日本生理学雑誌 第62巻 JJP号

表紙の説明

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IN JJP: JJP和文要旨 vol 50 no 1 [

Past, Present and Future of the JJP

  • Past, Present and Future of the JJP
  • 菅 弘之 (JJP 編集委員長 (2000))

創刊 50 年にあたり,JJP のこれまでの到達点を概観. [Editorial pp. 1-1] [On PubMed] | [JJP-Online]

ヒトにおける上気道反射の生理学的意義と病態生理学的意義について

  • Physiological and Pathophysiological Implications of Upper Airway Reflexes in Humans
  • 西野 卓 (千葉大学医学部麻酔学教室)

上 気道には多くの重要な機能が備わっているが,とりわけ上気道反射によって支えられている気道防と気道の開存を保持する機能は生命維持の上から重要である. 上気道反射は気道の粘膜下や粘膜内の受容器の興奮によって生じるが,反射効果は睡眠,麻酔,呼吸ドライブなど多くの要因によって修飾される. [Review pp. 3-14] [On PubMed] | [JJP-Online]

低酸素に対する呼吸反応の神経性統御機序

  • Neuronal Mechanisms Mediating the Integration of Respiratory Responses to Hypoxia
  • 林 文明,福田 康一郎 (千葉大学医学部第2生理)

低 酸素に対する呼吸反応を引き起こす神経性機構の統御メカニズムを総括した.低酸素に対する呼吸反応を促進性と抑制性に区分し,それぞれを引き起こす神経回 路,関与する神経化学伝達物質および反応の時間的変化の機序を考察して全体像をまとめた. [Review pp. 15-24] [On PubMed] | [JJP-Online]

マウス腸間膜における生体内リンパ循環動態研究装置の開発

  • Development of an Experimental Apparatus for Investigating Lymphatic Pumping Activity of Murine Mesentery In Vivo
  • 小野 伸幸,水野 理介*,野尻 浩*,大橋 俊夫* (長野高専電子制御工学科,*信州大学医学部第一生理学教室)

マ ウスの腸間膜リンパ循環動態を生体内で観察できる生体顕微鏡システムを開発した.その装置を用いて実験を行った結果,DDY マウスの腸間膜リンパ管は,自発性収縮を示し,またノルエピネフリンおよびテトラエチルアンモニウムによって収縮を示すことが判明した. [Regular paper pp. 25-31] [On PubMed] | [JJP-Online]

In vivo 家兎迷走神経刺激の心拍数及び心拍変動に対する影響

  • Effect of Constant and Intermittent Vagal Stimulation on the Heart Rate and Heart Rate Variability in Rabbits
  • 岩尾 哲,米持 英俊,中川 幹子,高橋 尚彦*,犀川 哲典*,伊東 盛夫 (大分医科大学臨床検査医学,*大分医科大学内科第一)

心 拍数と心拍変動 (HRV) は,自律神経活動の指標として用いられており,心疾患の生 命予後との関連も報告されている.我々は,家兎において迷走神経直接刺激の心拍数と心拍変動に対する影響を検討した.無刺激時と比較し持続刺激時,断続刺 激時とも,mRR は延長したが,呼吸周波数に一致した成分は変化せず,断続刺激時のみ on-off の周波数に一致した 0.5 Hz に巨大な成分が出現した.心臓迷走神経刺激による心拍変動は,同程度にmRRの延長をきたす刺激においても異なった結果を示す可能性が示唆される. [Regular paper pp. 33-39] [On PubMed] | [JJP-Online]

長期ベッドレスト中のカウンターメジャーの有無に対するヒトヒラメ筋線維の組織化学的反応

  • Histochemical Responses of Human Soleus Muscle Fibers to Long-Term Bedrest with or without Countermeasures
  • 大平 充宣,吉永 智雄,埜中 征哉1,大原 誠,吉岡 利忠2,山下(後藤) 勝正2,泉龍 太郎3,安川 浩3,関口 千春4,ボリス シェンクマン5,イネッサ コズロフスカヤ5 (鹿屋体育大学,1国立精神・神経センター,2聖マリアンナ医科大学,3宇宙環境利用推進センター,4宇宙開発事業団,5医学生物学研究所)

2 または 4 カ月間のベッドレスト中のカウンターメジャーがヒトヒラメ筋線維のタイプ及び横断面積に及ぼす影響を追求した.その結果,筋の伸展はベッドレストによる筋 線維の萎縮を防止するが,速筋化の抑制には効果がなかった. [Regular paper pp. 41-47] [On PubMed] | [JJP-Online]

単収縮および強縮により疲労した骨格筋単一筋繊維における機械的収縮能力に対する温度の効果

  • The Effects of Temperature on the Mechanical Performance in Fatigued Single Muscle Fibers of the Frog Induced by Twitch and Tetanus
  • 稲村 直子,藤重 綾子,三宅 進一,小野 陽,土屋 禎三 (神戸大学理学部生物学教室)

カ エル骨格筋単一筋繊維に連続的に単収縮あるいは強縮を与え,聴力低下すなわち疲労を発生させ,張力変化時間過程,長さ-張力関係,短縮速度などを測定し, それらに対する温度の効果を調べた.結果より単収縮と強縮では疲労機構が異なることが示唆された. [Regular paper pp. 49-57] [On PubMed] | [JJP-Online]

健常高齢者の起立耐性失調中のノルエピネフリン (NE),エピネフリン (EP) 反応性

  • Norepinephrine and Epinephrine Responses during Orthostatic Intolerance in Healthy Elderly Men
  • T. Gabbett,G. Gass,E. Gass,N. Morris,G. Bennett1,L. Thalib2 (School of Physiol. and Exercise Sci., Fac. of Health Sci., Griffith Univ. Gold Coast, Australia,1Midical Division, Nepean Hospital Penrith, Australia,2Shool of Public Health, Fac. of Health Sci., Griffith Univ. Logan, Australia)

健常高齢者では起立耐性失調者の血中NE濃度増加は耐性者に比べて少なく,失調者で血圧低下が大であったにも係わらず血中EP濃度増加は両者で差が無く,若年者と対照的であった. [Regular paper pp. 59-66] [On PubMed] | [JJP-Online]

ラット破骨細胞への浸透圧性膜伸展刺激は,細胞内 Ca2+ を上昇させ,その骨吸収活性を抑制する

  • Osmotic Membrane Stretch Increases Cytosolic Ca2+ and Inhibits Bone Resorption Activity in Rat Osteoclasts
  • 都築 尊,岡部 幸司*,鍛冶屋 浩*,羽生 哲也 (福岡歯科大学歯科補綴学・*口腔生理学)

破骨細胞へのメカニカルストレス (MS) の効果を,低浸透圧溶液による膜伸展を用いて,細胞内 Ca2+ ([Ca2+]i) と細胞骨を指標に検討した.MS は stretch-activated channel を介した [Ca2+]i 上昇により,破骨細胞の骨吸収能力を抑制することが示唆された. [Regular paper pp. 67-76] [On PubMed] | [JJP-Online]

心房細動不整脈下イヌ左心室の実効動脈エラスタンス (Ea)

  • Effective Arterial Elastance of Irregular Beats during Atrial Fibrillation in Canine Left Ventricle
  • 三谷 英信1,山口 裕己1,森田 照正1,大島 祐1,清水 壽一郎,伊藤 治男,荒木 淳一,高木 都2,佐野 俊二1,菅 弘之 (岡山大学医学部生理学第二講座・1心臓血管外科学講座,2奈良県立医科大学生理学第二講座)

開胸イヌ心房細動下不整脈中の左心室の実効動脈エラスタンス (Ea) の解析を行った実験研究であり, (Ea) 並びにそれと収縮性指標 Emax との比などの不整脈に伴う変動の特徴が初めて明らかにされた興味ある論文である. [Regular paper pp. 77-89] [On PubMed] | [JJP-Online]

