CONTENTS
- カテゴリーなし - 編集後記 P.137~
- カテゴリーなし - 目次 P.100~
- SCIENCE TOPICS - K+ チャネルが細胞膜の脂質の環境を感じ取り活性を制御する機構の解明 (岩本真幸) P.101~
- SCIENCE TOPICS - 電位依存性H+チャネルの最適に設計された2量体構造と機能 (藤原祐一郎) P.101~
- AWARD - 平成24 年度日本生理学会奨励賞・入澤記念各賞受賞者・受賞論文 P.103~
- AWARD - 橘 吉寿(2012 年 日本生理学会奨励賞) P.104~
- AWARD - 篠田 陽(2012 年 日本生理学会奨励賞) P.105~
- AWARD - 沼田朋大(2012 年 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞) P.106~
- AWARD - 岩本真幸(2012 年 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞) P.107~
- PROFILE - 南沢 享 P.108~
- PROFILE - 田淵克彦 P.109~
- LECTURES - 特別寄稿 特許制度入門 (樋口盛之助) P.110~
- EDUCATION - 生理学実習改善への取り組み~医学生は電気蛙の夢を見るか?~ (和田義之) P.114~
- AFTERNOON TEA - 田淵紗和子 P.119~
- AFTERNOON TEA - 川上良介 P.119~
- RECORDS - 平成24年度 第2回理事会 議事録 P.122~
- RECORDS - 平成24年度 第2回教育委員会 議事録 P.122~
- RECORDS - 平成24年度 第1回集会委員会 議事録 P.122~
- CALENDAR - 主な研究集会日程 P.133~
- MOURNING - 西山明德先生を追悼して (丸山芳夫) P.135~
表紙の説明
第89 回日本生理学大会(松本)
演題番号:2PJ-81
演題名:除アクチン筋線維内でのATP 結合によるミオシン頭部とその周囲の水構造変化
Structural change of myosin heads and water in the thin-filament-extracted skinned fibers upon ATP binding
演者:山口眞紀1,竹森 重1,木村雅子1,大野哲生1,中原直哉1,八木直人2
所属:1東京慈恵会医科大学・医・生理,2高輝度光科学研究センター
筋節周期構造内の組織された水環境において,骨格筋収縮反応の主役であるミオシン頭部(M)はATP 加水分解の自由エネルギーをいったんM・ADP・Pi の形で堰き止めた後,アクチン(A)と相互作用して収縮反応に利用すると考えられている.ところがミオシン頭部がATP 加水分解の自由エネルギーを堰き止める詳細を調べようとすると,アクチンとの相互作用がミオシン固有の変化をマスクしてしまう.そこでアクチンフィラメントをゲルゾリン処理で除いた除アクチン筋線維のX 線回折像を大型放射光施設(SPring8 BL45 XU および高エネルギー加速器研究機構BL15A)にて取得したところ(図上左),ATP のミオシン頭部への結合・加水分解によりミオシン層線のピークがシフトし(図上右で緑線から青線へ),ミオシン頭部の重心がミオシンフィラメント軸に近づく変化を起こすことがわかった.このとき核磁気共鳴法で水プロトン横緩和経過(図下右)を調べると,ミオシン頭部の周りの強い束縛水が解放されることが示唆された.ATP 加水分解の自由エネルギーはいったん頭部の大きな配置変化と水構造変化の中に堰き止められた後に収縮反応に利用されるものと考えられた.