日本生理学雑誌 第77巻1号

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表紙の説明

077-01

第91 回日本生理学会大会

演題番号:1P-067

演題名:「Yellow Cameleon-Nano を用いたラット幼若心筋細胞のサルコメア長とカルシウムの同時観測」

“Simultaneous observation of single sarcomere length and local calcium in rat neonatal cardiomyocytes via expression of cameleon-Nano in Z-discs”

演者:塚本精一1,大山廣太郎2,新谷正嶺2,小比類巻生1,石渡信一2,3,福田紀男1 所属:1東京慈恵会医科大学・細胞生理学講座,2早稲田大学・先進理工学部,3早稲田大学・早稲田バイオサイエンスシンガポール研究所(WABIOS)

心筋細胞内のCa2+は心筋の興奮収縮連関と密接に関係している.心筋のサルコメア長とCa2+濃度を同時に測定することは,心筋の生理学的研究のみならず病態生理学的研究に新たな知見をもたらす.本研究において我々は,α-actinin のC 末端にCa2+インジケーターであるyellow Cameleon-Nano を融合させたタンパク質をラットの幼若心筋細胞に発現させた(図A).発現した融合タンパク質は,サルコメアのZ 線上に発現し,蛍光顕微鏡を用いることで横紋構造を確認することができた(図B).二光路系によってECFP 由来の信号とVenus 由来の信号を分けて観測したところ,収縮時,細胞内Ca2+濃度の上昇にともなってVenus の蛍光強度は上昇し(図C 上),ECFP の蛍光強度は低下した(図C 下). また,Ca2+濃度の変化を反映するVenus/ECFP 比とサルコメア長は強い対応関係にあった(図D).今回の研究によって得られた知見に基づき,近い将来,in vivo 心筋細胞内局所でのCa2+濃度変化とサルコメア長の同時計測が可能になると考えられる.

A:心筋細胞サルコメアのZ 線に発現させたα-actinin-cameleon の模式図.本研究で用いたcameleon のCa2+に対する挙動を右の吹き出しに示した.CaM はカルモジュリンを示す.

B:α-Actinin-cameleon を発現させたラットの幼若心筋細胞の落射蛍光像.周期的なZ 線を明瞭に確認することができる.

C:二光路系を用いて観測した,Ca2+濃度変化に対するVenus とECFP の信号の変化.収縮時の細胞内Ca2+濃度の上昇に伴い,Venus の信号強度は上昇し(上),逆にECFP の信号強度は低下した(下).擬似カラーを用いて光の強さを示している.

D:幼若心筋細胞中のサルコメア長の変化(赤)と蛍光強度の比(Venus/ECFP)の変化(青).連続した5 つのサルコメアの平均を用いて計測した.

本発表について,開示すべき利益相反関係にある企業等はない.