ハロタン麻酔ラットにおける人工低体温下の低酸素に対する換気および頸動脈化学受容器の反応

  • Ventilation- and Carotid Chemoreceptor Discharge-Response to Hypoxia during Induced Hypothermia in Halothane Anesthetized Rat
  • 丸山良子,福田康一郎* (宮城大学看護学部,*千葉大学医学部第 2 生理)

人工低体温下の低酸素換気応答と頸動脈小体化学受容器の感受性ハロタン麻酔深度を調節したラットで検討した.酸素消費量で補正した換気量および化学受容器活動の PaO2 反応曲線から見た低酸素に対する感受性は低体温下でも維持されることを証明した. [Regular paper pp. 91-99] [On PubMed] | [JJP-Online]

ラットおよびモルモット摘出駆出心臓の等容性弛緩圧波形の4変数非線形回帰

  • Four-Parametric Non-Linear Regression Fit of Isovolumic Relaxation in Isolated Ejecting Rat and Guinea Pig Hearts
  • S.F.J. Langer (Inst. of Physiol., Free Univ. Berlin, Germany)

摘 出駆出左心室等容性弛緩圧波の従来型指数関数時定数での特徴付けにおける問題点を解決する目的で4変数非線形関数を考案し,その回帰解析から新関数の有用 性を証明した興味ある研究結果である.この新関数の病的心への応用が期待できる. [Regular paper pp. 101-113] [On PubMed] | [JJP-Online]

高二酸化炭素及び高酸素分圧下で脳賦活によって誘発される局所血流変化

  • Modulation of Evoked Cerebral Blood Flow under Excessive Blood Supply and Hyperoxic Conditions
  • 松浦 哲也,藤田 英明,柏倉 健一,菅野 巌* (JST 秋田,*秋田脳研)

麻 酔ラットと用いて皮質体性感覚野の局所電気活動に伴う局所血流の増加について高炭酸ガスと高酸素の影響を検討した.脳局所血流の調節が活動状態ばかりでな く,酸素化の程度によっても大きく影響されることを明らかにした興味ある研究内容である. [Regular paper pp. 115-123] [On PubMed] | [JJP-Online]

若年ならびに加齢ラットの眼組織における虚血再灌流

  • Postischemic Reperfusion in the Eyes of Young and Aged Rats
  • 石原 美香1,2, 中野 俊也3, 大浜 栄作3, 河合 康明1 (鳥取大学医学部 1第二生理学教室・2眼科学教室・3脳幹性疾患研究施設脳神経病理学教室)

眼 組織における虚血再灌流時の血流変化と虚血 6 時間後の網膜組織の変化を若年ラットと加齢ラットとで比較検討した.虚血再灌流時の眼循環動態および形態学的変化において加齢による影響のあることが示唆 された. [Regular paper pp. 125-132] [On PubMed] | [JJP-Online]

鍼灸刺激の鎮痛効果における広汎性侵害抑制調節の関与

  • Diffuse Noxious Inhibitory Controls in Anti-Nociception Produced by Acupuncture and Moxibustion on Trigeminal Caudalis Neurons in Rats
  • 村瀬 健太郎,川喜田 健司 (明治鍼灸大学生理学教室)

ラッ ト三叉神経尾側亜核の侵害受容ニューロン活動を指標として,鍼灸刺激とピンチ刺激の鎮痛効果を比較検討した結果,鍼灸刺激による鎮痛効果には,侵害受容器 を介した広汎性侵害抑制調節 (DNIC) が関与していることが示唆された. [Regular paper pp. 133-140] [On PubMed] | [JJP-Online]

ヘッドダウンティルトウサギにおける脳浮腫発生の検討

  • Does Edema Formation Occur in the Rabbit Brain Exposed to Head-Down Tilt?
  • 下山 玲子1,2,宮田 元3,大濱 榮作3,河合 康明1 (鳥取大学医学部 1生理学・2眼科学・3神経科学)

ウ サギ 45 度 HDT モデルにおける脳浮腫発生の有無について,脳水分含有量計測と組織学的検討を行った.2 日ないし 8 日間 HDT 群にて水分含有量に有意な増加はなく,組織学的に明らかな浮腫を示す所見は得られなかった. [Regular paper pp. 141-147] [On PubMed] | [JJP-Online]

肝臓のスーパオキシド・ジスムターゼ活性,血中硝酸塩と甲状腺ホルモンレベルに対するメラトニンの作用

  • The Effect of Melatonin on Liver Superoxide Dismutase Activity, Serum Nitrate and Thyroid Hormone Levels
  • B. Ozturk,S. Coskun,D. Erbas,E. Hasanoglu* (Depts. of Physiol. and *Pediatric Nephrol., Fac. of Med., Univ. of Gazi, Turkey)

ラッ トの日内リズム実験から,血中のメラトニン増加は,肝臓の活性酸素を除去するスーパーオキシド・ジスムターゼを増加し,血中甲状腺ホルモン (TSH. T3.T4) や硝酸塩レベルを減少さすことがわかった. [Regular paper pp. 149-153] [On PubMed] | [JJP-Online]

陸上ランナーにおける漸増的運動中の動的心拍数反応

  • Heart Rate Response during Incremental Exercise in Master Runners
  • A. Lucia,A. Carvajal1,M. Perez,A. Boraita2,L. Serratosa2,J.L. Chicharro1 (Dept. de Ciencias Morfologicas y Fisiologia, Univ. Europea de Madrid, Spain,1Univ. Complutense de Madrid, Spain,2Centro Nacional de Investigacion y Ciencias del Deporte, Consejo Superior de Deportes (CSD), Spain)

13 名の陸上ランナーで漸増的トレッドミル作業中の心拍数の動的反応を分析した.心拍数/走行スピード比を示す関係の直線の下方への変曲は,全ランナーの 31% 以下にしか認められず,大多数のランナーでは下方へ向けた変曲点はなかった. [Short communication pp. 155-158] [On PubMed] | [JJP-Online]

ラット心冠動脈の一過性結紮・再灌流による p53 蛋白の発現

  • Upregulation of P53 Protein in Rat Heart Subjected to a Transient Occlusion of the Coronary Artery Followed by Reperfusion
  • 謝 忠琳,小山 富康,阿部 和厚,藤井 幸子,澤 洋文,長嶋 和郎 (北大電子研)

ア ポトーシス誘導性因子 p53 が,心臓において虚血再灌流によって発現することについて従来の研究報告は否定的であった.ところがランゲンドルフ灌流装置に取り付けたラット心につい て,虚血再灌流により p53 mRNA の発現が増加することが本年 11 月の AHA において報告された.この報告に対応する p53 蛋白の増加を in vivo 虚血再灌流ラット心において免疫抗体法により確かめた.すなわち麻酔ラットを開胸し冠動脈を 45 分間結紮した後解除・再灌流し,途中開胸して覚醒・自発呼吸下に 4 時間維持した.この時点で再麻酔下に心臓を切り出し,パラフィン包埋切片をえた.unmasking 操作には超音波加熱とトリプシン処理を加えた.ベクター社の DO7 を用いて免疫抗体染色を行った結果,一過性虚血暴露部とその周辺域の多くの心筋細胞核で p53 蛋白が染め出された. [Short communication pp. 159-162] [On PubMed] | [JJP-Online]

線条体ラットの異常空中立ち直り反射

  • Abnormal Air-Righting Reflex in Striatal Rats
  • 増田 健,山口 峻司 (山形大学理工学研究科生体センシング機能工学)

高 次脳の動的姿勢制御機構を理解するために,除脳ラットの空中立直り反射を比較した.視床動物,中脳動物はほぼ正常な立ち直り反射を示した.線条体動物は異 常運動を示した.線条体を含む高次脳は,皮質との連絡が断たれると,脳幹の立ち直り反射中枢に干渉し協調を破壊する. [Short communication pp. 163-166] [On PubMed] | [JJP-Online]

