094.電位依存性ホスファターゼVSPの酵素活性は電位センサーの動いた大きさに従って段階的に発揮される

電位依存性ホスファターゼ(VSP)はN末端側の膜貫通領域である電位センサードメインとC末端側の細胞内ドメインであるホスファターゼ領域により構成されています。VSPの酵素活性は電位センサーの動きにより制御され、細胞膜が脱分極すると電位センサーが動作してイノシトールリン脂質を脱リン酸化する酵素活性が駆動します。我々は以前、様々な膜電位で酵素活性を定量することで、電位センサーが酵素活性と強く共役することを見出しました(Sakata et al.J. Physiol.,2011)。この結果は、単一分子で考えると電位センサーが酵素を活性化する仕組みについて2つの可能性を示唆します。一つは電位センサーが完全に活性化された状態(fully-activated state)のときにのみ酵素活性を発揮し、電位依存的な酵素活性は完全に活性化されたVSP分子の割合を示している可能性、もう一つは電位センサーが動いた大きさに対応して、酵素活性の強さが段階的に制御されている可能性です。この2つの可能性を調べるために、我々は電位センサーがresting stateと完全に活性化された状態の間に安定な中間状態をとる電位センサーの変異体を作成しました。そして酵素活性を計測したところ、VSPは電位センサーが中間状態にある時にも酵素活性を発揮することが分かりました。このことはVSPの酵素活性は電位センサーが完全に活性化しなくても発揮され、酵素活性の強さは電位センサーが動いた大きさによって段階的に制御されている可能性を示しています。 (J.Physiol. 592:899-914, 2014). pict20140624163050 図の説明 電位依存性ホスファターゼ(VSP)の酵素活性は、電位センサーが動作することにより惹起されます。今回の研究によりVSPの酵素活性の強さは電位センサーの動いた大きさに対応して、段階的に変化することが分かりました。