夏堀 晃世 (東京都医学総合研究所 精神行動医学研究分野 睡眠プロジェクト)
縫線核セロトニン神経は皮質エネルギー代謝を睡眠覚醒依存的に調節する
<2024年度 入澤彩記念女性生理学奨励賞(入澤彩賞)若手枠 審査報告>
入澤彩賞若手枠として「学位取得後16年未満」で3年以上の正会員歴(学生会員歴を含む)を有する生理学会会員を対象に募集を行ったところ8名の応募者があった。申請者の研究分野に合わせ、男性4名、女性3名の計7名の審査員を選出して審査を行った。
審査は 研究業績、ワーク・ライフ・バランス、学会及び社会貢献度の3つの観点について、各観点の比重を研究業績50%、ワーク・ライフ・バランス30%、学会及び社会貢献度20%として、100点満点で評価して頂くと共に、総合順位を候補者の中からつけて頂いた。また、同点となることも考慮して、評価の根拠も必ず記載して頂いた。
総合点数では、全ての評価者が夏堀晃世氏に1 位を付けたため、1位と2位の決選投票までには至らなかった。今回は、夏堀氏がワーク・ライフ・バランスと研究業績共に評価が高かったため、全ての評価者が1位を付けたと思われる。しかしながら、夏堀氏は、生理学会に対する貢献度がそれほど高くはなかったため、学会賞としてはどうか…との話もあったが、入澤彩賞は「どのような環境に置かれても研究を頑張り続けている女性研究者に贈られるもの」という考えから、夏堀氏が相応しいとされた。この賞をきっかけに、もっと生理学会にも積極的に参加されることを望む。最終的に、夏堀氏が入澤彩賞(若手枠)受賞者として審査員全員から承認された。
夏堀晃世氏は、自分自身が幼少期より睡眠-覚醒に伴う脳活動・脳状態変化について興味が有り、その解明を研究テーマとして、研究の場所は移っても一貫したテーマを持ち、独自の方法を開発する等、研究の発展性が高く、質の高い研究を行っている点で高い評価を得た。さらに、子育てや手術等大変な時期を経ても、粘り強く研究したことも評価された。
また、今回の審査において、医学部卒業生が医師免許を有する事でMDの立場で「学位取得後16年未満」として応募して来ていたため、「学位取得後 16年未満の若手研究者枠」の場合、MDを学位とみなすのか…という事について、委員会内で議論する予定である。
今後も、審査基準については、「女性生理学者活動推進委員会」で事前に話し合い、その年度の選考委員会では、応募者の評価について、現場で話し合いながら、より良い選考が出来るよう考慮していくつもりである。
2025年1月8日
女性生理学者活動推進委員会
委員長 荒田 晶子