純酸素吸入は収縮期の酸素消費を増大させない

  • Increase in O2 Delivery with Hyperoxia Does Not Increase O2 Uptake in Tetanically Contracting Dog Muscle
  • 上月 久治,坂田 進,大賀 好美,三澤 裕美,岸 隆司,高木 都 (奈良県立医科大学第二生理学教室)

血 液の酸素運搬性能は物理的に溶存した酸素がヘモグロビン結合酸素より酸素輸送に有利であると考えられている.純酸素吸入時の収縮筋の酸素消費は筋静脈血酸 素分圧の増大にもかかわらず増加しないことが明らかになった.動静脈シャントと酸素拡散能の低下がその原因と推測される. [Short communication pp. 167-169] [On PubMed] | [JJP-Online]

IN JJP: JJP和文要旨 vol 50 no 2 [

脊椎動物における体液調節の比較生理学−飲水調節を中心として

  • Comparative Physiology of Body Fluid Regulation in Vertebrates with Special Reference to Thirst Regulation
  • 竹井 祥郎 (東京大学海洋研究所)

脊椎動物は,進化の過程で生息場所を淡水から海水あるいは陸上へと拡げてきたが,それに伴い体液調節機構も大きく進化した.多様な体液調節機構の中から共通性を抽出して,脊椎動物における体液調節機構の本質を探る試みを行う. [Review pp. 171-186] [On PubMed] | [JJP-Online]

中等度高度の nitric oxide 排出,赤血球脂質過酸化および superoxide dismutase への影響

  • Effects of Moderate Altitude on Exhaled Nitric Oxide, Erythrocytes Lipid Peroxidation and Superoxide Dismutase Levels
  • N.A. Guzel,H. Sayan,D. Erbas (Dept. of Physiol., Fac. of Med., Gazi Univ., Turkey)

ヒ トで 2,300 m,7 日間滞在は血漿nitriteの増加,赤血球 malondialdehyde の減少,SOD の増加,NO 排出の減少をもたらした.血中 NO の増加が赤血球脂質過酸化を抑制することが推測された. [Regular paper pp. 187-190] [On PubMed] | [JJP-Online]

モルモット胃幽門前庭部輪走筋における自発性電気活動に対する K および Cl イオン除去と再投与の効果

  • Effects of Removal and Reapplication of K+ and Cl– on Spontaneous Electrical Activity, Slow Wave, in the Circular Muscle of the Guinea-Pig Gastric Antrum
  • 富田 忠雄,畑 忠善,徳納 博幸* (藤田保健衛生大学総医研,*名古屋大学医学部生理)

Slow wave は間質細胞に発生する電位 (driving potential, DP) で誘発されると考えられる.DPはK除去で短縮し,再投与で延長する.Cl を除くと著明に短縮し,K 再投与時の延長は消失する.これらの作用には筋小胞体の関与が示唆された. [Regular paper pp. 191-198] [On PubMed] | [JJP-Online]

短距離および長距離走者における激しい運動後の CO2 排出

  • Excess CO2 Output Response during and after Short-Term Intensive Exercise in Sprinters and Long-Distance Runners
  • 柚木 孝敬,堀内 雅弘,矢野 徳郎 (北大教育学部身体運動科学研究室)

激しい運動時には,乳酸蓄積によるpH低下で呼吸が促進し,CO2 が過剰に排出される.運動後の過剰 CO2 排出量は乳酸の増加に比例したが,短距離走者 (スプリンター) では長距離走者に比べて運動後の過剰 CO2 排出量が大きいことが判明し,乳酸に対する呼吸刺激の感受性に違いのあることが推測された. [Regular paper pp. 199-205] [On PubMed] | [JJP-Online]

Ischemic preconditioning の再潅流性不整脈抑制効果に対する Ca の重要性

  • Involvement of Ca2+ in Antiarrhythmic Effect of Ischemic Preconditioning in Isolated Rat Heart
  • 洪 葵,草野 研吾,森田 宏,藤本 良久,中村 一文,山成 洋,大江 透 (岡山大学医学部循環器内科)

短 時間反復性高濃度 Ca 負荷により短時間反復虚血時 (IPC) と同等の抗不整脈効果が得られ,ベラパミルによって IPC の抗不整脈効果は消失した.以上から,IPC の抗不整脈効果発現に Ca が重要な役割を果たしていることが示された. [Regular paper pp. 207-213] [On PubMed] | [JJP-Online]

セレクチンによるヒト消化管 Caco-2 細胞のイオントランスポートの活性化

  • Activation of Transepithelial Ion Transport by Secretin in Human Intestinal Caco-2 Cells
  • 福田方子,小原明人1,馬場忠雄,佐伯行一2 (滋賀医科大学第二内科・1基礎生物学,2基礎看護学)

セクレチンは単層 Caco-2 細胞の短絡電流 (Isc) を増加した.この Isc の増加は,NPPB 感受性の Cl− 電流および benzamil 感受性の Na+ 電流の増加によることが示唆された.Na+ 電流の増加には PKA が,Cl− 電流の増加には PKA と細胞内 Ca2+ の増加が関係するものと考えられる.また,セクレチンは体液側膜の Na+-HCO3− 共輸送体を活性化し,管腔側溶液へのアルカリ分泌を誘導することが示唆された. [Regular paper pp. 215-225] [On PubMed] | [JJP-Online]

血液を希釈した麻酔ネコの低酸素および高炭酸ガスに対する循環反応

  • Hemodynamic Responses to Hypoxia and Hypercapnia during Acute Normovolemic Hemodilution in Anesthetized Cats
  • A. Talwar,M. Fahim (Dept. of Physiol., Vallabhbhai Patel Chest Inst., Univ., of Delhi, India)

低 酸素と高炭酸ガス吸入の循環パラメーターへの効果がデキストランによる血液希釈 (Ht 低下) 時にどのように変化するかを麻酔ネコを用いて検討した.血液希釈時には低酸素によって心拍数と心拍出量は低下し,組織低酸素をもたらしやすいと結論した. [Regular paper pp. 227-234] [On PubMed] | [JJP-Online]

ヒト上皮細胞の膨張時放出 ATP による細胞容積調節のレセプター仲介性促進

  • Receptor-Mediated Facilitation of Cell Volume Regulation by Swelling-Induced ATP Release in Human Epithelial Cells
  • 出崎 克也1,津村 剛彦3,前野 恵美1,岡田 泰伸1,2 (1生理学研究所機能協関部門,2科学技術振興事業団戦略的基礎研究,3京都大学医学部内科学教室)

浸 透圧性膨張時には細胞内より ATP が放出される.この ATP の膨張後の容積調節 (RVD) への役割をヒト上皮細胞を用いて調べたところ,放出ATPは P2Y2 レセプターを刺激して膨張時の細胞内 Ca 動員とそれによる Ca 依存性 K チャネルの活性化を亢進して RVD を促進することが明らかとなった. [Regular paper pp. 235-241] [On PubMed] | [JJP-Online]

覚醒ラットにおける calcitonin-gene related peptide (CGRP) の膵外分泌に対する中枢性抑制効果

  • Inhibitory Effect of Central Calcitonin-Gene Related Peptide (CGRP) on Pancreatic Secretion in Conscious Rats
  • 金井 節子,増田 正雄,鈴木 伸治,太田 稔, 吉田 由紀1,船越 顕博2,宮坂 京子1 (1東京都老人総合研究所臨床生理部門,1国立病院九州がんセンター消化器部)

覚 醒ラットで,calcitonin-gene related peptide (CGRP) の脳室投与の膵外分泌および CCK 分泌に対する作用をしらべた.CGRP は CCK 分泌および膵外分泌の両方を抑制した.この抑制作用は,a アドレナリン受容体拮抗剤により減弱したが消失はせず,その他の経路の介在が示唆された. [Regular paper pp. 243-248] [On PubMed] | [JJP-Online]

