日本生理学雑誌 第85号4号

CONTENTS

表紙の説明

〈表紙の図〉
大会名:第 100 回日本生理学会大会
演題番号:3P-117
演題名:FMRFamide 作動性 Na+ チャネルに対する FMRFamide アナログペプチドの作用
演題名(英語):Effects of FMRFamide analogues on the FMRFamide-gated Na+ channel
演者:古川康雄1,古満芽久美2,浮穴和義2
所属:1.広島大学大学院 統合生命科学研究科 神経生物学研究室,2.広島大学大学院 統合生命科学研究科 神経代謝調節学研究室

説明(キャプション):
A:軟体動物アメフラシの FMRFamide 作動性 Na+ チャネル(AkFaNaC)のホモロジーモデルとドッキングシミュレーションにより得られた FMRFamide 結合状態.
A1:AkFaNaC モデルの全体構造.モデルは,ニワトリの酸感受性チャネル(cASIC1)の結晶構造をテンプレートとし,modeller により作製した.AkFaNaC はホモトリマーであり,ここでは各サブユニットを異なる色(青,緑,ピンク)で示している.また,各サブユニット内に認められるサブドメイン構造の内,フィンガー領域と呼ばれる部位を赤色で示している.
A2:フィンガー領域の拡大図.多くの無脊椎動物の FaNaC において保存されている芳香族アミノ酸を示している(アミノ酸番号は,AkFaNaC のアミノ酸配列にる).
A3:ドッキングシミュレーション結果の一例.フィンガー領域全体をターゲットとしたドッキングシミュレーションにより得られたもの.このドッキング構造は,Bに示すFMRFamide感受性を失った W167V 変異体のモデルを用いたシミュレーションでは全くみられなかった.

B:AkFaNaC およびその W167 変異体チャネルにおける FMRFamide の濃度反応関係.
W167F,W167Y 変異体のグラフにおける青の破線は野生型の濃度反応関係を示す.167 位のトリプトファンをバリンに置き換えると FMRFamide 応答性が完全に消失した.一方,トリプトファンをフェニルアラニンやチロシンに変えた場合は,低感受性となるものの FMRFamide による活性化は維持された.また,FMRFamide アナログペプチドの作用が,WTとW167F変異体では異なることがわかった.これらの結果から,W167がFMRFamide 結合,もしくはチャネル活性化に必須であることが示唆された.

利益相反の有無:なし