JJP和文要旨 vol 50 no 6

低圧性低酸素への曝露がラットのヒラメ筋線維とそれらを神経支配する脊髄の運動ニューロンに及ぼす影響

  • Effect of Hypobaric Hypoxia on Rat Soleus Muscle Fibers and Their Innervating Motoneurons: A Review
  • 石原 昭彦,伊藤 一生1 ,伊藤 稔,広藤 千代子2 (京都大学総合人間学部環境適応論講座,1東亜大学大学院総合学術研究科,2大阪学院短期大学)

ラッ トを低圧性低酸素に曝露することにより,ラットの週齢や曝露期間に関係なく,ヒラメ筋では発育にともなう FOG 線維から SO 線維へのタイプ移行が抑制されることを説明した.さらに,低圧性低酸素への曝露によりヒラメ筋を神経支配する脊髄の運動ニューロンで酸化系酵素活性が増大 することを説明した. [Review pp. 561-568] [On PubMed] | [JJP-Online]

正常および再生腱組織内水分子におけるプロトン NMR T2 緩和の特性

  • Characteristics of Proton NMR T2 Relaxation of Water in the Normal and Regenerating Tendon
  • 高宮 尚武,日下 義章,瀬尾 芳輝*,野口 昌彦,生駒 和也,森 武利*,平澤 泰介 (京都府立医科大学整形外科学教室・*第一生理学教室)

家 兎アキレス腱組織内の水分子の存在状態をプロトン T2 核磁気緩和時間 (2.34 T) を用い解析し,正常および断裂後 3 週以降の慢性期修復期のアキレス腱におけるコラーゲン線維の構造および再構造化の過程を評価した. [Regular paper pp. 569-576] [On PubMed] | [JJP-Online]

2 種類の運動強度でのランニングトレーニングではラット心筋ミオシンアイソザイム構成比に影響が認められない

  • Lack of Effect of Running Training at Two Intensities on Cardiac Myosin Isozyme Composition in Rats
  • 町田 修一*,刈谷 文彦,小林 啓三,成澤 三雄 (国際武道大学運動生理学教室,現在: *東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器小児科)

本 研究は,ラットに 2 種類の運動強度 (20 m/min と 40 m/min) のランニングトレーニングを 12 週間課した場合,強度依存的に心肥大が認められるものの,心筋のミオシンアイソザイム構成比や酸化系酵素活性値に影響が認められないことを報告している. [Regular paper pp. 577-583] [On PubMed] | [JJP-Online]

ラットの海馬における断続的一過性虚血時の血流と遅発性神経細胞死に及ぼすニコチンの効果

  • Effects of Nicotine on Blood Flow and Delayed Neuronal Death Following Intermittent Transient Ischemia in Rat Hippocampus
  • 鍵谷方子1,2,内田さえ1,堀田晴美1,佐藤昭夫2,3 (1東京都老人総合研究所・自律神経部門,2お茶の水女子大学大学院・人間文化研究科,3人間総合科学大学・人間総合科学部)

ニ コチンの静脈内投与によるニコチン性アセチルコリン受容体刺激により,断続的一過性脳虚血中の海馬血流の低下が有意に軽減され,6 分間の虚血後 5,7 日目の海馬 CA1 領域の遅発性神経細胞死が有意に抑えられた. [Regular paper pp. 585-595] [On PubMed] | [JJP-Online]

モルモット腎盂平滑筋の自発的電気活動の性質

  • Properties of Spontaneous Electrical Activity in Smooth Muscle of the Guinea-Pig Renal Pelvis
  • 高野 博充・中平 洋子・鈴木 光 (名古屋市立大学医学部生理学教室)

摘 出モルモット腎盂平滑筋の自発電気活動には,L タイプ Ca チャネルを介した流入 Ca が細胞内貯蔵部位から Ca を遊離させ,Ca 依存性イオンチャネルを活性化して膜が脱分極される機構が考えられた.この機構は内因性プロスタノイドにより活性化されていた. [Regular paper pp. 597-603][On PubMed] | [JJP-Online]

筋求心性侵害入力により誘起される呼吸抑制反応に及ぼす刺激前呼吸レベルの効果

  • Effects of Prestimulus Respiratory Levels on Inhibitory Respiratory Response by Nociceptive Muscular Afferents
  • 小崎 康子,只木 英子*,肥田 朋子,熊澤 孝朗 (名古屋大学環境医学研究所神経性調節分野,*金城学院大学家政学部)