培養オポッサム近位尿細管細胞における内向き整流性 K+ チャネルの蛋白脱リン酸化酵素 1 型および 2A 型による制御

  • Regulation of Inwardly Rectifying K+ Channel in Cultured Opossum Proximal Tubule Cells by Protein Phosphatases 1 and 2A
  • 久保川 学,中村 一芳,平野 順子,吉岡 芳親,中屋 重行,森 禎章*,窪田 隆裕* (岩手医大医学部第二生理,*大阪医大第二生理)

培養オポッサム近位尿細管細胞の内向き整流性 K+ チャネルは脱リン酸化酵素 1 型および 2A 型 (PP-1,PP-2A) により不活性化され,それは PP-1 および PP-2A が A キナーゼによるリン酸化部位を脱リン酸化した結果であると考えられた. [Regular paper pp. 249-256] [On PubMed] | [JJP-Online]

イヌ心臓におけるカフェインの酸素浪費効果を特徴づける力学エナジェティクス

  • Mechanoenergetics Characterizing Oxygen Wasting Effect of Caffeine in Canine Left Ventricle
  • 高砂 利行1,2, 後藤 葉一1, 畑 勝也1, 佐伯 彰夫1, 西岡 武彦1, タッド・テイラ ー1, 入部 玄太郎3, 毛利 聡3, 清水 壽一郎3, 荒木 淳一3, 菅 弘之1,3 (1国立循環器病センター, 2馬場病院内科, 3岡山大学医学部生理学第二講座)

冠 潅流中低濃度カフェインの心臓酸素浪費効果を心収縮性の酸素コストの面からイヌ 摘出交叉潅流心臓標本で解析して,収縮性を亢進させる場合の酸素コストがカルシウ ムに比べて 40% も大きいことが初めて示された. [Regular paper pp. 257-265] [On PubMed] | [JJP-Online]

ラット背外側中隔核のシナプス伝達に対するコルチコステロイドの作用

  • Effects of Corticosteroids on Synaptic Transmission in Rat Dorsolateral Septal Nucleus
  • 鶴崎 政志,赤須 崇 (久留米大学医学部生理学第二講座)

微 小電極法並びに single electrode voltage-clamp 法を用いて,ラット背外側中隔核細胞に於けるコルチコステロイドのシナプス伝達に対する作用を検討した.プレドニゾロン (100μM) は PSP を増大し,fast 及びs low IPSP は抑制した.GABA 及び glutamate 誘起電流は抑制しないことから,この作用は GABA の放出抑制により行われていることが示唆された. [Regular paper pp. 267-272] [On PubMed] | [JJP-Online]

クレアチン投与による走運動改善のバイオメカニズム

  • The Biomechanic Origin of Sprint Performance Enhancement after One-Week Creatine Supplementation
  • J.M. Schedel,P. Terrier,Y. Schutz (Inst. of Physiol., Fac. of Med., Univ. of Lausanne, Switzerland)

7 名のスプリンターに1週間クレアチンを投与し,走運動時の最大速度,ストライド数および歩幅をプラセボ群と比較した.その結果,クレアチンの投与群では, 走速度およびストライド数が有意に増加した.この結果はクレアチン投与により筋弛緩時間の短縮によるものと考えられる. [Short communication pp. 273-276] [On PubMed] | [JJP-Online]

細胞膨張で活性化されるヒト上皮細胞 Cl− チャネルの容積感受性機序

  • Volume Expansion Sensitivity of Swelling-Activated Cl– Channel in Human Epithelial Cells
  • 森島 繁1,2,清水 貴浩1,木田 肇3,岡田 泰伸1,2 (1生理学研究所機能協関部門,2科学技術振興事業団戦略的基礎研究,3京都大学医学部内科学教室)

容積感受性 Cl− チャネルの活性化メカニズムを浸透圧性に膨張させたヒト上皮細胞を用いて調べた.その結果,本チャネルの全細胞電流は,細胞容積や膜張力や静水圧の変化で はなく,細胞直径の二乗に最もよく相関し,その容積感受性はサイトカラシンで増加した.従って,細胞骨格系の関与するバネエネルギーが重要な役割を果たす ことが示唆された. [Short communication pp. 277-280] [On PubMed] | [JJP-Online]

心不全モデルでアポトーシスDNAフラグメンテーションを微量検出するため半定量 PCR 法

  • A Semi-Quantitative PCR Method for the Detection of Low Levels of Apoptotic DNA Fragmentation in a Heart Failure Model
  • C.S. McLachlan,J.L. Yin*,C. Driussi*,P.R. Jusuf,B. Hambly*,M.A. McGuire (Dept. of Pathol., Univ., of Sydney, Australia,*Dept. of Cardiol., Royal Prince Alfred Hospital, Camperdown, NSW, Australia)

アポトーシスを示す細胞の 割合は普通 2% 以下であり,通常の方法による検出は困難である.我々はこれを検出するための新しい方法を作り,心不全モデルに適用したところ,その初期から検出可能であ ることを確認できた. [Short communication pp. 281-284] [On PubMed] | [JJP-Online]

ヒマラヤ登山における血中エリスロポエチンと乳酸の相関

  • Correlation between Erythropoietin and Lactate in Humans during Altitude Exposure
  • 坂田 進,清水 悟,岸 隆司,平井 和子,毛利 一平,大野 佳美,上田 正次 (奈良県立医科大学第二生理学教室)

健 常日本人 4 名のヒマラヤ山岳地帯 (高度 3500 m) への登山において,血中エリスロポエチン濃度と血中乳酸濃度は高度上昇に伴って増加し,両者間に良い正相関があった.血中エリスロポエチン濃度が嫌気的状 態の指標として有効であることが示唆された. [Short communication pp. 285-288] [On PubMed] | [JJP-Online]

IN JJP: JJP和文要旨 vol 50 no 3 [

胃平滑筋における筋原性活動の発現機序

  • Cellular Mechanisms of Myogenic Activity in Gastric Smooth Muscle
  • 鈴木 光 (名古屋市立大学医学部生理学教室)

胃 腸平滑筋の筋間神経叢に分布するカハールの間質細胞が消化管自動運動の歩調取り細胞で,自動運動発現には細胞内カルシウムイオンの制御やイノシトールリン 酸受容体などが関与しているなど,胃運動発現機序に関する最近の知見をまとめた. [Review pp. 289-301] [On PubMed] | [JJP-Online]

微小重力環境に対する神経・筋の適応

  • Neuromuscular Adaptation to Microgravity Environment
  • 大平 充宣 (鹿屋体育大学スポーツ科学講座)

骨 格筋の形態的・機能的特性は,環境の変化に対し適応する.たとえば,速筋化を伴った萎縮は,微小重力環境に対する抗重力筋の一般的な適応である.本稿で は,微小重力環境に対する神経・筋の適応及びそのメカニズムについてまとめてみた. [Review pp. 303-314] [On PubMed] | [JJP-Online]

中心及び周辺視野に関連した,深さ方向のリニアベクションに誘発された身体動揺

  • Body Sway Induced by Depth Linear Vection in Reference to Central and Peripheral Visual Field
  • 川北 哲也,久野 慎介,三宅 養三,渡邊 悟* (名古屋大学医学部眼科,*大同産業医学研究所)

深 さ方向の視覚性運動刺激により,誘発される身体動揺及び vection に対する視野遮断効果について解析した.周辺視野遮断が中心視野遮断に比較し,身体動揺及び vection に対する影響が大きいことが明かとなった. [Regular paper pp. 315-321] [On PubMed] | [JJP-Online]

ほ乳類大腸における L-アラニンオリゴペプチドによる Cl 分泌の活性化

  • Stimulation of Cl− Secretion by l-Alanine Oligopeptides in the Mammalian Large Intestine
  • 池原 修,新保 斎,桑原 厚和*,鈴木 裕一 (静岡県立学食品栄養科学部生理学研究室,*環境科学研究所環境生理学研究室)

ジペプチド L-alanyl-L-alanine のマウス盲腸漿膜側への投与は,壁内神経を介した Cl− 分泌を引き起こすことが示唆された. [Regular paper pp. 323-328] [On PubMed] | [JJP-Online]

