日本生理学会誌 第78巻3号

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表紙の説明

大会名:第92 回日本生理学会大会

演題番号:P2-102

演題名:ウシ毛様体筋細胞の高純度大量調製法の確立

演題名(英語):A new method for isolation of bovine ciliary muscle cells using Percoll gradient centrifugation

演者:宮津 基,金子智之,高井 章

所属:旭川医大・生理・自律機能分野

説明(キャプション):

 毛様体平滑筋は副交感神経支配下で協調的な収縮応答を示し,その収縮持続相における 細胞外からのCa2+ 補充経路としてM3 型ムスカリン受容体(M3R)を介して活性化される 2 種類の非選択性陽イオンチャネル[NSCCL(35pS)とNSCCS(100fS)]が主要な役割 を果たす.NSCCS はその薬理学的特徴から筋小胞体(SR)のCa2+ 貯蔵の枯渇を介して活 性化されるイオンチャネルである可能性が示唆されている.今回,Percoll 密度勾配遠心法 を用いてウシ毛様体平滑筋から調製された大量の単離細胞に対してflowcytometry (FCM)を用いM3R 陽性細胞の頻度について検討した結果,74% の細胞がM3R 陽性を示 した.SR のCa2+ 枯渇活性化チャネルのポア構成サブユニットであるOrai1 蛋白質の発現 について同様に検討すると,M3R 陽性領域でOrai1 の発現が強い細胞が高い割合で存在し た.

 

A:ウシ毛様体組織束をコラゲナーゼ溶液中に浸し細胞を分散させた後,3 層のPercoll 密 度勾配(1.050,1.060,1.082)を重層(細胞は1.082 の密度の溶液に懸濁)し遠心すると, 細胞は1.082 と1.060 の界面,1.060 と1.050 の界面に主に分布した.

B:Fluo-4 蛍光法により上記の2 界面に存在する細胞のカルバコール(CCh),caffeine に 対する細胞内Ca2+ 濃度([Ca2+]i)変化を測定すると,約70% の細胞が一過性のCa2+ 上昇 とそれに続く持続性のCa2+ 上昇を示した.

C:浮遊した細胞を固定・膜透過性処理し,抗M3R 抗体を用い免疫蛍光染色しFCM で解 析したところ,M3R 陽性・陰性の細胞群が観察され,両者の相対平均蛍光強度比は15,存 在比は2.7 であった.

D:抗M3R 抗体,抗Orai1 抗体を用い2 重染色を行った場合には73% の細胞が2 重陽性と なった.

利益相反の有無:本研究において利益相反に関わる事項はありません.