日本生理学会雑誌80巻1号

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表紙の説明

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大会名:第94 回日本生理学会大会

演題番号:2P-068

演題名:HCN チャネルは酸味感知の主たる受容体ではない

演題名(英語):HCN channels are not principally involved in acid detection in mice

演者:中島則行,鷹野 誠

所属:久留米大学医学部生理学講座

説明(キャプション):  酸味受容は,舌に点在する味蕾内のIII 型味細胞が担うとされる.酸味の受容機構は未 だ完全には明らかになっておらず,酸受容体の候補として複数のイオンチャネルが挙がっ ている.そのうち過分極活性化型環状ヌクレオチド感受性(HCN)チャネルのサブタイプ 1 および4 は,味蕾内ではIII 型味細胞に特異的に発現しており,細胞外pH の低下により 開口することから酸受容体であることが示唆されていた(Stevens DR et al., 2001).しか し,HCN4 チャネルのノックアウトマウスは胎生致死のため遺伝子破壊実験が容易ではな く,酸受容へのHCN チャネルの実際の関与は不明であった.

本研究において,HCN4 の遺伝子座の片方にGFP 融合体をノックインし,もう一方では プロモータ直下に大腸菌Tet-off システムを導入したダブルノックインマウスを作製して から,さらにHCN1 ノックアウトマウスと掛け合わせた.マウスの成熟後にテトラサイク リン誘導体を投与しHCN4 の遺伝子をコンディショナルノックダウンした結果,依然とし てIII 型味細胞の酸応答を確認した.  よってIII 型味細胞に発現するとされるHCN チャネルは,酸味感知の主たる受容体では ないと結論した.

A:遺伝子改変マウスのHCN1 とHCN4 遺伝子座の模式図.tetO-CMV:tTA 結合領域お よびCMV プロモータ.

B:III 型味細胞からの細胞外電気記録方法.III 型味細胞は可視化されている.

C:III 型味細胞の電気活動トレース.味孔側からのクエン酸投与により,味細胞に活動電 位が生じている.

<関連論文> Stevens DR et al., Nature. 2001 Oct 11; 413(6856): 631-5. Hyperpolarization-activated channels HCN1 and HCN4 mediate responses to sour stimuli.

利益相反の有無:なし