マウス赤白血病細胞のカフェインによる未成熟染色体凝縮は加圧処理により増大する

  • High Pressure Sensitizes Murine Erythroleukemia Cells to Caffeine-Induced Premature Mitosis
  • 松本 雅記,山口 武夫,中園 敬介,服巻 保幸,寺田 成之 (福岡大学理学部化学)

加 圧処理したマウス赤白血病細胞のカフェインによる未成熟染色体凝縮は MPF の活性化により誘導された.また,DNA ポリメラーゼのようなアフィディコリンにより活性が阻害される分子もまた G2 期から M 期への移行において重要な役割を演じていることが示唆された. [Regular paper pp. 329-336] [On PubMed] | [JJP-Online]

一酸化窒素とラット褐色脂肪組織熱産生機能

  • Nitric Oxide and Thermogenic Function of Brown Adipose Tissue in Rats
  • シヤマ−ル・クマ−ル・シャハ,黒島 晨汎 (旭川医科大学生理学第一講座)

ラッ ト褐色脂肪組織の熱産生を直接 in vitro 酸素消費で検討し,一酸化窒素の産生が基礎熱産生およびノルアドレナリン刺激熱産生と相関して増大することから,一酸化窒素が褐色脂肪組織熱産生の調節因 子であることが示唆された. [Regular paper pp. 337-342] [On PubMed] | [JJP-Online]

血管内皮増殖因子によるリンパ管内皮細胞内カルシウム動態とリンパ管拡張作用機序の解明

  • Effects of VEGF on Ca2+-Transient in Cultured Lymphatic Endothelial Cells and Mechanical Activity of Isolated Lymph Vessels
  • 荒井 史,水野 理介,大橋 俊夫 (信州大学医学部第一生理学教室)

VEGF は,リンパ官内皮細胞内のチロシンキナーゼの活性化を介して細胞内ならびに細胞外からのカルシウムを動員することによって細胞内カルシウム上昇を誘起する ことが判明した.また,VEGF は摘出イヌ胸管に対してリンパ管内皮細胞由来の一酸化炭素を産生放出することによって,顕著な拡張反応を誘起することも判明した. [Regular paper pp. 343-355] [On PubMed] | [JJP-Online]

視運動及び前庭性眼球運動におけるネコ片葉中間ゾーンのプルキンエ細胞活動

  • Purkinje Cell Activity in the Middle Zone of the Cerebellar Flocculus during Optokinetic and Vestibular Eye Movement in Cats
  • 小俣 朋浩,北間 敏弘,水越 昭仁1,上野 武彦2,川人 光男3,佐藤 悠 (山梨医科大学 第二生理学・1耳鼻咽喉科学・2脳外科学,3ATR 人間情報通信研究所)

視運動性,前庭性複合眼球運動中の猫小脳片葉中間帯域プルキンエ細胞の発火頻度は視運動眼球運動における眼球加速度,速度,位置係数を使って複合運動から前庭成分を引いた視運動成分によって再構成できた。 [Regular paper pp. 357-370] [On PubMed] | [JJP-Online]

閉ループ条件下における電気刺激を用いた頚動脈洞圧受容器反射伝達特性の同定

  • Closed-Loop Identification of Carotid Sinus Baroreflex Transfer Characteristics Using Electrical Stimulation
  • 川田 徹,佐藤 隆幸,稲垣 正司,宍戸 稔聡,立脇 禎二,柳谷 雄介,鄭 燦,杉町 勝,砂川 賢二 (国立循環器病センター研究所循環動態機能部)

圧 受容器領域を体循環系から分離しない閉ループ条件下で,大動脈減圧神経の電気刺激及び間欠的高頻度心臓ペーシングによって,頚動脈洞圧受容器反射の末梢弓 及び中枢弓の開ループ伝達特性を推定する方法を開発した. [Regular paper pp. 371-380] [On PubMed] | [JJP-Online]

プロ競輪選手の持久的トレーニングに対する代謝および神経筋の適応—縦断的研究—

  • Metabolic and Neuromuscular Adaptations to Endurance Training in Professional Cyclists: A Longitudinal Study
  • A. Lucia,J. Hoyos1,J. Pardo2,J.L. Chicharro2 (Dept. de Ciencias Morfologicas y Fisiologia, Univ. Europea de Madrid, Spain,1Associacion Deportiva Banesto, Spain,2Dept. of Enfermeria, Univ. Complutense de Madrid, Spain)

こ の研究の目的はスポーツシーズン中(休止期,競技前期,競技中)における,持久的トレーニングに対する代謝,及び神経筋の応答を調べたものである.自転車 エルゴメータにより疲労困憊するまで負荷をかけ応答をみた.酸素消費量,血中乳酸濃度,pH,重炭酸濃度,呼吸商,表面筋電図を測定した.エリート競技選 手が調整のために持久運動を行うと,循環乳酸量の減少,有酸素代謝の亢進,および,活動筋の運動単位の動員がもたらされる. [Regular paper pp. 381-388] [On PubMed] | [JJP-Online]

ラット大腸クリプト細胞の Ca2+ 依存性 K+ チャネルに対してトロンボキサン A2 による細胞内 Ca2+ 動員は影響を与えない

  • Mobilization of Intracellular Ca2+ by Thromboxane A2 Does Not Affect Ca2+-Activated K+ Channels in Rat Colonic Crypt Cells
  • 鈴木 智之,酒井 秀紀,五十里 彰,竹口 紀晃 (富山医薬大薬学部薬物生理学)

トロンボキサン A2 の安定アナログの STA2 は,ラット大腸クリプト細胞の細胞内遊離 Ca2+ 濃度 ([Ca2+]i) を上昇させるにも関わらず,基底側膜に存在する Ca2+ 依存性 K+ チャネルを活性化しなかった.一方,カルバコールは,[Ca2+]i を上昇させ,Ca2+ 依存性 K+ チャネルを活性化した. [Short communication pp. 389-393] [On PubMed] | [JJP-Online]

IN JJP: JJP和文要旨 vol 50 no 4 [

蔗糖摂取時の傷害反応に対する視床下部背内側部の破壊の効果

  • Effect of VMH Lesion on Sucrose-Fed Nociceptive Responses
  • K. Mukherjee,R. Mathur,U. Nayar (Neurophysiol. Lab., Dept. of Physiol., All India Inst. of Med. Sci., India)

傷害刺激の痛み反応が蔗糖の摂取で増大する機構が追求された.視床下部背内側部破壊は同様に過敏な痛みを引き起こすが,蔗糖を与えても変化しなかったことより,視床下部背内側部はこの機構に関係しているらしい. [Regular paper pp. 395-404] [On PubMed] | [JJP-Online]

定量運動負荷に対する心拍応答の指数双曲線関数への回帰

  • Exponential Hyperbolic Sine Function Fitting of Heart Rate Response to Constant Load Exercise
  • 水尾 純1, 中津 高明3, 村上 充1, 草地 省蔵1,2, 富永 洋功3,間島 圭一3, 上杉 忠久1, 上田 久志1, 末澤 知聡1, 辻 孝夫1 (岡山大学医学部 1第一内科学教室・2保健学科,3屋島総合病院循環器科)

異 なる強度の定常負荷での心拍応答は指数双曲線関数に一元的に回帰された.心拍の overshoot 応答は指数関数は回帰できず.本解析は心拍応答の定量的解析に有用.心拍応答機構に inductance component が存在する. [Regular paper pp. 405-412] [On PubMed] | [JJP-Online]

ラット足底筋と前脛骨筋の異なる部位に分布するタイプ別にみた筋線維の細胞サイズと酸化系酵素活性

  • Cell Size and Oxidative Enzyme Activity of Different Types of Fibers in Different Regions of the Rat Plantaris and Tibialis Anterior Muscles
  • 中谷 敏昭1,2,中嶋 敏勝1,喜多 大三1,広藤 千代子3,伊藤 一生4,伊藤 稔5,石原 昭彦6 (1奈良県立医科大学薬理学講座,2天理大学体育学部,3大阪学院短期大学,4東亜大学総合学術研究科,5京都大学・6総合人間学部環境適応論講座)

