010.神経興奮性を調節するMカリウムチャンネルの制御機序を解明

神経細胞からアセチルコリンが放出されると、ムスカリン性受容体が刺激され、後シナプス神経細胞のMカリウム電流抑制が生じ、神経細胞が興奮しやすくなる(図参照)。しかしMチャンネル制御機構は不明だった。我々は、この経路において係留タンパク(AKAP150)を中心とした酵素複合体が、チャンネルに結合して信号を伝達していることを見いだした。
AKAP150はタンパクリン酸化酵素(PKA, PKC)、脱リン酸化酵素 (PP2B)、カルシウム結合タンパク(CaM)、信号伝達物質前駆体(PIP2)と結合している。この複合体がさらに酵素の標的タンパクと結合することで、信号の伝達効率と特異性を高めている。M電流制御の場合、この酵素複合体がチャンネルに結合することがM電流抑制に必要であること、結合型PKCが信号を増強することを明らかにした。この複合体に含まれる他分子もM電流を修飾することが知られており、これらが協調してチャンネルを制御していると考えられた。(Nat. Neurosci. 6, 564-571, 2003)
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