日本生理学雑誌 第76巻 4号

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表紙の説明

演題番号:1P-054
演題名:心筋細胞の電気的活動に対する各細胞膜イオン輸送機転の寄与度(リードポテンシャル解析)
Quantifying contributions of individual ion transport mechanisms to electric activities by using cardiac myocyte models
演者: 山岡周代1,Cha ChaeYoung2,野間昭典1
所属:立命館大学大学院 生命科学研究科 バイオシミュレーション研究室, 2Oxford Centre for Diabetes Endocrinology and Metabolism, University of Oxford

活動電位のある時点でのイオンチャネル電流(Ix)を,その瞬間のスロープコンダクタンス(Gx)と平衡電位(Ex)を用いて次の直線式で記述することができる.

(1)
この式を用いて,細胞膜全体の平衡電位(VL)は,各電流成分の和として与えられる.
(2)
ヒト心室筋活動電位モデルの再分極相についてVL(赤線)を活動電位(Vm)に重ねると分かるように(左列上図),Vm は常にVL(lead potential)を追従する.中列にはVL に占める各電流成分GxEx の大きさ(mV 単位)を示している.(2)式の微分dVL/dt もやはり右列上に示した各電流成分の和で与えられる.これによって,各電流のVL(≈Vm)変化への寄与度を定量的に表すことができる.例えば,縦点線の時点(300ms)での各コンポーネントの大きさ(mV/ms 単位)を示している.(色線は各イオン電流成分のフォント色と対応している.)このように,リードポテンシャル解析を数学モデルに適用して,膜電位変化への各電流成分の寄与を連続的に,定量的に求めることができる.