ラッ トの足底筋と前脛骨筋の異なる部位に分布する筋線維の細胞サイズと酸化系酵素活性を分析した.ATPase 活性の違いから筋線維を I,IIA,IIB に分類した.IIA 線維の細胞サイズと酸化系酵素活性については部位による違いはみられなかった.IIB 線維の細胞サイズは中層部と表層部に比較して深層部で小さく,酸化系酵素活性は中層部と表層部に比較して深層部で高い値を示した.これらの結果より IIB 線維では細胞サイズや酸化系酵素活性に筋の部位による違いがあることが明かとなった. [Regular paper pp. 413-418] [On PubMed] | [JJP-Online]

胃 H+,K+-ATPase のリジン/グリシンクラスター構造の役割についての検討

  • Significance of Lysine/Glycine Cluster Structure in Gastric H+,K+-ATPase
  • 浅野 真司,三輪 耕治*,矢代 博昭*,田渕 圭章,竹口 紀晃* (富山医科薬科大学 遺伝子実験施設・*薬学部)

胃 H+,K+-ATPase の触媒鎖のアミノ末端部分には特徴的なリジン/グリシンクラスター構造が存在する.我々は変異体の作製,機能解析を行い,この構造がH+,K+-ATPase 活性に必須でないこと,カチオンに対する親和性の決定に直接関わらないことを発見した. [Regular paper pp. 419-428] [On PubMed] | [JJP-Online]

Xenopus oocyte に発現された GABAC 受容体のプロテインキナーゼ C に依るインターナリゼーション

  • Activation of Protein Kinase C Induces Internalization of the GABAC Receptors Expressed in Xenopus Oocytes
  • 草間 貞,畑間 康二,斎藤 清茂,木澤 靖夫,村上 元 (日本大学薬学部機能形態学研究室)

ヒト _1 サブユニットからなる GABAC 受容体を Xenopus oocyte に発現させ,その挙動に対する PKC 活性化薬の影響を免疫組織化学的に検討した結果,膜表面から内部にインターナライズされる像を得た. [Regular paper pp. 429-435] [On PubMed] | [JJP-Online]

カワヤツメの松果体に見られるメラトニン分泌リズムの光依存性と温度依存性

  • Light- and Temperature-Dependence of the Melatonin Secretion Rhythm in the Pineal Organ of the Lamprey, Lampetra japonica
  • 鮫島 道和,Shaik Shavali,保 智己,内田 勝久,森田 之大,福田 敦夫 (浜松医科大学第一生理)

松 果体にある生体時計の振動体の性質を知るための実験を行った.培養下のカワヤツメ松果体でのメラトニン分泌リズムは光と温度に依存性示した.松果体で受容 される光がリズムを調節すること,メラトニンはカワヤツメの行動リズムを直接制御していないことが明らかになった. [Regular paper pp. 437-442] [On PubMed] | [JJP-Online]

自然発症 CCK-A 受容体遺伝子欠損 (OLETF) ラットの胃排出遅延の機序

  • Mechanism of Delayed Gastric Emptying in Naturally Occurring CCK-A Receptor Gene Knockout (OLETF) Rats
  • 太田 稔,金井 節子,佐藤 裕子,増田 正雄,高橋 徳1,自見 厚郎2,船越 顕博3,宮坂 京子 (東京都老人総合研究所臨床生理部門,1ミシガン大学内科,2久留米大学第一病理,3国立病院九州がんセンター)

遺 伝的に CCK-A 受容体が欠損しているラットをみつけた.胃排出速度を遅延させる作用をもつ CCK-A 受容体が欠損しているにもかかわらず,このラットでは,むしろ遅延していた.レセルピンの前処置により,遅延していた胃排出速度は正常化し,血中ノルアド レナリンが高値をしめしたことから,交感神経の緊張が高いことが原因のひとつと考えられた [Regular paper pp. 443-448] [On PubMed] | [JJP-Online]

漸増負荷運動時の呼吸性代償点と低酸素換気応答性および運動時の乳酸増加度との関連

  • Respiratory Compensation Point during Incremental Exercise as Related to Hypoxic Ventilatory Chemosensitivity and Lactate Increase in Man
  • 高野 成子 (金沢大学教育学部保健教室)

漸増負荷運動時の酸素消費量 (V・o2) 増加に対する肺換気量増加は呼吸性代償点 (RCP) と呼ばれる V・o2 点で急峻となる.成人男 (n = 22),女 (n = 16) 被験者におけるRCPは低酸素換気応答性および運動時の血中乳酸増加度との間に負の相関関係にあることが判明した. [Regular paper pp. 449-455] [On PubMed] | [JJP-Online]

骨格筋の電気生理学的およびカルシウム放出の研究のための新しい 3 槽グリースギャップ隔絶反転型装置

  • Novel Inverted Triple Grease-Gap Isolation Chamber for Electrophysiological and Calcium Release Studies in Skeletal Muscle Fibers
  • M. Quinonez,M. DiFranco (Lab. de Fisiol. y Biofis. del Musculo, Inst. de Biol. Exp., Fac. de Ciencias, Univ. Central de Venezuela, Venezuela)

骨格筋における電気生理学的研究と光学的 Ca2+ 放出検出のための新しい 3 槽グリースギャップ隔絶反転型装置について報告する.この隔絶装置は高い電気抵抗を有し,機械的にも安定したグリースギャップを用いている.標本の取り付 けは簡単で熟練を要しない.また,取り付けた標本は安定しており信頼できる.隔絶装置の実用性を示唆する電気生理学的,および光学的データを提示する. [Technical paper pp. 457-462] [On PubMed] | [JJP-Online]

マウス肝・腎の in vivo 高磁場磁気共鳴画像

  • In Vivo NMR Micro-Imaging of Kidney and Liver of Mouse at 9.4 T
  • 小坂 光男 ,大渡 伸,瀬尾 芳輝4,川久保 秀彦,原田 整一, 勝又 達哉1,井田 弘明2,フォルカー レーマン3 (長崎大学熱帯医学研究所・環境医学部門 (疾病生態)・1寄生虫学部門,2長崎大学医学部第一内科,3NMR Microscopy Application Laboratory, Bruker Analytische Messtechnik GmbH,4京都府立医科大学第一生理学)

9.4 T 高磁場 NMR マイクロイメージング装置を用い,マウス肝腎の in vivo 測定を行った.縦緩和時間 (T1),横緩和時間 (T2),体積磁化率の均一度 (T2*),血流により良好な組織コントラストを得た. [Technical paper pp. 463-467] [On PubMed] | [JJP-Online]

IN JJP: JJP和文要旨 vol 50 no 5 [

モルモット胃幽門前庭部の輪走筋における自発性電気活動,Slow wave に対する Na および Cl 除去の効果

  • Effects of Removal of Na+ and Cl– on Spontaneous Electrical Activity, Slow Wave, in the Circular Muscle of the Guinea-Pig Gastric Antrum
  • 富田 忠雄,畑 忠善 (藤田保健衛生大学総合医科学研究所)

Na を K,Ca あるいは Cl と同時に除くと頻度の高い電気活動が持続する.Na,K,Cl の同時除去後に Na のみを再投与すると Slow wave の発生が抑制される.Na-K-Cl 輸送系の阻害剤の存在下では Na,K,Cl の同時投与でも抑制される. [Regular paper pp. 469-477] [On PubMed] | [JJP-Online]

