2021年度 第12回 入澤彩記念女性生理学者奨励賞(入澤彩賞・若手枠)

第12回 入澤彩記念女性生理学者奨励賞(入澤彩賞・若手枠)
高橋 阿貴 筑波大学人間系 社会的ストレスと攻撃性をつなぐ神経メカニズム

<2021年度 入澤彩記念女性生理学奨励賞(入澤彩賞)若手枠審査のご報告>

標記に関し、若手枠として「3 年以上の正会員(学⽣会員を含む)歴を有する⼥性⽣理学研究者で学位取得後16年未満の方」を対象に募集を行ったところ、11名の応募があった。申請者の研究分野に合わせ、男女7名の審査員により審査された。

【審査経過

  • R3,12.17~1.6:約3週間以内に審査シートに従って書面審査を依頼。
  • 1-11位までの順位とコメント(この順位にした理由など)を記入していただいた。

その際、①COIがある場合は審査しないこと、②順位の平均値(順位の合計を、審査した委員の数で割ったもの)が最も低い方を1位とすること、③僅差の場合は投票で決定する旨を説明した。

  • 1.6:全ての審査員から来た順位およびコメントを集計し、順位の平均値を算出して各審査員に送り返した。尚、今回COIがある審査員の方はおられなかった。

審査の結果、順位のバラつきが少しあったため、上位の者による再投票にするか否か、生理学女性研究者の会委員長も含めて検討を行った。バラつきの原因としては、業績のみを重視するのか、ライフイベントも考慮するのかで異なる審査結果が出たと考えられる。

入澤彩賞は、故入澤彩先生のご遺志を継ぎ、ライフイベント等様々な状況を経ても頑張って研究を続けている女性研究者を奨励するために設けられた。従ってこれまでは、「様々なライフイベントを乗り越えて研究を継続発展している方」といった申請の段階での限定があった。しかし、今回の入澤彩賞の選考対象と応募資格は 「様々な生理学の分野で優れた研究成果を上げた女性研究者を対象とする」とし、「頑張っている女性研究者全てを支援する」というスタンスであった。1位の候補者は、独創的な研究を行っており、競争的資金の獲得状況・筆頭著者・責任著者の論文数など業績において申し分なかった。

審査基準は各審査員にゆだねられており、討議の結果、上位候補者3名による再投票は行わず、このまま1位の候補者を推薦することになった。今回の結果から得られた今後の課題としては、審査基準において、どこに焦点を当てるかを、より明確に審査員に伝えておくべきであった点である。今後の審査に役立てたい。

入澤彩賞(若手枠)選考委員会 事務担当および報告書作成
WPJ 運営委員会委員
和歌山県立医科大学 教授 西谷 友重