体性感覚野の興奮と局所脳血流量変化
- CBF change evoked by somatosensory activation measured by laser-Doppler flowmetry: Independent evaluation of RBC velocity and RBC concentration
- 松浦 哲也,藤田 英明,関 千江,柏倉 健一,山田 勝也1,菅野 巌2 (JST 秋田,1秋田大医学部,2秋田脳研)
ラット大脳皮膚興奮時の局所血流動態をレーザードップラ血流計で測定し,計測部位における誘発電位を記録した.血流増加量は皮質活動の大きさにほぼ比例し,刺激開始後約 0.5 秒で立ち上がった.血球速度及び容積の立ち上がりに有意差は認められなかった. [Regular paper pp. 289-296][English abstract]