CONTENTS
- MOURNING - 菅野義信先生への感謝 (杉田 誠) P.137~
- MOURNING - 河村洋二郎先生を偲んで (森本俊文) P.134~
- ABSTRACTS - 第64回西日本生理学会 P.133~
- 特集/SYMPOSIA - 細胞膜と細胞内膜における脂質制御とその生理機能(S54) P.132~
- 特集/SYMPOSIA - 触刺激と情動・自律反応(MS3) P.131~
- 特集/SYMPOSIA - 生理機能の理解に基づいた循環器疾患薬物治療の新たな戦略(S08) P.130~
- 特集/SYMPOSIA - 理学療法と痛みの治療―その生理的メカニズム(S05) P.129~
- CALENDAR - 主な研究集会日程 P.127~
- EDUCATION - 生理学と地域連携 ―理数科の課題研究の受入れ― (鈴木敦子) P.125~
- AWARD - 御子柴克彦博士のレジオン・ドヌール勲章受章 (岡野栄之・池中一裕) P.124~
- AWARD - 平成25年度 日本生理学会 各賞受賞者・受賞論文 P.123~
- SCIENCE TOPICS - Prostaglandin E は血管の弾力性を低下させる (横山詩子) P.121~
- SCIENCE TOPICS - オレキシン産生神経細胞は二つの異なる神経経路でナルコレプシーを抑制する (長谷川恵美・三枝理博) P.121~
- OPINION - バックグラウンドからフォアフロントへ: 細胞生死と生体恒常性に関わるセンサーチャネル (後編その1) (岡田泰伸) P.115~
- SYMPOSIA (Pt.2) - SYMPOSIA WEB 版 vol.76, No.3 (Pt 2)
表紙の説明
第90 回日本生理学会大会(東京)
演題番号:1PK-170
演題名:ショウジョウバエ嗅覚記憶中枢における匂い応答のマッピング
Comprehensive Odor mapping in the Mushroom Body neurons in Drosophila melanogaster
演者:上岡雄太郎1,廣井 誠1,大倉正道2,中井淳一2,多羽田哲也1
所属:1東京大学・分子細胞生物学研究所,2埼玉大学・脳科学融合研究センター
ショウジョウバエ嗅覚三次神経はキノコ体(Mushroom body)と呼ばれ,約2500 個の神経から成る.このキノコ体は匂い情報を報酬・罰情報と連合させる重要な役目を持ち,また階層的には哺乳類の梨状皮質等に相当する.キノコ体は匂い情報を少数の細胞にコードしていることが知られているが,その匂いへの全細胞の応答が網羅的に観察されたことはない.今回,私達はカルシウムインジケーターであるGCaMP7 を用い,キノコ体の神経約2500 個の匂いへの応答を観察した.従来は一平面でしか観察出来なかったが,ピエゾ素子を用い奥行き方向に高速でスキャンすることによって4D カルシウムイメージングに成功した.
A: 実験時の模式図を示す. ショウジョウバエを二光子顕微鏡下に固定し, 頭部のクチクラを剥がし脳を露出させる. 生理食塩水で脳の乾燥を防ぎ, 水浸レンズで上部から観察する.
B: 実際に得られた4D 画像の内, 匂い応答したフレームの3D 画像を示す. myr-tdTomato(マジェンダ), GCaMP7(緑)がキノコ体特異的に発現されている. myr-tdTomato を参照画像として, ブレを補正し, 細胞を同定している.
C: 2000 個以上の細胞での匂いへの応答. 6フレーム目に匂い(3-Octanol)を提示している(1 フレーム約3.1 秒). この例では約20%(712/3575個)の領域が有意に応答している.
D: 空気と2種類の匂い(行動実験で主に用いられる4-Methylcyclohexanol と3-Octanol)をそれぞれ3 回ずつハエに提示し, Cの様な応答を全部で9つ記録した.これらのデータに対し主成分分析を行ったところ, 2 種類の匂いに対する脳内の応答が定量化・可視化された.
本シンポジウム発表について,開示すべき利益相反関係にある企業等はない.