2022年度 第13回 入澤彩記念女性生理学者奨励賞(入澤彩賞・若手枠)

吉田 さちね 東邦大学医学部解剖学講座微細形態学分野 養育個体との触れ合いで起こる幼若哺乳類の生理変化と愛着形成への関与

<2022年度入澤彩記念女性生理学奨励賞(入澤彩賞)若手枠審査のご報告

入澤彩賞若手枠として「学位取得後16年未満」で3 年以上の正会員歴(学生会員歴を含む)を有する生理学会会員を対象に募集を行ったところ15名の応募者があった。申請者の研究分野に合わせ、男女7名の審査員を選定した。

【審査経過】
令和4年11月25日に生理学女性研究者の会代表から各審査員へ審査書類を送付した。令和4年12月2日に審査委員会事務担当から各審査員へ12月7日までに審査結果を審査委員会事務担当宛に送付いただくよう依頼した。

審査は 研究業績、ライフ・ワークバランス、学会及び社会貢献度の三項目を各5点とし、総合順位を候補者の中からつけていただいた。また、評価の根拠も必ず記載していただいた。

12月7日にすべての審査結果が揃った。結果は、点数としては7名の審査委員のうち、1-5位までが僅差であった。数を合計してしまうと、各項目の点数の付け方が審査委員によってばらつきがあるため高めに設定している審査員の影響が大きくなりがちという事があるため、点数は審査員間で標準化するか、審査員毎に出した順位から点数をつける順位点( 1位-5点,  2位-4点, 3位-3点, 4位-3点, 5位-1点, 6位以下-0点)とした方が公正ではないか、という意見が出た。他の委員も同意したため、改めて順位点をつけて集計を行った結果、1位から4位までは1点差で僅差であった。

そこで、上位4名を再投票して決定するのはどうかという提案に、他の審査委員も全員同意し再投票を行い、その投票結果において1位であった候補者が入澤彩賞(若手枠)に推薦された。1位の候補者は、出産育児や、職が数年毎に変わる等のライフイベントもありながら、研究業績もあげて独自の研究を貫いている点で高い評価を得た。

今回の審査では、点数評価の対象が3つあり、研究業績、ライフワークバランス、学会活動・社会貢献の3つが同格に評価される形だった。しかし研究者は、研究業績についての評価を第一にするべきとも考えられ、ライフワークバランスと学会活動社会貢献は、研究業績が同等の場合にどちらを上にするかという観点で補助的に使うべきという意見も出た。一方で、現在研究費を持っている人にあげるよりは、ライフイベントを乗り越えて頑張っている女性研究者に受賞させたいという考え方もある。そのあたりの審査の基準を、ある程度明確化して審査員の共通認識にするように、次回以降の募集要項を作る上で参考にしていきたい。

入澤彩賞(若手枠)選考委員会 事務担当および報告書作成
WPJ 運営委員会委員
東京都医学総合研究所 チームリーダー 丸山 千秋