CONTENTS
- SCIENCE TOPICS - 育児行動の発現機序と育児放棄(ネグレクト)の原因を解明 (西連寺拓・池澤 淳・下川哲昭)
- AWARD - 津元国親(第7 回 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞[心臓・循環部門]受賞)
- LECTURES - 『心筋細胞フィジオーム理解のための電子教科書“e-Heart”』の生理学教育教材および研究資材としての活用に向けて 第2 回ヒト心室筋細胞(HuVEC)モデルを用いた早期後脱分極(EAD) の再現(姫野友紀子・天野 晃・野間昭典)
- AFTERNOON TEA - 窪田寿彦「さがしてごらん佐賀」、 浦川 将「こころのよりどころ」、 石井大典「47 位からの脱却に向けて」
- ABSTRACTS - 第97 回北海道医学大会生理系分科会(日本生理学会北海道地方会)
- ABSTRACTS - 第64 回中部日本生理学会
- ABSTRACTS - 第49 回東北生理談話会
- MOURNING - Schmidt 先生を偲ぶ(水村和枝・黒澤美枝子)
- ABSTRACTS (Pt.2) - 第97 回北海道医学会生理系分科会(日本生理学会北海道地方会)
- ABSTRACTS (Pt.2) - 第64 回中部日本生理学会
- ABSTRACTS (Pt.2) - 第49 回東北生理談話会
表紙の説明
大会名:第94 回日本生理学会大会
演題番号:2P-068
演題名:HCN チャネルは酸味感知の主たる受容体ではない
演題名(英語):HCN channels are not principally involved in acid detection in mice
演者:中島則行,鷹野 誠
所属:久留米大学医学部生理学講座
説明(キャプション): 酸味受容は,舌に点在する味蕾内のIII 型味細胞が担うとされる.酸味の受容機構は未 だ完全には明らかになっておらず,酸受容体の候補として複数のイオンチャネルが挙がっ ている.そのうち過分極活性化型環状ヌクレオチド感受性(HCN)チャネルのサブタイプ 1 および4 は,味蕾内ではIII 型味細胞に特異的に発現しており,細胞外pH の低下により 開口することから酸受容体であることが示唆されていた(Stevens DR et al., 2001).しか し,HCN4 チャネルのノックアウトマウスは胎生致死のため遺伝子破壊実験が容易ではな く,酸受容へのHCN チャネルの実際の関与は不明であった.
本研究において,HCN4 の遺伝子座の片方にGFP 融合体をノックインし,もう一方では プロモータ直下に大腸菌Tet-off システムを導入したダブルノックインマウスを作製して から,さらにHCN1 ノックアウトマウスと掛け合わせた.マウスの成熟後にテトラサイク リン誘導体を投与しHCN4 の遺伝子をコンディショナルノックダウンした結果,依然とし てIII 型味細胞の酸応答を確認した. よってIII 型味細胞に発現するとされるHCN チャネルは,酸味感知の主たる受容体では ないと結論した.
A:遺伝子改変マウスのHCN1 とHCN4 遺伝子座の模式図.tetO-CMV:tTA 結合領域お よびCMV プロモータ.
B:III 型味細胞からの細胞外電気記録方法.III 型味細胞は可視化されている.
C:III 型味細胞の電気活動トレース.味孔側からのクエン酸投与により,味細胞に活動電 位が生じている.
<関連論文> Stevens DR et al., Nature. 2001 Oct 11; 413(6856): 631-5. Hyperpolarization-activated channels HCN1 and HCN4 mediate responses to sour stimuli.
利益相反の有無:なし