2020年度 入澤彩記念女性生理学者奨励賞

第11回入澤彩記念女性生理学者奨励賞(入澤彩賞)学会賞

 

岡松 優子 (北海道大学大学院 獣医学研究科 生化学教室)

「シリアンハムスターにおける出生後の白色脂肪から褐色脂肪への組織転換/Postnatal white-to-brown conversion of adipose tissue in Syrian hamsters」

 

<入澤彩賞選考のご報告>

入澤彩賞選考に関する業務をWPJ(生理学女性研究者の会)は生理学会より委託されていますが、実際の選考は選考委員(男女両性により構成)が行っております。WPJとしては選考の公平性を保つため、選考過程をできるだけ公開したいと考えております。

今年度の応募者は9名でした。以下に、今回の入澤彩賞の選考工程をご報告いたします。

 

  1. 選考委員の選出

・審査員候補者を、WPJの運営・企画委員からなる「生理学女性研究者の会運営委員会」にて複数出し合い、その中より、応募者のそれぞれの研究分野に比較的近い研究者であり、応募者と師弟関係や共著者などの関係がない研究者という条件で、男女の偏りなく審査員5名(男性3名、女性2名:WPJ会員1名、WPJ非会員4名)を入澤彩賞選考委員として依頼しました。選考委員決定後、応募者から提出された申請書等一式を選考委員に郵送し、選考をお願いしました。

 

  1. 選考委員会による選考の流れ

選考委員会では次の手順で厳正な選考が行われました。選考委員⾧からの報告は以下の通りです。

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[1] 応募資格の確認

9 人の応募者全員が、応募対象である 「日本生理学会の会員で、3 年以上の正会員(学生会員を含む)歴を有する女性の生理学研究者であること」 に該当することが、WPJ 運営委員会によって確認された。

 

[2] 利害関係者の有無の確認

5 人の選考委員全員が、9 人の応募者のいずれとも利害関係に無く、全選考委員が全応募者を問題なく審査できることを確認した。

 

[3] 選考手順

委員長から委員に対し選考手順を提案し、委員による確認および修正を踏まえて、以下の手順で選考を進めることとした。

(1) 流れ

今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、非常に短い期間内で審査を行う必要が生じた。例年の審査方法では間に合わない可能性が懸念されたため、以下の流れで審査を進めることとした。

 

1.各審査委員が1人ずつ受賞候補者を推薦し、推薦理由とあわせて提出する。

2.集計した結果をもとに順位付けを行い、受賞候補者が3人以内の場合は順位表と選考

理由をもとに最終審査(投票)を行う。書面審査の段階で1位の候補者が過半数(3票)

を超えていた場合は、投票は行わず、合議により最終決定とする。

3.被推薦者が3人以上出た場合、または2位の被推薦者が2票あった場合は、Zoom会議

で再度審議を行い、投票獲得数をもって最終決定とする。

 

(2) 書面審査の方法

(a) 評価項目

(項目1) 総合判定

(項目2) 職場・家庭環境を変える大きな出来事を乗り越えて(の活躍)

(項目3) 優れた研究業績

(項目4) 若手人材の育成、および、その他特筆すべき点

の4 項目について評価した。

 

(b) 集計

各委員が、上記の、賞選考のポイントを理解し共有することは、非常に重要である。そのため、集計したシートでは、各委員の氏名・被推薦者名・推薦理由をすべて紐づけして順位付けを行った

 

[4] 選考過程、および結論

上記に従って書面選考を行い、集計した結果、5 人の選考委員のうち4 人が、1名の応募者を推薦した。推薦理由についても、項目(1)(2)(3)(4)それぞれに対して、高い評価コメントが記載されていた。評価コメントをまとめた集計シートをもとに、メールベースで合議審査を行い、その結果、全会一致で1位の応募者を受賞者と決定した。