筋細径神経求心性刺激による反射性の呼吸抑制相の大きさは,呼吸レベル促進時(高 CO2,低 O2 環境,ナロキソン投与)に,顕著に減弱された.刺激前呼吸レベルが反射性呼吸抑制相の大きさの重要な要因であることが明らかになった [Regular paper pp. 605-613] [On PubMed] | [JJP-Online]

モルヒネはκ受容体を介して麻酔ネコにおける安静時呼吸を抑制するが反射性呼吸抑制を減弱する

  • Morphine Inhibits Resting Respiration, but It Attenuates Reflexive Respiratory Suppression in Anesthetized Cat through k-Receptor
  • 小崎 康子,只木 英子*,熊澤 孝朗 (名古屋大学環境医学研究所神経性調節分野,*金城学院大学家政学部)

麻 酔ネコにおいて,モルヒネ投与により,安静時呼吸レベルは抑制されるが,筋細径神経求心性刺激後に観察される反射性の呼吸抑制相の大きさは顕著に減弱され た.モルヒネのこの 2 つの作用がともにκレセプターを介する可能性が示唆された. [Regular paper pp. 615-624] [On PubMed] |[JJP-Online]

モルモット胃体部平滑筋における緩電位頻度の電位依存性

  • Voltage Dependency of the Frequency of Slow Waves in Antrum Smooth Muscle of the Guinea-Pig Stomach
  • 野瀬 清孝1,2, 鈴木 光1,河南 洋2 (1名古屋市立大学医学部生理学教室,2宮崎医科大学生理学教室)

摘 出モルモット胃体部輪走平滑筋の自発電位活動は膜を高K溶液あるいは通電により脱分極させると頻度が上昇し,−45 mV 以上の脱分極では一定頻度となった.電位発生の不応期が自発活動発生頻度の最大値決定に関与していると思われた. [Regular paper pp. 625-633] [On PubMed] | [JJP-Online]

ウサギ大動脈内皮細胞の非選択性陽イオン電流と静止膜電位

  • Background Nonselective Cationic Current and the Resting Membrane Potential in Rabbit Aorta Endothelial Cells
  • S.J. Park1,Y.C. Kim1,S.H. Suh2,H. Rhim3,J.H. Sim1,S.J. Kim1,I. So1,K.W. Kim1,3 (1Dept. of Physiol. and Biophys., Seoul National Univ. College of Med., Korea,2Dept. of Physiol., College of Med, Ewa Womans’ Univ., Korea,3Biomed. Res. Center, KIST, Korea)

ウ サギ大動脈内皮細胞のイオンチャネルを穿孔性パッチクランプ法で調べた.全細胞膜電流と電圧の関係は弱い外向き整流性を示し,その静止電位は−23 mV であった.電流は外液 Cl イオンでは影響されることなく,背景陽イオンチャネルの存在が示唆され,このチャネルによって静止電位が決定される. [Regular paper pp. 635-643] [On PubMed] | [JJP-Online]

低酸素性心筋細胞傷害に対する高グルコースの防御効果の C キナーゼ阻害剤による抑制

  • Protein Kinase C Inhibitors Attenuate Protective Effect of High Glucose against Hypoxic Injury in H9c2 Cardiac Cells
  • C.-H. Moon,Y.-S. Jung,M.H. Kim,R.M. Park,S.H. Lee,E.J. Baik (Dept. of Physiol., School of Med., Ajou Univ., Korea)

C キナーゼは心筋虚血下で活性化され,心筋防御に関与することが知られている.本論文は,心筋株細胞 H9c2 を用いて,in vitro 下で虚血性心筋細胞死が高グルコース条件で抑制されることを示し,これに C キーゼが関与していることを示唆した. [Short communication pp. 645-649] [On PubMed] |[JJP-Online]

卵巣摘除ラットの尾部皮膚温上昇に対するプロゲステロンの作用

  • Effects of Progesterone on the Elevation of Tail Skin Temperature in Ovariectomized Rats
  • 小林 恒文 (帝人(株)薬理研究部)

卵 巣摘除ラットの尾部皮膚温上昇に対するプロゲステロンの作用を調べ,エストラジオールの作用と比較した.エストラジオールは尾部皮膚温上昇を完全に抑制し たが,プロゲステロンは僅かな抑制作用しか示さなかった. [Short communication pp. 651-656] [On PubMed] | [JJP-Online]JJP和文要旨 vol 47 no 2