日本生理学雑誌 第84号3号

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表紙の説明

〈表紙の図〉
大会名:第99回日本生理学会大会
演題番号:2P08-11
演題名:メスのVRK2欠損ゼブラフィッシュでは攻撃行動が増強する.
演題名(英語):Vrk2 deficiency promotes aggressive behavior in female zebrafish
演者:梅田涼平,清水誠之,波田一誠,寺西仁志,鹿野健史朗,比嘉涼子,漆畑博太郎,白石裕士,花田俊勝,花田礼子
所属:大分大学医学部神経生理学講座,大分大学医学部細胞生物学講座
説明(キャプション):
GWASによりヒトの精神神経疾患に関連が深いと報告されているVaccinia related kinase 2(VRK2)を欠損させたゼブラフィッシュ(VRK2 KO)を作製し解析した.行動解析ではメスVRK2 KOでのみ攻撃行動が増加した.また,メスVRK2 KOでは脳のGABA含量低下および前脳領域の神経樹状突起密度の上昇を認めた.以上よりメスVRK2 KOの行動異常の表現型はこれらに起因することが示唆された.
A:VRK2 KO作製の詳細.VRK2遺伝子のexon 1の5塩基をCRISPR/Cas9システムを用いて欠損させた.その結果,フレームシフトが起こり,VRK2の欠損が確認された.
B:鏡に映る自身の姿に対する攻撃行動を測定し評価するミラーテストにおいてVRK2 KOのメスでのみ野生型ゼブラフィッシュ(WT)と比較して顕著な攻撃性の増加が認められた.
C:ゼブラフィッシュ全脳の抽出液から,LC/MS/MSを用いて神経伝達物質含量の測定を行った.メスVRK2 KOでのみWTと比較してGABA含量の低下が認められた.
D:前脳領域においてGolgi-cox染色を用いて神経の形態を評価した.メスのVRK2 KOにおいてWTと比較して神経樹状突起の形態異常を呈することが判明した.
利益相反の有無:なし