フェレット右心室乳頭筋等尺性弛緩張力曲線のロジッスティック時定数:信頼できる弛緩の指標

  • Logistic Time Constant of Isometric Relaxation Force Curve of Ferret Ventricular Papillary Muscle: Reliable Index of Lusitropism
  • 水野 樹1,2,荒木淳一1,実金 健1,毛利 聡1,今岡 丈士1,3,松原広己3,奥山博司4,栗原 敏5,大江 透3,平川方久2,菅 弘之1,6 (岡山大学医学部 1生理学第二講座・2麻酔蘇生学講座・3循環器内科学講座,4川崎医科大学生理学講座,5東京慈恵会医科大学生理学第二講座,6国立循環器病センター研究所)

フェ レット右心室乳頭筋の等尺性弛緩張力曲線にロジスティック関数と従来型の指数 関数を当てはめて弛緩時定数 (τ) を求めたところ,前者のτの方が心筋長や収縮性 の広い範囲で信頼性が高いことが明らかになった. [Regular paper pp. 479-487] [On PubMed] | [JJP-Online]

女性の長時間最大下運動中の基質酸化に対する性ステロイドホルモンの影響

  • The Effect of Sex Steroid Hormones on Substrate Oxidation during Prolonged Submaximal Exercise in Women
  • A.C. Hackney1,2,D. Muoio1,W.R. Meyer3 (1Endocrine Section, Applied Physiol. Lab,2Dept. of Nutrition, School of Public Health and 3 Dept. of Obstetrics-Gynecology, School of Med., Univ. of North Carolina, USA)

女性の被験者にステロイドホルモンを投与し最大下運動を60分間負荷すると,エネルギーの消費がステロイドを与えない時より,糖質からより脂質分解になる“エネルギーシフト”起こることが分かった. [Regular paper pp. 489-494] [On PubMed] | [JJP-Online]

麻酔ラットの大脳皮質局所血流に及ぼす鍼刺激の効果

  • Effect of Acupuncture-Like Stimulation on Cortical Cerebral Blood Flow in Anesthetized Rats
  • 内田 さえ1,2,鍵谷 方子1,2,鈴木 敦子1,2,會川 義寛2 (1東京都老人総合研究所自律神経部門,2お茶の水女子大学大学院人間文化研究科)

前 肢足蹠への鍼刺激は血圧とは無関係に大脳皮質血流を増加させた.前肢足蹠の鍼刺激は,前肢支配の体性求心性神経活動を興奮させ,前脳基底部マイネルト核コ リン作動性神経を介して大脳皮質にアセチルコリンを放出し,ムスカリン性及びニコチン性アセチルコリン受容体を介して大脳皮質血流を増加させることが明ら かとなった [Regular paper pp. 495-507] [On PubMed] | [JJP-Online]

螺旋カフ多重電極の慢性装着によるイヌ座骨神経からの筋選択的末梢神経電位記録

  • Selective Recording of Electroneurograms from the Sciatic Nerve of a Dog with Multi-Electrode Spiral Cuffs
  • J. Rozman,B. Zorko1,M. Bunc2 (ITIS d.o.o. Ljubljana, Center for Implantable Technol. and Sensors, Univ. of Ljubljana,1Veterinary Faculty,and 3School of Med., Inst. of Pathophysiol., Republic of Slovenia)

本 論文はビーグル犬の座骨神経表層に 33 極多重電極の小型螺旋カフを慢性に植え込み,そのうちの特定の電極の組からの刺激および記録により前脛骨筋およびヒラメ筋を支配する神経繊維束領域を同定 できることを示した. [Regular paper pp. 509-514] [On PubMed] | [JJP-Online]

イヌ交叉灌流心における反復性短時間虚血再灌流の収縮効率および収縮性の酸素コストに及ぼす影響

  • Effects of Repetitive Brief Ischemia on Contractile Efficiency and Oxygen Cost of Contractility in Dog Heart
  • 鈴木 章古,草野 研吾,後藤 葉一 (国立循環器病センター内科心臓部門)

5 分×3 回の反復性短時間虚血再灌流 20 分後ではそれらは虚血前のレベルに回復し収縮効率や収縮性の酸素コストは保持されていた. [Regular paper pp. 515-524] [On PubMed] | [JJP-Online]

キンドリングラット海馬のシナプス再構築における Cdk5/p35nck5a の関与

  • Involvement of Cyclin-Dependent Kinase 5/p35nck5a in the Synaptic Reorganization of Rat Hippocampus during Kindling Progression
  • 富澤 一仁,才 暁慧,森脇 晃義,松下 正之,松井 秀樹 (岡山大学医学部生理学第一講座)

サイクリン依存性キナーゼ 5( Cdk5) とその活性化因子 (p35nck5a) がキンドリングラット海馬において,キンドリングの進行に伴って活性が上昇し,また Cdk5 の局在が軸索から細胞体に変化することを明らかにした.Cdk5/p35nck5a がシナプスの再構築および発芽現象に重要な働きをしていることを示した. [Regular paper pp. 525-532] [On PubMed] | [JJP-Online]

骨格筋単一筋原線維の色々な MgATP 濃度下での収縮性

  • Contractility of Single Myofibrils of Rabbit Skeletal Muscle Studied at Various MgATP Concentrations
  • 若山 純一,山田 武範 (東京理科大学理学部物理学科)

剛 柔二本のガラス微小針の間に骨格筋単一筋原線維を巻き付け,その収縮性を計測した.色々な MgATP 濃度下 ATP 再生系なしでの筋原線維の収縮性を,スキンド筋線維の同様な条件下 ATP 再生系ありでの収縮性を比較検討した. [Regular paper pp. 533-542] [On PubMed] | [JJP-Online]

2,3-ブタンジエン・モノキシム (BDM) はイヌ心臓においては主に総カルシウムハンドリングを抑制する

  • 2,3-Butanedione Monoxime Suppresses Primarily Total Calcium Handling in Canine Heart
  • 前迫 雅樹1,2,荒木 淳一1,季 親雄1,3,土井 ゆみ子1,2,今岡 丈士1,入部 玄太郎1,毛利 聡1,平川 方久2,原田 実根3,菅 弘之1,4 (岡山大学医学部 1第二生理学講座・2麻酔蘇生学講座・3内科第二講座,4国立循環器病センター研究所)

2,3 -ブタンジエン・モノキシム (BDM) は,骨格筋ではクロスブリッジ運動を直接抑制するという結果が大方であるが,血液灌流イヌ心臓においてはそうではなく総カルシウムハンドリングが先ず抑制 されるということを示唆する結果を得た. [Regular paper pp. 543-551] [On PubMed] | [JJP-Online]

1 Hz の帯域濾過で推定したフラッシュ視覚誘発電位の高解像スペクトル密度

  • Flash-Related Synchronization and Desynchronization Revealed by a Multiple Band Frequency Analysis
  • 下山 一郎,笠置 泰史,海宝 雄人,柴田 忠彦,中島 祥夫,浅野 文隆 (千葉大学医学部第一生理学)

FFT では不可能な解像度 (1 Hz 帯域ろ過を 10 ms ごと = MBFA) で 600 ms の視覚誘発脳波を検討した.αβ帯は後頭葉で誘発されγ帯は中心部広範囲に誘発された.γ帯は言語などの脳活動で報告されてるが,MBFA でみると単純な閃光認知でも観察された. [Regular paper pp. 553-559] [On PubMed] | [JJP-Online]

IN JJP: JJP和文要旨 vol 50 no 6 [

低圧性低酸素への曝露がラットのヒラメ筋線維とそれらを神経支配する脊髄の運動ニューロンに及ぼす影響

  • Effect of Hypobaric Hypoxia on Rat Soleus Muscle Fibers and Their Innervating Motoneurons: A Review
  • 石原 昭彦,伊藤 一生1 ,伊藤 稔,広藤 千代子2 (京都大学総合人間学部環境適応論講座,1東亜大学大学院総合学術研究科,2大阪学院短期大学)

ラッ トを低圧性低酸素に曝露することにより,ラットの週齢や曝露期間に関係なく,ヒラメ筋では発育にともなう FOG 線維から SO 線維へのタイプ移行が抑制されることを説明した.さらに,低圧性低酸素への曝露によりヒラメ筋を神経支配する脊髄の運動ニューロンで酸化系酵素活性が増大 することを説明した. [Review pp. 561-568] [On PubMed] | [JJP-Online]

