CONTENTS
- SCIENCE TOPICS - TRPC6におけるCa2+-依存的不活性化機構の解明と腎病変 「巣状糸球体硬化症」への関与―ブレーキ機構CDIの破綻が腎疾患の原因― (ポラットオヌール,宇野雅俊,杤尾豪人,森 誠之) 小脳の急性炎症による『心のはたらき』の不調とその回復 (山本正道,金 玟秀,今井宏彦,大槻 元)
- EDUCATION - Teaching pathophysiology at Poznan University of Medical Sciences, Poland(Dominika Kanikowska)
- EDUCATION - 教育サテライトワークショップに参加して(佐藤麻紀)
- EDUCATION - 生理学クイズ大会見聞録(小野富三人)
- AFTERNOON TEA - 佐藤達之、太田桂輔「愛が足りない⁉」、和田英治「スポーツが変えるアメリカの大学」
表紙の説明
〈表紙の図〉
大会名:9th FAOPS Congress 第96回日本生理学会大会 合同大会
演題番号:1P-075
演題名:マウス心筋前駆細胞における不規則な核分裂
演題名(英語):Irregular division of the nucleus without cytokinesis in cardiac progenitor cells of mouse heart
演者:福永 諒,尾松万里子,松浦 博
所属:滋賀医科大学・生理学講座・細胞機能生理学部門
説明(キャプション):
ほ乳類の心臓には,種々の心筋幹細胞・前駆細胞が存在する.成体マウス心臓から単離されたAtypically-shaped cardiomyocytes(ACMs)は拍動する心筋前駆細胞であり,そのほとんどは複数の核をもつ.最近我々は,培養中にACM同士が融合して多核細胞となることを明らかにした.本研究では,多核形成のもう一つの要因である核分裂の可能性について検討した.ACMでは,通常の細胞とは異なる核形不整や不規則な核分裂が認められたが,4週間以上の長期培養においても細胞質分裂は認められなかった.これらのことから,ACMにおける多核形成は,細胞融合と核分裂の両方に起因することが示唆された.また,核形不整は細胞分裂の阻害に関与している可能性があると考えられた.
A:マウス心臓を灌流して酵素処理した後,心室筋細胞を取り除いた分画を半固形培地中で培養した.数日後に見出される拍動細胞がACMであり,収縮タンパク質α-actininを発現している.スケールバー,50μm.
B:多くの細胞が複数の核を有していた.
C:近接する2つの細胞aとbが融合し,72時間後には1つの拍動細胞となった.イラストは2つの細胞の輪郭を示している.スケールバー,50μm.
D:DAPI染色.ACMの核形不整や不規則な核分裂が明らかになった.スケールバー,5μm.
利益相反の有無:なし