日本生理学雑誌 第68巻 10号

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表紙の説明

第83回日本生理学大会(前橋)
演題番号:1P1-090
演題:「破骨細胞のNa+/Ca2+交換輸送体の発現とその骨吸収機能への関与」

演者: 鍛治屋浩1, 李 京平1, 中尾彰宏1, 岡本富士雄1, 岩本隆宏2, 岡部幸司
所属: 1福岡歯科大学・細胞分子生物, 2福岡大学・医・薬理

「破骨細胞の骨吸収機能におけるNa+/Ca2+交換輸送の役割」

破骨細胞は骨基質に密着し,ruffled borderを介したH+分泌により骨ミネラルを吸収する.吸収窩内で溶解したCa2+は40mM近くまで濃度が上昇し,ruffled borderを介して組織液中に放出される.今回,このCa2+輸送へのNa+/Ca2+交換輸送体(NCX)の関与について検討した結果,破骨細胞には3種類のNCX(NCX1.3,NCX1.41,NCX3.2)が発現し,NCX阻害剤や各NCXのsiRNA は,NCX電流やNCX を介したCa2+流入を抑制すると共に,破骨細胞の骨吸収を低下させることが明らかとなった.従って,破骨細胞のNCXは高Ca2+濃度環境のruffled border膜においては,reverse modeを介して遊離Ca2+を細胞内に取込み,組織液中にCa2+を輸送する重要な役割を果たしていると考えられた.