日本生理学会雑誌82巻1号

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表紙の説明

〈表紙の図〉
大会名:第9回アジア・オセアニア生理学会連合大会
演題番号:1P-329
演題名:後肢侵害刺激時の昇圧反応における外側腕傍核の関与
演題名(英語):Involvement of the lateral parabrachial nucleus in the pressor responses to pinching of the hindpaw
演者:野澤羽奈1,下重里江1,谷口敬道1,柴田秀史2,黒澤美枝子1
所属:1国際医療福祉大学大学院・医療福祉研究科,2東京農工大学大学院・農学研究院
説明(キャプション):
当研究室では体性感覚刺激によって誘発される各種自律神経反射についての研究を行っている.本研究は麻酔ラットの後肢足蹠に侵害性機械的刺激を加えた際に起こる反射性の昇圧反応の中枢性機序を検討したものである.
この反射は脊髄より上位中枢を介して起こるが,その詳細なメカニズムは不明である.一方で脊髄後角に入力する体性侵害情報の90%以上が外側腕傍核(LPBN)に投射することが知られている.そこで,本研究はLPBNに着目し,後肢侵害刺激時の昇圧反応への関与を検討することを目的とした.またLPBNへの体性侵害情報の投射は反対側優位であるため,本研究でも刺激の側性に着目した.そのために一側LPBN(右側)にムシモール(GABAA受容体作動薬)を投与することでLPBNのニューロン活動を抑制し,左右の後肢足蹠各々に侵害刺激を加えた際の昇圧反応の変化を検討した.
ラットの後肢足蹠に侵害刺激を加えると,動脈圧は速やかに上昇し,刺激終了後も有意な上昇が3分以上持続した(図A,C,D,F,青線).右LPBNにムシモールを投与した後,反対側(左側)後肢の刺激時では,溶媒投与時と比べ昇圧反応の大きさが有意に減弱した.刺激後の昇圧時間も1分20秒までに短縮した(図C,赤線).ムシモール投与後,同側(右側)後肢の刺激時にも昇圧反応は減弱傾向を示したが,その減弱は有意ではなかった(図F,赤線).以上から,ラット後肢足蹠侵害刺激時の体性-昇圧反射にLPBNが関与すること,さらに,その関与は刺激の側性に依存することが明らかとなった.
A,B,D,E:平均動脈圧の記録例,下の横棒は刺激を加えた20秒間を示す.
C,F:ラット6匹での反応のまとめ.横軸は刺激開始を0秒とする.縦軸は刺激前の20秒間の平均値を100%とした反応の大きさを示す.青:溶媒投与後,赤:ムシモール投与後.*p<0.05,**p<0.01,刺激前値との比較.
G:皮膚侵害刺激時の昇圧反応におけるLPBNの関与についての模式図.LPBN:外側腕傍核,AP:動脈圧.LPBNは,反対側皮膚に侵害性機械的刺激を加えた際の反射性の昇圧反応に関与する.
利益相反の有無:なし
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