日本生理学雑誌 第72巻 9号

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表紙の説明

The 36th International Congress of Physiological Sciences(IUPS2009)and The 86th Annual Meeting of Physiological Society of Japan(京都)
演題番号:P1AM-11-10
演題:“Recycling of D1 receptor by G-protein Rho and phospholipase D through vesicular trafficking to the plasma membrane in Aplysia neurons”
演者:川崎敏1,落合仁1,木村眞吾1,藤田玲子2,佐々木和彦1
所属:岩手医科大学医学部生理学講座神経・筋・感覚器生理学分野,2 岩手医科大学共通教育センター化学科
A.Aplysia 腹部神経節には,ドーパミン(DA)投与によってコレラ毒素感受性G 蛋白を介してゆっくりとしたNa+電流応答を発生する細胞がある.このDA 応答は,低分子量G蛋白Rho を阻害するClostridium difficile toxin B やClostridium botulinum C3 exoenzyme の細胞内注入によって著しく抑制される.また,Rho の不活性化を促進するRhoGAP を細胞内投与してもDA 応答は減少した(省略).
B.逆に,Rho の活性化を促進させるRhoGEF を細胞内注入すると増大した.
C.さらに,この応答はphospholipase D の阻害剤1-butanol(省略)やα-synuclein の投与によって顕著に抑制された.
D.さらにcaveloae 依存性endocytosis を阻害するmethyl-β-cyclodextrin またはFilipinの投与により増大した.また受容体recycling の阻害剤monensin や,dynamin inhibitorのdynasore や,SNARE protein の阻害作用を持つNEM やSNAP25 のC-末端ペプチドの細胞内投与でも抑制された.
これらの結果と他のsupporting evidence から,我々はこの応答に関わるD1 受容体の細胞表面密度はD に示したようにRhoB or C とPLD により調節されるSNARE 依存性小胞融合とcaveolae 依存性endocytosis を介した受容体recycling により調節されていることを提唱している.