正常および再生腱組織内水分子におけるプロトン NMR T2 緩和の特性

  • Characteristics of Proton NMR T2 Relaxation of Water in the Normal and Regenerating Tendon
  • 高宮 尚武,日下 義章,瀬尾 芳輝*,野口 昌彦,生駒 和也,森 武利*,平澤 泰介 (京都府立医科大学整形外科学教室・*第一生理学教室)

家 兎アキレス腱組織内の水分子の存在状態をプロトン T2 核磁気緩和時間 (2.34 T) を用い解析し,正常および断裂後 3 週以降の慢性期修復期のアキレス腱におけるコラーゲン線維の構造および再構造化の過程を評価した. [Regular paper pp. 569-576] [On PubMed] | [JJP-Online]

2 種類の運動強度でのランニングトレーニングではラット心筋ミオシンアイソザイム構成比に影響が認められない

  • Lack of Effect of Running Training at Two Intensities on Cardiac Myosin Isozyme Composition in Rats
  • 町田 修一*,刈谷 文彦,小林 啓三,成澤 三雄 (国際武道大学運動生理学教室,現在: *東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器小児科)

本 研究は,ラットに 2 種類の運動強度 (20 m/min と 40 m/min) のランニングトレーニングを 12 週間課した場合,強度依存的に心肥大が認められるものの,心筋のミオシンアイソザイム構成比や酸化系酵素活性値に影響が認められないことを報告している. [Regular paper pp. 577-583] [On PubMed] | [JJP-Online]

ラットの海馬における断続的一過性虚血時の血流と遅発性神経細胞死に及ぼすニコチンの効果

  • Effects of Nicotine on Blood Flow and Delayed Neuronal Death Following Intermittent Transient Ischemia in Rat Hippocampus
  • 鍵谷方子1,2,内田さえ1,堀田晴美1,佐藤昭夫2,3 (1東京都老人総合研究所・自律神経部門,2お茶の水女子大学大学院・人間文化研究科,3人間総合科学大学・人間総合科学部)

ニ コチンの静脈内投与によるニコチン性アセチルコリン受容体刺激により,断続的一過性脳虚血中の海馬血流の低下が有意に軽減され,6 分間の虚血後 5,7 日目の海馬 CA1 領域の遅発性神経細胞死が有意に抑えられた. [Regular paper pp. 585-595] [On PubMed] | [JJP-Online]

モルモット腎盂平滑筋の自発的電気活動の性質

  • Properties of Spontaneous Electrical Activity in Smooth Muscle of the Guinea-Pig Renal Pelvis
  • 高野 博充・中平 洋子・鈴木 光 (名古屋市立大学医学部生理学教室)

摘 出モルモット腎盂平滑筋の自発電気活動には,L タイプ Ca チャネルを介した流入 Ca が細胞内貯蔵部位から Ca を遊離させ,Ca 依存性イオンチャネルを活性化して膜が脱分極される機構が考えられた.この機構は内因性プロスタノイドにより活性化されていた. [Regular paper pp. 597-603] [On PubMed] | [JJP-Online]

筋求心性侵害入力により誘起される呼吸抑制反応に及ぼす刺激前呼吸レベルの効果

  • Effects of Prestimulus Respiratory Levels on Inhibitory Respiratory Response by Nociceptive Muscular Afferents
  • 小崎 康子,只木 英子*,肥田 朋子,熊澤 孝朗 (名古屋大学環境医学研究所神経性調節分野,*金城学院大学家政学部)

筋細径神経求心性刺激による反射性の呼吸抑制相の大きさは,呼吸レベル促進時(高 CO2,低 O2 環境,ナロキソン投与)に,顕著に減弱された.刺激前呼吸レベルが反射性呼吸抑制相の大きさの重要な要因であることが明らかになった [Regular paper pp. 605-613] [On PubMed] | [JJP-Online]

モルヒネはκ受容体を介して麻酔ネコにおける安静時呼吸を抑制するが反射性呼吸抑制を減弱する

  • Morphine Inhibits Resting Respiration, but It Attenuates Reflexive Respiratory Suppression in Anesthetized Cat through k-Receptor
  • 小崎 康子,只木 英子*,熊澤 孝朗 (名古屋大学環境医学研究所神経性調節分野,*金城学院大学家政学部)

麻 酔ネコにおいて,モルヒネ投与により,安静時呼吸レベルは抑制されるが,筋細径神経求心性刺激後に観察される反射性の呼吸抑制相の大きさは顕著に減弱され た.モルヒネのこの 2 つの作用がともにκレセプターを介する可能性が示唆された. [Regular paper pp. 615-624] [On PubMed] | [JJP-Online]

モルモット胃体部平滑筋における緩電位頻度の電位依存性

  • Voltage Dependency of the Frequency of Slow Waves in Antrum Smooth Muscle of the Guinea-Pig Stomach
  • 野瀬 清孝1,2, 鈴木 光1,河南 洋2 (1名古屋市立大学医学部生理学教室,2宮崎医科大学生理学教室)

摘 出モルモット胃体部輪走平滑筋の自発電位活動は膜を高K溶液あるいは通電により脱分極させると頻度が上昇し,−45 mV 以上の脱分極では一定頻度となった.電位発生の不応期が自発活動発生頻度の最大値決定に関与していると思われた. [Regular paper pp. 625-633] [On PubMed] | [JJP-Online]

ウサギ大動脈内皮細胞の非選択性陽イオン電流と静止膜電位

  • Background Nonselective Cationic Current and the Resting Membrane Potential in Rabbit Aorta Endothelial Cells
  • S.J. Park1,Y.C. Kim1,S.H. Suh2,H. Rhim3,J.H. Sim1,S.J. Kim1,I. So1,K.W. Kim1,3 (1Dept. of Physiol. and Biophys., Seoul National Univ. College of Med., Korea,2Dept. of Physiol., College of Med, Ewa Womans’ Univ., Korea,3Biomed. Res. Center, KIST, Korea)

ウ サギ大動脈内皮細胞のイオンチャネルを穿孔性パッチクランプ法で調べた.全細胞膜電流と電圧の関係は弱い外向き整流性を示し,その静止電位は−23 mV であった.電流は外液 Cl イオンでは影響されることなく,背景陽イオンチャネルの存在が示唆され,このチャネルによって静止電位が決定される. [Regular paper pp. 635-643] [On PubMed] | [JJP-Online]

低酸素性心筋細胞傷害に対する高グルコースの防御効果の C キナーゼ阻害剤による抑制

  • Protein Kinase C Inhibitors Attenuate Protective Effect of High Glucose against Hypoxic Injury in H9c2 Cardiac Cells
  • C.-H. Moon,Y.-S. Jung,M.H. Kim,R.M. Park,S.H. Lee,E.J. Baik (Dept. of Physiol., School of Med., Ajou Univ., Korea)

C キナーゼは心筋虚血下で活性化され,心筋防御に関与することが知られている.本論文は,心筋株細胞 H9c2 を用いて,in vitro 下で虚血性心筋細胞死が高グルコース条件で抑制されることを示し,これに C キーゼが関与していることを示唆した. [Short communication pp. 645-649] [On PubMed] | [JJP-Online]

卵巣摘除ラットの尾部皮膚温上昇に対するプロゲステロンの作用

  • Effects of Progesterone on the Elevation of Tail Skin Temperature in Ovariectomized Rats
  • 小林 恒文 (帝人(株)薬理研究部)

卵 巣摘除ラットの尾部皮膚温上昇に対するプロゲステロンの作用を調べ,エストラジオールの作用と比較した.エストラジオールは尾部皮膚温上昇を完全に抑制し たが,プロゲステロンは僅かな抑制作用しか示さなかった. [Short communication pp. 651-656] [On PubMed] | [JJP-Online]