日本生理学雑誌 第77巻4号

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Cover_ 20150701

第92 回日本生理学会大会

演題番号:P1-035

演題名:液滴内潅流による液滴接触膜上でのチャネル機能解析法 Methods for the functional analysis of ion channels on the contact bubble bilayer by the intra-bubble perfusion

演者:岩本真幸,老木成稔

所属:福井大学医学部分子生理学

脂質平面膜(PLB)法では,脂質組成や溶液条件など,厳密にコントロールされた環境 下でのイオンチャネル機能解析が可能である.一方,PLB 法の脂質二重膜の面積・膜容量 は大きいため,電気的ノイズの増大やチェンバー内溶液潅流効率の低さ,などといった短 所も存在する.  本研究では,脂質単分子膜に囲まれた油中液滴同士の接触で形成する液滴接触膜(CBB, 図A)をイオンチャネル機能解析の場として用い,上述の短所を克服した新しい人工膜実 験法を報告した.本法の特徴は,パッチピペット先端に膨らませた微小な油中液滴(約 300pL)を用いることである.これにより,形成されるCBB の面積は従来のPLB の1/100 程度となり,電気生理測定時の特性が大きく向上した.また,チャネルタンパク質を再構 成したリポソーム懸濁液で液滴を作成すれば,チャネルがCBB に移行し,単一および巨 視的チャネル電流が観測された.さらに,CBB を形成する一方の液滴に注入用ピペットを 挿入し,急速溶液潅流を試みた(図B).蛍光および電気生理学的測定から,CBB 近傍の 溶液は20ms 以内に置換されることがわかり,CBB 法が急速投与実験にも応用可能である ことが示された(図C).(Iwamoto & Oiki, Sci. Rep. 5(2015)9110)

A.液滴接触膜(CBB)法の概念図.2 本のピペットを用いてリン脂質を溶解させたヘキサ デカン中で液滴を作成し,両者を接触させることでCBB が形成される.装置はパッチク ランプ実験用のものを流用できる.

B.液滴内の急速潅流実験.2 本の注入ピペットからの溶液流を順に切り替えた.この際, 排液が液滴形成用ピペット内へ流れるように内圧を調節した.CBB 近傍(*で示した位置) における蛍光色素置換の時定数は14.4±0.4ms であった.

C.CBB 急速潅流実験の応用例.pH 依存性のKcsA チャネル由来の巨視的電流が,細胞 質側潅流液(pH7.5/4.0)の切り替えによってオン・オフする様子.

利益相反の有無:本発表について開示すべき利益相反関係にある企業等は無い