Neuronal mechanisms of respiratory rhythm generation: An approach using in vitro preparation
- 鬼丸 洋,荒田晶子,本間生夫(昭和大医学部第二生理)
本邦において世界に先駆けて開発された摘出新生ラット下部脳幹・脊髄標本を用いて,呼吸リズム形成機序を詳細に解析した著者らの成績が主に記載されてい る.他研究者の成績も十分考慮してあり,呼吸中枢機序を解明する際の指標となる重要な総説である.[Review pp. 385-403] [English abstract]
ケージドATPパルス光分解による骨格筋クロスブリッジ研究
- The cross-bridge mechanism studied by flash photolysis of caged ATP in skeletal muscle fibers
- 堀内桂輔(大分医大生理)
ケージド物質パルス光分解法の最初の実用は,骨格筋クロスブリッジ研究として1982年に報告された.これまで報告されてきた骨格筋ケージドATP実験の 結果を見渡し,クロスドブリッジ化学力学構造関連の研究に残されている問題点を整理する.[Review pp. 405-415] [English abstract]
Desensitization of the GABAA receptor shifts the dynamic range of retinal horizontal cells due to light and dark adaptation
- 臼井支朗,Kawai Fusao, Kamiyama Yoshimi, Usui Shiro(豊橋技術科学大情報工学)
背景光照射によって魚類網膜水平細胞の光応答振幅がゆっくりと変化することは以前から知られており,どのようなメカニズムでこのような現象が発生するのかは網膜研究者の間で謎とされていた.今回の報告はこの現象が錐体視細胞のGABAA受容体によるものであることを明確に示したものである.[Regular paper pp. 417-429] [English abstract]
ラットの脳の腸間膜微小血管を用いた実験的急性血栓形成におけるフォンウィルブランド因子,フィブリノーゲン,フィブロネクチン関与の相違
- The difference involvement of von Willebrand factor, fibrinogen and fibronectin in acute experimental thrombosis in rat cerebral and mesenteric microvessels
- 山本順一郎1,石井いずみ1,沖田奈穂子1,佐々木康人1,山下 勉1,2,松岡 瑛2,木村敏明1,3,John C. Giddings4,渡辺定博5,関 淳二6(1神戸学院大栄養学部生理,2兵庫医大臨床病理,3神戸大医学部保健,4Dept. of Haematol., Univ. of Wales Coll. of Med. UK,5神戸市看護大基礎医学系,6国立循環器病センター研究所生体工学)
血小板はずり力の影響下で,種々の接着分子を介して血液細胞やその他の表面に結合する.本件本研究はラット微小血管にレーザー照射により血小板血栓を形成 させる方法を用いて,血栓形成におけるずり力と接着分子の関与を明らかにした.[Regular paper pp. 431-441] [English abstract]
新生児ラットの下部脳幹・右迷走神経・心臓摘出標本
- An in vitro brainstem-heart preparation of the neonatal rat with intact right vagus nerve
- 粟生田輝,林 文明*,福田康一郎*,増田善昭(千葉大医学部第二生理・*第三内科)
新生ラットを用いて摘出脳幹—迷走神経—心臓標本を作成した.舌咽神経・迷走神経求心路を刺激すると,下部延髄を介して反射性に徐脈反応がおこることを明 らかにした.また迷走神経支配の偏側性は生後発達することが示唆された.[Regular paper pp. 443-448] [English abstract]
ラット副腎スライス標本における副腎髄質細胞の機能的構造とシナプス伝達
- Functional organization of chromaffin cells and cholinergic synaptic transmission in rat adrenal medulla
- 梶原利一1,2,Olav Sand3,城所良明4,Michael E. Barish5,飯島敏夫1(1電子技術総合研究所超分子部,2東北大情報科学研究科,3Dept. of Biol., Univ. of Oslo, Norway,4群馬大医学部行動生理,5Div. of Neurosci. Beckman Res. Inst. of the City of Hope, USA)
副腎髄質細胞に投射するコリン作働性神経からのニコチン型アセチルコリン受容体を介したシナプス入力の性質をラット副腎髄質のスライス標本を用いて形態学的,光学的,電気生理学的に詳細に解析した研究である.[Regular paper pp. 449-464] [English abstract]
最大下作業時における鼻および口呼吸時の呼気一酸化炭素の比較
- Comparison of exhaled nitric oxide and cardiorespiratory indices between nasal and oral breathings during submaximal exercise in humans
- 安田好文,伊藤智式,宮村実晴*,西野仁雄**(豊橋技術科学大体育保健センター,*名古屋大総合保健体育科学センター,**名古屋市大医学部生理)
気道から排出されるNOの運動時の呼吸機能への影響についてヒトの口呼吸と鼻呼吸で比較した.鼻呼吸でNO排出量が多いが,その他の呼吸パラメータや心拍 数に差は認められないことから,主に鼻腔から排出されるNOの呼吸への影響は少ないと推定した.[Regular paper pp. 465-470] [English abstract]
微小重力環境がラット後肢の速筋の酵素活性ならびに微細構造に与える影響
- Effects of spaceflight on enzyme activities and ultrastructure of fast-type skeletal muscles of rats
- 吉岡利忠,山下勝正,田中 修,内田宙司,木村みどり,藤田和彦,関口千春*,長岡俊治*(聖マリアンナ医大第二生理,*宇宙開発事業団)
ラット骨格筋の酸化的および解糖系酵素活性と微細構造が,宇宙飛行の微小重力の影響によりどのように変化するのか調べた.[Short communication pp. 471-476] [English abstract]
Effects of nitric oxide synthase inhibition on phospholipid fatty acid composition of brwon adipose tissue
- シャハ シャマル クマル,大野都美恵*,大日向浩,Kuroshima Akihiro(旭川医大生理学第一,*北海道教育大旭川校家庭科)
ラット褐色脂肪細胞(BAT)の機能調節に関するNOの役割を明らかにすべく,BATのリン脂質脂肪酸に及ぼすNO合成酵素(NOS)阻害剤の影響を調べ た研究であり,NOS阻害剤であるL-NAMEが特定のリン脂質成分を変化させることを明らかにした.[Short communication pp. 477-480] [English abstract]
The maximal lactate steady state in elite endurance athletes
- A.R. Hoogeveen, J. Hoogsteen,G. Schep(St. Joseph Hosp. Veldhoven, The Netherlands)
運動選手(トライアスリートとサイクリスト)でフィールドで40 km自転車走を行い定状状態での乳酸レベル(最大乳酸定状状態)を測定した.その結果,従来実験室で得られた値より高く,乳酸の意義の再検討が示唆され た.[Short communication pp. 481-485] [English abstract]