日本生理学雑誌 第68巻 12号

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表紙の説明

第83回日本生理学会大会(前橋)
演題番号:2P2-101
演題:「香りと痛みの同時刺激による脳機能局在」
“Olfaction-and pain-related activations estimated by a dipole tracing method.”
演者: 政岡ゆり1, 2, 矢島裕義1, 2, 高山美歩1, 2, 高倉伸有1, 2, 本間生夫2
所属: 1学校法人花田学園日本鍼灸理療専門学校, 2昭和大学医学部第二生理
痛み刺激に同期して脳波を加算するとP100,N150,P250成分からなる痛み関連電位が出現する(図上).脳波から脳内電源を探る方法として双極子追跡法がある.双極子追跡法は各個人のMRI 画像から脳・骨・皮膚から成る三層モデル(図右)を作成し,電源推定にあたり最も問題となる導電率を加味し推定を行うものである.ある部位に電源があることを仮定し,その部位から頭皮上の電極で記録される電位を計算によって求めることができる.実測された電位分布とこの計算上求められる電位の2乗誤差が最小となるよう双極子の位置とベクトル成分を変化させ,最小となったところ(dipolarity : goodness of fit)98 %で有意な推定位置とする.双極子追跡法は電位測定を各サンプリングあたりで双極子の位置を測定できる為,時間分解能にすぐれている利点がある.P100,N150 では双極子は対側の体性感覚野,二次体性感覚野である島皮質,及び帯状回後部に推定される.P250のピークから後,痛みに関連した帯状回前部(Brodmann’s area 24, 32)に強く収束する(図下左).よって刺激後,250ms以降に情動としての痛みを強く感じるということを示す.痛みと香り刺激を同時に行うと,痛みに対するスコアと不快度が下がり,N250の成分が減衰することがわかった.双極子追跡では帯状回前部のattention(注意)に関連したarea32, superior frontal gyrus(上前頭回)に収束することがわかった.