CONTENTS
- VISION - 節目としての2010 年に寄せて―日本生理学会をトップサイエンスリサーチャー/トップエデュケータ育成の場に!― (岡田泰伸) P.1~
- HELLO PSJ - 日本発のコネクトームを (岩崎広英) P.3~
- AFTERNOON TEA - 鳴 島円 「女友だち」 P.6~
- AFTERNOON TEA - 亀山正樹 P.6~
- AFTERNOON TEA - 鍵谷方子 P.6~
- INFORMATION - 2010 年度第5 回「ロレアル―ユネスコ女性科学者日本奨励賞」 募集のお知らせ P.10~
- RECORDS - FAOPS News Letter P.12~
- CALENDAR - 主な研究集会日程 P.24~
- MOURNING - 堀 哲郎先生 追悼のことば (片渕俊彦) P.25~
- MOURNING - 田崎一二 (Tasaki Ichiji) 先生を偲ぶ (徐 科) P.28~
- INFORMATION - 2009 年度第4 回「ロレアル―ユネスコ女性科学者日本奨励賞」 受賞者確定 P.11~
表紙の説明
The 36th Congress of the International Union of Physiological Sciences and The 86th Annual Meeting of Physiological Society of Japan (京都)
演題番号: P1AM-2-5
演題: “Ionic mechanisms underlying the development of ventricular arrhythmias in dilated cardiomyopathy”
演者: 塩谷孝夫1, 森本幸夫2, 頴原嗣尚1*
所属:1 佐賀大学医学部生体構造機能学講座器官・細胞生理学分野, 2 九州大学大学院医学研究院生体情報科学講座臨床薬理学分野, *現所属:長崎国際大学薬学部臨床薬学分野生理学研究室
本研究では,拡張型心筋症(DCM)における心室性不整脈のイオン機序について検討した. 実験は,遺伝性DCM のモデルである変異型心筋トロポニンT ノックインマウス[1]から単離した心室筋細胞を用いて,ホールセルクランプ記録を行った. DCM マウスの心室筋細胞では,活動電位持続時間の延長と,β 刺激にともなう遅延後脱分極(DAD)・早期後脱分極(EAD)の発生が認められた(図A). 活動電位プラトー電位付近における膜電流波形は, DCM マウスと野性型マウスとで大きく異なっており(図B), DCM マウスでは内向きNa/Ca 交換電流の振幅増大と, 外向きIKur およびIto の顕著な振幅減少が認められた(図C・D). これらのイオン電流の変化が, 活動電位再分極の遅延やDAD・EAD の発生をもたらし, 心室性不整脈を生じさせると考えられた.
A: DCM マウスにおいて, イソプロテレノール(100nM)投与によって誘発された不整脈性活動電位の例. 縦線は電気刺激(5Hz)のタイミングを, 点線は0mV レベルを示す. スケールは200ms と40mV.
B: 活動電位プラトー電位付近における膜電流記録の例. 野性型(Ctrl)とDCM マウスの細胞を-70mV に膜電位固定し, 300ms の脱分極パルスで誘発した. スケールは1A/Fと100ms.
C: 膜電位-40mV におけるNa/Ca 交換電流の振幅.
D: 4-aminopyridine(100μM)感受性電流として単離した, IKur のピーク振幅のI-V 関係.
[1] Du CK, Morimoto S, Nishii K, Minakami R, Ohta M, Tadano N, et al. Knock-in mouse model of dilated cardiomyopathy caused by Troponin mutation. Circ Res. 101 : 185―194, 2007.