CONTENTS
- カテゴリーなし - 目次
- VISION - 現代「生理学」再考(その 3) ―知って生活と教育に活かす生理学―(岡田泰伸) P.167~
- SCIENCE TOPICS - 電位依存性H+ チャネル2量体会合領域の結晶構造とその機能的意義(藤原祐一郎) P.169~
- SCIENCE TOPICS - シナプス小胞の開口・回収バランスを支えるPKG 依存性逆行性メカニズムの生後発達(江口工学) P.169~
- SCIENCE TOPICS - 電位依存性ホスファターゼ VSP は,膜電位の違いによってイノシトールリン脂質の基質選択性を変化させる(黒川竜紀) P.169~
- PROFILE - 金田 誠 P.171~
- PROFILE - 伊藤 南 P.171~
- LECTURES - カエル心臓八木式灌流法の研究 有用な学生実習のための改良(頴原嗣尚) P.175~
- AWARD - 西村 幸男(2012 年 日本生理学会奨励賞 受賞) P.184~
- AWARD - 繁冨 英治(2012 年 日本生理学会奨励賞 受賞) P.184~
- AWARD - 安部 力(2012 年 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞 受賞) P.184~
- AWARD - 内田 邦敏(2012 年入澤宏・彩記念若手研究奨励賞受賞) P.184~
- AWARD - 蓑部 悦子(2012 年 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞 受賞) P.184~
- AWARD - 井上 華(2012 年 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞 受賞) P.184~
- AWARD - 吉本 光佐(2012 年 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞 受賞) P.184~
- AWARD - 照井 貴子(2012 年 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞 受賞) P.184~
- AFTERNOON TEA - 中島 昭「初年次教育は必要か?」 P.198~
- 特集/SYMPOSIA - 生き生きした公正な研究活動のために ―ハラスメントの防止を目指して―(S4) P.209~
- 特集/SYMPOSIA - 細胞の興奮リズム生成におけるCa クロック機構 (S6) P.209~
- 特集/SYMPOSIA - ストレスに対する生体応答と調節因子 (S11) P.209~
- 特集/SYMPOSIA - 下垂体の機能調節に関わる新規分子の解明 (S17) P.209~
- 特集/SYMPOSIA - リハビリテーションと自律神経機能 (S19) P.209~
- 特集/SYMPOSIA - 心不整脈基質形成機序研究の新展開 ―家族性遺伝子異常から心リモデリングまで― (S21) P.209~
- 特集/SYMPOSIA - 多面的アプローチによる痛覚情報処理機構の解明(S22) P.209~
- 特集/SYMPOSIA - 骨形成と骨吸収の先端研究から探る,骨修復促進のストラテジー (S27) P.209~
- 特集/SYMPOSIA - 上皮イオン輸送の細胞分子メカニズム (S28) P.209~
- 特集/SYMPOSIA - 体内環境センサー研究の新展開 (S29) P.209~
- 特集/SYMPOSIA - 基盤病態としてのアルブミン酸化還元比異常 (S43) P.209~
- 特集/SYMPOSIA - 新たな技術で探る血管構築から機能獲得へのメカニズム (S44) P.209~
- CALENDAR - 主な研究集会開催日程 P.255~
- MOURNING - 酒井敏夫先生を偲んで (栗原 敏) P.256~
- カテゴリーなし - 編集後記
- RECORDS - 日本生理学会将来計画委員会の平成 20 年度から平成 23 年度まで 4 年間の活動内容 ―基礎医学教室活性化等への活動と将来への展望―(前田正信) P.202~
- MOURNING - Sir·Andrew·Huxley を悼む (北里 宏) P.256~
- MOURNING - 中山 沃(そそぐ)先生への追悼の言葉 (高木 都) P.256~
- EDUCATION - 将来の基礎医学教育研究者を養成する基礎統合実習(松尾 理) P.194~
表紙の説明
第89 回 日本生理学会大会(松本)
演題番号: 2PJ-132
演題: 「回し車による病態モデルマウスのうっ血性心不全の検出」
“Detection of Congestive Heart Failure in Disease Model Mice Using a Running Wheel”
演者: 杉原匡美1,2, 小田切史徳1,2, 鈴木 剛1,2, 中里祐二2, 代田浩之2, 櫻井 隆1, 森本幸生3, 呉林なごみ1
所属:1順天堂大・医・薬理学, 2順天堂大・医・循環器内科, 3九州大・医・臨床薬理
拡張型心筋症(DCM)は左心室の拡大及び収縮能低下によって特徴づけられるが,その死因は重症心不全死と心不全症状を伴わない突然死がある.我々はヒトの家族性DCM 変異の一つ(Troponin T の1 アミノ酸欠損:TNNT2ΔK210)に基づいて作製されたモデルマウス〔1〕を用いてDCM の病態と死因の関係を研究している.このモデルマウスは約2ヵ月齢より死亡する個体があるが,その死因が心不全死か突然死かは明確でない.今回,回し車を用いた自発的運動の測定によって非侵襲的に心不全症状を捉えられるかを検討した.2 ヵ月齢のDCM マウスの多くは野生型と同等な運動を示した.3 ヵ月齢では活動性が低下する個体があり,それらは肺重量が増加しうっ血性心不全を起こしていることが判った(B).死亡までの走行活動量の推移から,DCM マウスの死因は重症心不全死と突然死だと考えられた(C).また,活動性が維持されているときにも心室性不整脈が観察されており(D),突然死の原因は致死性不整脈であった可能性が強く示唆された.この方法は非観血的にうっ血性心不全を判別することができ,モデルマウスを用いたDCM の研究に有用だと考えられる.
図の説明 A. 回し車で走るDCM モデルマウス B. 肺重量/体重比(LW/BW,肺うっ血の目安)と1 日あたりの走行距離の関係.走行距離が低下したDCM マウスは全て著明な肺うっ血を示した(LO).一方活動量が高いマウスは肺うっ血を示さなかった(HI).C. 代表的な自発的運動の推移.活動量を保ったまま死亡する個体(HD)と低下してから死亡する個体(LD)がある.D. 十分な自発的運動がみられていたときにテレメトリー心電図で観察された心室性不整脈.
1.Du CK, et al.: Circ Res 101: 185―194, 2007