理事長からのメッセージ(一般の皆様へ)

 

 

 

 

 

 

皆様へ;

2024年3月から4年間、一般社団法人 日本生理学会の理事長を務めます久保 義弘と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

さて、「生理学」とはいかなる学問か、ご存じでしょうか? 生理学とは、文字の通り「生きる」「理(ことわり)」、すなわち「生命(いのち)のしくみ」を明らかにすることを目指す学問です。

 

生命は、実に巧妙に作られています。例えば、運動したら、酸素をより多く取り込んで体中に届けるために、呼吸と脈拍が増えます。汗をかいて体の水分が足りなくなると水を飲みたくなり、血中の糖分が下がると食べ物を食べたくなります。手足が熱いものに触ったら反射的にひっこめます。勉強したことや過去におこったことがらを記憶することができます。詳細については、生理学会のHPにわかりやすい解説がありますので、ぜひご覧ください (http://physiology.jp/physiology/)。これらの様々な生命(いのち)の持つ精妙な仕組みを明らかにする学問が生理学です。

 

ノーベル賞のひとつに、「Nobel Prize in Physiology or Medicine」 があり、日本語では「ノーベル生理学・医学賞」と訳されます。ノーベル賞の中の唯一の医学関係の賞に、生理学・医学賞という名称がついていることからも、「生命のしくみ」を明らかにする生理学が、医学の中核をなす極めて重要な学問であることがご理解いただけるかと思います。

 

日本生理学会は、1922年7月10日に第1回の大会が開催された、102年もの長い歴史を有する学会です。日本生理学会では、100周年を迎えた折に、生理学をより広く知っていただく機会とするために、「7月10日」を「生理学の日」と制定することにし、一般社団法人日本記念日協会に届け、正式に受理されました (http://physiology.jp/mainnews/25901/)。「7月10日」は「生理学の日」と心の片隅に留めて、生きていることの素晴らしさと、それを支える「生命のしくみ」の不思議に思いを馳せていただけるとありがたく思います。

 

日本生理学会では、2024年の「生理学の日」に、ホームページでの広報に加え、新たに、X(旧Twitter)に公式アカウント(@PhysiolJapan)を開設しました。まだ、立ち上がったばかりですが、今後、生理学の研究の成果等についても、解説ページのリンクをお示しするなどしてご紹介していきたいと考えています。また、和英併記により、国内のみならず海外にも情報を発信するとともに、海外の生理学会等の情報についても共有して行きたいと考えています。ぜひ、フォローをお願いします。

 

日本生理学会の使命として、生理学の研究や教育を充実したものにしていくことが挙げられます。同時に、学問を取り巻く環境をより良いものにしていくために声を上げたり、社会に対して生理学に関する種々の啓発活動を行ったりすることも重要な使命です。それは次世代の育成につながる大きな意義も有しています。啓発活動の一環として、日本生理学会では「小・中・高等学校などへの出前講義」や各種の「アウトリーチ活動」にも取り組んでいます(http://physiology.jp/lecture/)。ご要望がありましたら、ご一報いただければと思います。

 

皆様、日本生理学会を、どうぞよろしくお願いいたします。

 

日本生理学会 理事長   久保 義弘