日本生理学雑誌 第84号4号

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表紙の説明

〈表紙の図〉
大会名 : 第99回日本生理学会大会
演題番号 : 3P07-01
演題名 : PK/PDモデル化のためのモルモット心室筋活動電位に対する薬物作用
演題名(英語) : Pharmacokinetics/pharmacodynamics modeling of the effect of E-4031 on cardiac action potentials in guinea pig.
演者 : 佐下橋杏実, 中西優奈, 佐藤里奈, 小林千夏, 姫野友紀子, 天野 晃
所属 : 立命館大学 生命科学研究科 生命情報コース
説明(キャプション):
モルモット左心室活動電位(AP)波形に対するhERGチャネル遮断薬E-4031の効果を再現する,薬物動態/薬物力学(PK/PD)モデルを構築した.PDモデルには,E-4031によるIKrチャネル阻害効果を実装した,モルモット心室筋細胞数理モデルを使用した.薬物投与はin situでの右心房への急速注入,大腿静脈からの5分間持続静注の2種類,in vitroでのランゲンドルフ灌流,計3種類の方法でおこなった.In situのPKモデルには2コンパートメントモデルを使用し,文献から得られたパラメータ値を用い,モルモット体内での血漿薬物濃度の時間経過を推定した.In vitroの場合にも,同じく2コンパートメントモデルを用いて灌流装置のエアトラップに含まれる溶液での薬物濃度を算出し,灌流心の薬物濃度を求めた.PDモデルに詳細な数理細胞モデルを使用したことにより,薬物濃度の時間変化に応じたIKrチャネル阻害の進行およびAP延長を計算できた.シミュレーション結果は,吸引電極法を用いて左心室壁から計測されたAP持続時間(APD)延長率の時間経過をよく再現した.
A:供試動物(モルモット,8週齢雌性Hartley)とランゲンドルフ灌流心標本(上),E-4031(20 nM)による活動電位波形の変化(黒:投与前,赤:投与後)(下).
B:IKr阻害モデルの状態遷移図(左)とシミュレーション結果(右).IKrチャネルは閉状態(C)と開状態(O)に,それぞれ準備状態(P)と阻害状態(B)があり,計6状態の間を遷移するとモデル化した.薬物投与前から投与後にかけて,膜電位Vm(グラフ左上),各イオン電流Ix(グラフ左下),IKrチャネルの開口確率(グラフ右上)を1周期毎に重ね合わせた.グラフ右下には, E-4031(20 nM)投与後15分のほぼ定常状態での6つの状態間の遷移を,1周期分帯で色分けして表示した.
C:ランゲンドルフ灌流装置.灌流液はカニューレを介して大動脈へ到達する直前にエアトラップを経由し,貯留している溶液(3 ml)と混合して心臓を灌流する.
D:PKモデルによって推定された薬物濃度の時間経過(上)と,PK/PDモデルを用いて計算された薬物効果の時間経過(下).左から順に,in situでの急速右心房注入,大腿静脈からの5分間持続静注,in vitroでのランゲンドルフ灌流心での薬液灌流の結果を表す.上グラフの黒線はいずれも心臓コンパートメントの薬物濃度,左上グラフの赤線は体内血漿濃度,右上グラフの青線はエアトラップ内貯留液の薬液濃度を示す.下グラフには,APD90延長率の実験データ(点)とPK/PDモデルで計算されたシミュレーション結果(桃色線)を重ねて表示してある.
利益相反の有無:なし
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