日本生理学雑誌 第73巻 2号

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表紙の説明

第87 回日本生理学会大会(盛岡)
演題番号:2P-K-36
演題:「心電図の生理疫学的分析―親子の心電図の比較―」
“Epidemiological analysis of electrocardiograms―Comparison of electrocardiograms from parents and children―”
演者:豊島裕子1,江口晃2
所属:慈恵医大・細胞生理・宇宙航空医学,JA 新潟医療センター・健康管理センター
親子から記録された心電図は,肉眼的にその波形が類似している(図A).1960 年代に記録された親の心電図と,1990 年代に親と同年代に達した子供たちから記録された心電図の類似性を統計学的に検討した.
1960 年代に心電図を記録した男性65 人(48.9±6.2 歳)と,1990 年代に親たちと同年代に達した息子たち65 人(46.9±8.4 歳)の,計65 組の親子の心電図を対象とした.心電図は,親子一組ごとに,連結不可能匿名化を行った後,分析した.紙媒体で記録された心電図波形の類似性を比較検討するため,PQ 間隔,QRS 間隔,QT 間隔を測定し,親子の測定値を統計学的に比較する手法を用いた.
PQ 間隔,QRS 間隔,QT 間隔ともに,親子間で有意な相関を認め(図B),このために「波形が類似している」と感じたことがわかった.各間隔は,心臓における興奮の発生と伝播の状態に依存するので,健常人における波形の類似性は,すなわち心筋興奮性の親子間の類似性を示唆し,つまり心筋特性の健常人における遺伝を示唆すると考えられる.