日本生理学雑誌 第86号3号

CONTENTS

表紙の説明

〈表紙の図〉
大会名:第101回日本生理学会大会
演題番号:2P-094
演題名:高グルコース刺激によるマウス洞傍結節のリズム不整
演題名(英語):High·glucose·induced·irregular·rhythm·of·mouse·sinoatrial·node
演者:竹田有加里,松岡 達
所属:福井大学学術研究院医学系部門医学領域形態機能医科学講座統合生理学分野

説明(キャプション):
糖尿病患者では,洞機能不全を含む不整脈の発症が多く,死亡率が著しく増加している.その病態には,高血糖によるCa2+制御異常の関与が考えられているが,全容は未だ解明されていない.本研究では,糖尿病における急性血糖上昇が洞房結節機能に及ぼす影響を,マウス心臓を用いて検討した.ランゲンドルフマウス灌流心への高グルコース負荷は,Electrocardiogram(ECG)において,これまでに報告されている心室性の期外収縮とは別に,R-R間隔の変則的リズム(洞房結節由来の不整脈)を誘発させた.単離洞房結節細胞においては,高グルコース負荷は,自発的かつ局所的なCa2+放 出“ local·Ca2+·release(LCR)”の振幅増加が認められた.これらのことから,糖尿病における急性の血糖上昇は,洞機能不全を誘発し,そのメカニズムにCa2+制御異常が関与する可能性が示唆された.

Aa:マウスのランゲンドルフ灌流心
Ab:コントロールtyrode液灌流時のECG(上図),ポアンカレプロット(下図)
Ac:高グルコースtyrode液灌流時のECG(上図),ポアンカレプロット(下図)高グルコースの負荷は,R-R間隔の変則的リズム(洞房結節由来の不整脈)を誘発させた.
Ba:Calbryte™520 を負荷した単離洞房結節細胞のCa2+イメージング
Bb,c:Pseudo·line-scan·image(上図),正規化した輝度変化(下図)高グルコースの負荷は,LCR(★)の振幅を増大させた.

利益相反の有無:なし