入澤彩賞選考に関する業務をWPJ(生理学女性研究者の会)は生理学会より委託されています。実際の選考は選考委員(男女両性より構成)が行いますが、WPJとしては選考の公平性を保つため選考過程をできるだけオープンにしたいと考えています。以下に、第4回入澤彩賞の選考がどのように行われたかをご報告いたします。
1. 選考委員の選出
選考委員の選出においては年齢層が偏らないように注意し、6名の応募者のそれぞれの研究分野に比較的近い人を含む研究者5名(男性3名、女性2名)に選考委員をお願いしました。そして、応募者の提出した申請書一式を選考委員に郵送し選考を依頼しました。
2. 選考委員会による選考の流れ
選考委員会では次の手順で選考が行われました。選考委員長より提出された文面をそのまま以下に掲載いたします。
<選考委員長よりの報告>
今回の対象者は50歳以上で、今回からその評価に研究以外の+αの要素(育児、介護、社会活動等を含む)が含まれることとなった。委員はこの+αをどう評価するかについて大いに戸惑った。特に今回から選考委員に男性が3人も入り、女性委員の意見が貴重であった。
「女性研究者をエンカレッジする活動をしていたかどうか」という点について、やはり研究成果がないと評価できない、という意見があった。また、女性研究者が是が非でも研究を継続させたいと思った背景にある「このテーマがなぜか好き、心魅かれる!」といった生命科学への情熱みたいなものが評価できれば、という提案があった。
このような全人的な評価は申請書だけでは評価できず、それぞれの選考委員の情報を共有するために、以後の投票などの過程をすべてオープンにした。
評価の第一段階は次のように行った。
各人が20点の持ち点の内で、15点を業績評価に使う。
後の5点はさらに評価すべき「全人的」な評価とする。
各選考委員の+αの内容について意見交換をした。この中に含めた評価事項として委員長,理事等の経験などが挙げられた。
このような各委員の意見をもとにさらに議論を重ねた。これを踏まえ最終評価の方法として、候補者への絶対評価ではなく、順位付けによるものとした。その理由は委員間の評点のばらつきを抑えるためである。集計の結果、上位2人が接戦であった。ここであえて一人に絞る必要があるか、という議論が上がり、それに対して委員全員が賛同した。上位2人の候補者が50代と60代を代表する研究者であるということも2人の受賞という提案をする理由であった。
このことをWPJ運営委員長に提案し賛同いただいたが、生理学会の上層部の賛同を得られず、一人に絞るための決選投票をおこなった。
3. 受賞者の決定
選考委員長より選考結果が報告され、WPJ運営委員会はそれを承認し、受賞者が決定されました。
以上が第4回入澤彩賞受賞者が決定されるまでの経緯です。選考委員および入澤彩賞に応募・推薦して下さった方々、その他関係者の方々に心よりお礼申し上げます。
H25年度WPJ運営委員長 少作隆子