JJP和文要旨 vol 49 no 5

インターバルトレーニングが高強度運動中の動脈血酸素不飽和と換気に及ぼす影響

  • Effects of maximal interval training on arterial oxygen desaturation and ventilation during heavy exercise
  • 宮地元彦,片山敬章* (川崎医療福祉大学・健康体育学科,*名古屋大学大学院)

12 週間のインターバルトトレーニングによって誘発される高強度運動中の動脈血酸素不飽和には,トレーニング初期では過換気抑制が重要な発現因子である が,トレーニングが進行し最大酸素摂取量が増加すると過換気抑制以外の因子 (例えば肺胞 – 動脈血酸素較差の開大) が重要となることが示唆された. [Regular paper pp. 401-407] [English abstract]

Protein kinase C inhibitors abolish the increased resistance of diabetic rat heart to ischemia-reperfusion injury

  • Chang-Hyun Moon (Department of Physiology School of Medicine, Ajou University)

[Regular paper pp. 409-415] [English abstract]

バーチャルリアリティ装置応用の視覚刺激によるヒトの姿勢制御解析

  • Postural adjustment response to depth direction moving patterns produced by virtual reality graphics
  • 久野慎介1,3,川上哲也1,3,川上 治2,3,三宅養三1,渡邊 悟3 (1名古屋大学医学部眼科・2神経内科,3藤田保健衛生大学衛生学部生理学)

[Regular paper pp. 417-424] [English abstract]

ヒト生物時計の同調によるアフター効果

  • After-effect of entrainment on the period of human circadian system
  • 遠藤拓郎,本間さと,橋本聡子,本間研一 (北海道大学医学部統合生理学講座)

12 名の健康被験者を実験室にて 22 日間隔離し,直腸温リズムのフリーラン周期の経時変化を解析した.フリーラン周期は隔離直後24.6 h であったが徐々に延長し隔離後半 は25.2 h なり,同調によるアフター効果が認められた. [Regular paper pp. 425-430] [English abstract]

胃ベシクルのリン脂質フリッパーゼにおよぼすイオノフォアの影響

  • Effects of ionophores on the phospholipid flippase activity of gastric vesicles
  • 鈴木秀博,森井孫俊,竹口紀晃 (富山医科薬科大学薬学部薬物生理学講座)

我々の発見したブタ胃ベシクルのリン脂質フリッパーゼは,バリノマイシン−K+複合体によって阻害され,プロトノフォア CCCP や FCCP は,この阻害を回復させることがわかった. [Regular paper pp. 431-436] [English abstract]

腸間膜微小循環におけるアンギオテンシン II 急性反応時の Superoxide の関与

  • Involvement of superoxide in acute reaction of angiotensin II in mesenteric microcirculation
  • 川添 剛,小坂博昭*,米山弘人*,秦 維郎 (香川医科大学医学部形成外科学・*第二生理学)

腸間膜微小循環におけるアンギオテンシン II の急性血流停止効果を SOD が減弱させる.即ち angiotensin の急性血管収縮反応の一部は superoxide anion 産生により担われている. [Regular paper pp. 437-443] [English abstract]

光学的測定法で検出されたラット脳スライスの海馬台から帯状回への神経活動伝播の時空間特性

  • Spatiotemporal properties of neural activity propagation from the subicular complex to the posterior cingulate cortex in rat brain slices detected by the optical recording technique
  • 王 健,赤池 忠*,曽我部正博 (名古屋大学医学部第二生理学教室,*北海道大学歯学部生理学教室)

ラット脳前額断スライスに膜電位の高速光学測定法を適用して,海馬台刺激による帯状回への神経活動の伝播を測定した。海馬台から帯状回への移行部で信号増 強が生じた後,帯状回から視覚領にわたる活動伝播が見られた.この増強と伝播は抑制性回路により調節されることが示唆された. [Regular paper pp. 445-455] [English abstract]

ナトリウムイオンチャネルアイソフォームにおけるバトラコトキシン感受性喪失点変異体は,グラヤノトキシンの作用を無効にする

  • Point-mutations related to loss of batrachotoxin binding abolish grayanotoxin effect in Na+ channel isoforms
  • 石井秀将,木下英司,木村隆広,焼廣益秀*,山岡 薫,井本敬二**,森 泰生**,瀬山一正 (広島大学医学部)

バトラコトキシンの感受性が喪失したナトリウムイオンチャネル点変異体は,グラヤノトキシンの感受性をも失うことが明らかとなった.このことよりバトラコトキシンとグラヤノトキシンは,結合部位を共有していることが示唆された. [Short communication pp. 457-461] [English abstract]

トリメチルチン投与後のマウス海馬における tPA-plasmin 系の活性化: highly polysialylated NCAM の分解の可能性

  • The activation of the tissue plasminogen activator-plasmin system induced in the mouse hippocampus after injection of trimethyltin: Possible proteolysis of highly polysialylated NCAM
  • 遠藤 哲,橋本賢二,高田由美子**,高田明和* (浜松医科大学歯科口腔外科学講座・*第二生理学教室・**基礎看護学)

トリメチルチンは,神経毒作用があり海馬歯状回での顆粒細胞の変性および PSA-NCAM の分解を誘導するといわれている.今回われわれは,トリメチルチン投与による PSA-NCAM の分解に対する tPA-plasmin system の作用を調べるためトリメチルチンをマウスの腹腔内に投与した.これらの結果は,トリメチルチン投与により tPA-plasmin system が活性化され,その結果 PSA-NCAM が分解されることを示唆した. [Short communication pp. 463-466] [English abstract]