CONTENTS
- SCIENCE TOPICS - トランスファーRNA のイオウ修飾によるミトコンドリア· 機能制御の分子メカニズム(魏 范研・富澤一仁) 記憶想起の成功は側頭葉におけるサブ領域間·トップダウン信号による皮質層間神経回路の活性化が必要である(竹田真己・宮下保司)
- PROFILE - 小野富三人
- AWARD - 上阪直史(2014 年度 日本生理学会奨励賞 受賞)
- AWARD - 藤井拓人(2014 年度 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞· [イオンチャネル・トランスポーター部門] 受賞)
- AWARD - 沼田朋大(2014 年度 日本生理学会奨励賞 受賞)
- AWARD - 坂田宗平(2014 年度 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞· [イオンチャネル・トランスポーター部門] 受賞)
- AWARD - 清水秀二(2014 年度 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞· [心臓・循環部門] 受賞)
- AWARD - 古谷和春(2014 年度 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞· [心臓・循環部門] 受賞)
- AWARD - 石井 圭(2014 年度 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞· [心臓・循環部門] 受賞)
- AWARD - 吉村充弘(2014 年度 入澤宏・彩記念JPS 優秀論文賞 受賞)
- AWARD - 宮田麻理子(2014 年度 第5 回入澤彩記念女性生理学者奨励賞 · 受賞)
- EDUCATION - 児童生徒の興味関心を惹きつける· 生理学の出前授業とは(長根光男)
- AFTERNOON TEA - 佐藤(沼田)かお理 ・ 日暮陽子 ・ 瀬戸川剛「アカミミガメとの生活」
- CALENDAR - 主な研究集会日程
表紙の説明
第92 回日本生理学会大会
演題番号:P1-035
演題名:液滴内潅流による液滴接触膜上でのチャネル機能解析法 Methods for the functional analysis of ion channels on the contact bubble bilayer by the intra-bubble perfusion
演者:岩本真幸,老木成稔
所属:福井大学医学部分子生理学
脂質平面膜(PLB)法では,脂質組成や溶液条件など,厳密にコントロールされた環境 下でのイオンチャネル機能解析が可能である.一方,PLB 法の脂質二重膜の面積・膜容量 は大きいため,電気的ノイズの増大やチェンバー内溶液潅流効率の低さ,などといった短 所も存在する. 本研究では,脂質単分子膜に囲まれた油中液滴同士の接触で形成する液滴接触膜(CBB, 図A)をイオンチャネル機能解析の場として用い,上述の短所を克服した新しい人工膜実 験法を報告した.本法の特徴は,パッチピペット先端に膨らませた微小な油中液滴(約 300pL)を用いることである.これにより,形成されるCBB の面積は従来のPLB の1/100 程度となり,電気生理測定時の特性が大きく向上した.また,チャネルタンパク質を再構 成したリポソーム懸濁液で液滴を作成すれば,チャネルがCBB に移行し,単一および巨 視的チャネル電流が観測された.さらに,CBB を形成する一方の液滴に注入用ピペットを 挿入し,急速溶液潅流を試みた(図B).蛍光および電気生理学的測定から,CBB 近傍の 溶液は20ms 以内に置換されることがわかり,CBB 法が急速投与実験にも応用可能である ことが示された(図C).(Iwamoto & Oiki, Sci. Rep. 5(2015)9110)
A.液滴接触膜(CBB)法の概念図.2 本のピペットを用いてリン脂質を溶解させたヘキサ デカン中で液滴を作成し,両者を接触させることでCBB が形成される.装置はパッチク ランプ実験用のものを流用できる.
B.液滴内の急速潅流実験.2 本の注入ピペットからの溶液流を順に切り替えた.この際, 排液が液滴形成用ピペット内へ流れるように内圧を調節した.CBB 近傍(*で示した位置) における蛍光色素置換の時定数は14.4±0.4ms であった.
C.CBB 急速潅流実験の応用例.pH 依存性のKcsA チャネル由来の巨視的電流が,細胞 質側潅流液(pH7.5/4.0)の切り替えによってオン・オフする様子.
利益相反の有無:本発表について開示すべき利益相反関係にある企業等は無い