日本生理学雑誌 第75巻 5号

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表紙の説明

第90 回日本生理学会大会(東京)
演題番号:1PK-019
演題名:拍動心臓における心筋細胞内Ca2+のリアルタイムイメージング
“Real-time imaging of Ca2+ in cardiomyocytes in the beating heart”

演者:広川恵里沙1,大山廣太郎1,2,水野紅理1,2,小比類巻生1,下澤東吾3,照井貴子1,福田紀男1
1東京慈恵会医科大学・細胞生理,2早稲田大学・先進理工,3学習院大学・理

心筋の収縮における興奮収縮連関に関しては,これまでに非常に多くの研究がなされている.しかしながら,そのほとんどは単離心筋細胞や心筋組織においてなされたものであり,得られた知見をそのまま生体内における心臓の機能解析に適用できるか否かは明らかでない.そこで本研究では,生きたマウス内で拍動する心臓のCa2+イメージング(cardiac in vivo imaging)を試みた.
A) 実験手順の概略図を示す.マウスを麻酔下で一部開胸し,心臓表面に蛍光Ca2+指示薬(Fluo-8)を注入する(左図).その後心臓全体を露出させ,(中央図),金属板を用いて極薄のカバーガラスを心臓表面に設置することにより,in vivo での観察を可能にする(右図).
B) 観察時の様子を示す.正立顕微鏡に麻酔下のマウスを固定し,心臓表面の共焦点蛍光観察を行うと同時に,心電図および左心室内圧(マクロパラメーター)の測定も行う.
C) Fluo-8 で可視化された心筋細胞を示す.心筋細胞内にFluo-8 が導入されていることが分かる.灌流心臓を用いた実験(ex vivo)から,心臓の温度が蛍光試薬の導入効率および観察されるCa2+変化(Fluo-8 の蛍光強度変化)に影響を与えることを明らかにした.
本シンポジウム発表について,開示すべき利益相反関係にある企業等はない