189. 細胞外カリウムイオン濃度変化を感知するイオンチャネルの発見

カリウムイオン(K⁺)は、神経や心臓の機能を支える重要なカチオンです。これまで、体液中、すなわち細胞外のK⁺濃度は、主にK⁺自体を “透過させる”膜タンパク質によって感知されると考えられてきました。

本研究では、ショウジョウバエのCys-loop受容体型イオンチャネルであるAlkaが、細胞外K⁺を“リガンドとして”結合することを見出しました。電気生理学的解析およびAlphaFold 3による構造予測から、AlkaのK⁺結合部位はK⁺チャネルのポアと類似したメカニズムでK⁺選択性を実現していることがわかりました。また、AlkaへのK⁺結合は、開口確率だけでなく、アルカリ感受性、脱感作、イオン透過性・選択性を含むチャネルの状態を大きく切り替えるユニークな作用であることが明らかになりました。さらに、この知見をAlkaのホモログであるヒトグリシン受容体α2(GlyRα2)へと展開し、RNA編集型GlyRα2が、効率は低いもののK⁺依存性を示すことを見いだしました。

本研究は、動物において細胞外K⁺をリガンドとする膜タンパク質を初めて同定したものであるとともに、Cys-loop受容体における新たな制御機構の存在を明らかにするものです。

論文タイトル Extracellular K+ modulates the pore conformations of Cys-loop receptor anion channels.

全著者名 Takushi Shimomura, Yoshihiro Kubo, Minoru Saitoe, Yoshinori Suzuki.

雑誌名 Nature Communications 17: 3453, 2026. DOI: 10.1038/s41467-026-71629-z


<図の説明>

(A)Alkaを発現したツメガエル卵母細胞からの電気生理学的測定。細胞外K+濃度の増大により、Alka電流は減弱する。(B, C) Alkaの予測立体構造モデルの全体図(B)と拡大図(C)。K+は、4つのアミノ酸残基の側鎖および主鎖由来の酸素原子によりを配位されている。