コルチコトロピン放出因子の多様性
- Heterogeneity of corticotropin-releasing factor (CRF)
- 安田直毅,中村一芳(岩手医大第二生理学)
視床下部から同定されたCRH以外の沢山のCRH関連ペプチドの末梢・血液等での多様な生理作用・分布とストレス反応に対する意義を詳細に述べたレヴュー である.CRF様物質がフラクションに分けられ生理活性が調べられていく過程が描かれている.[Review pp. 147-159] [English abstract]
血管新生における細胞性線溶系の役割
- The role of pericellular fibrinolytic system in angiogenesis
- 深尾偉晴,上嶋 繁,岡田清孝,松尾 理(近畿大医学部第二生理)
血管新生には血管内皮細胞表面での局所的,集約的な線溶系因子の発現によって制御される一連の蛋白分解活性が関与する.ウロキナーゼ型プラスミノゲンアク チベータ(u-PA)とその細胞性受容体である u-PAR を中心とした機構が注目されている.[Review pp. 161-171] [English abstract]
F344ラットの足三里相当部位(536)への針刺激による脾臓IL-2, IFN-γおよびNK活性の増大
- Enhancement of splenic inerferon-γ, interleukin-2, and NK cytotoxicity by S36 acupoint acupuncture in F344 rats
- Yu, Y.,笠原多嘉子,佐藤孝雄,Guo, S.,Liu, Y.,浅野和仁*,久光 正(昭和大医学部第一生理,*同医動物学)
ラットで電気ハリ刺激(S36点,1−5ボルト,1ミリ秒,1ヘルツ;1時間/日,3日間)が脾NK細胞活性を促進した.同時に脾IL-2, IFN-γレベルの上昇がみられたことから,これらの因子が一部NK細胞の活性化に寄与していることが示唆された.[Regular paper pp. 173-178] [English abstract]
光学的マッピングによるラット心房内興奮伝播の解析:正常および頻拍状パターン
- Optical mapping of conduction patterns of normal and tachycardia-like excitations in the rat atriu
- 酒井哲郎,廣田秋彦*,佐藤容子,佐藤勝重,神野耕太郎(東京医科歯科大医学部第二生理,*島根医大第二生理)
膜電位感受性色素を用いた活動電位の光学的多部位同時測定法をラット心房標本に適用して興奮波伝播のマッピングをおこない,生理的自発興奮および電気刺激 で誘発された旋回性興奮について,その伝播パターンを解析した.[Regular paper pp. 179-188] [English abstract]
有機陽イオンとアンモニウムのショウジョウバエ幼虫筋のグルタミン酸受容体チャネルにおける透過性
- Permeation of organic cations and ammonium through the glutamate receptor channel in Drosophila larval muscle
- Ciani, S.,西川光一*,城所良明*(UCLA医学部生理,*群馬大医学部行動医学研究施設)
[Regular paper pp. 189-198] [English abstract]
注射針穿刺によるラットのLPS発熱の遅延
- Lipopolysaccharide-induced fever in rats prolonged by a needle prick
- 杉本直俊,紫藤 治,桜田惣太郎,永坂鉄夫(金沢大医学部第一生理)
ラットLPS皮下投与による二相性発熱による遅延性発熱現象が腹腔内留置カテーテルからの投与ではみられないことから,皮下注射時の穿刺す刺激によるスト レス性因子(カテコラミン,IL-2, IL-6, TNFなど)がPGEsとともにこの現象に関与していることを示唆した.[Regular paper pp. 199-204] [English abstract]
2,3ブタンジオンモノキシムはイヌ血液潅流左心室の興奮収縮連関を抑制する
- 2,3-Butanedione monoxime suppresses excitation-contraction coupling in the canine blood-perfused left ventricle
- 高砂利行,後藤葉一*,川口 鎮,畑 勝也,佐伯彰夫,Tailor, T.W.,西岡武彦,菅 弘之**(国立循環器病センター研究所,*同病院,**岡山大医学部第二生理)
BDM (5[English abstract]
赤血球細胞における膜電位−容積変化の関連
- Photometric assessment of volume changes coupled with membrane potential in valinomycin-incorporated red blood cells
- 楊 雪松,神野耕太郎(東京医科歯科大医学部第二生理)
最近,細胞容積調節の研究が注目を浴び始めている.楊と神野はこの論文で,バリノマイシン処理をした赤血球をモデルにして,細胞容積と膜電位を光学的に測 定し,細胞容積は脱分極に伴って増大すること,両者の関係は定量的に表現できることをはじめて明らかにした.細胞容積を規定するのは水の移動であり,これ は正味の溶質移動(この場合はKCl移動)に依存していることがここでも見事に示されている.[Regular paper pp. 217-230] [English abstract]
塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の中枢投与によるエタノール胃潰瘍の形成低下
- Intracisternal injection of basic fibroblast growth factor reduces the severity of gastric mucosal lesions evoked by ethanol in rat
- 渡辺泰男,奥村利勝,小野寺秀,高橋伸彦,小路悦朗,高後 裕(旭川医大第三内科)
胃酸に依存しない機序で胃潰瘍を防ぐ作用を持つという仮説を検討した.エタノールを胃内に投与すると胃潰瘍が発生する.このエタノールによる胃潰瘍は, bFGFの大槽内投与により抑えられたが,bFGFの腹腔内投与では抑えられなかった.エタノールで誘発される胃潰瘍は,胃酸に無関係であるとされている ので,今回の実験から,bFGFは中枢に作用して胃酸には関係しない機序で,抗胃潰瘍作用を示すと推測される.[Short communication pp. 231-233] [English abstract]
ラット肝細胞においてATP, thapsigargin, cAMPは3種の異なるCa2+流入経路を活性化して,細胞内Ca2+濃度上昇を引き起こす
- ATP, thapsigargin and cAMP increase Ca2+ in rat hepatocytes by activating three different Ca2+ influx pathways
- 五十里彰,酒井秀紀,竹口紀晃(富山医科薬科大薬学部薬物生理)
最近,Caストア枯渇によって開くCa2+チャネルの存在が話題を呼んだが,細胞はこの他にも多種のCa2+流入経路を持っているようだ.この論文では, 五十里らが非興奮性細胞である肝細胞のCa2+流入通路には,La3+感受性のもの,verapamil感受性のもの,そして両者に対して感受性を示すも のの三種があることを示している.今後の分子論的道程同定に期待がかかる.[Short communication pp. 235-239] [English abstract]