理事長挨拶

日本生理学会会員の皆様へ

平成24年4月1日から、日本生理学会会長に就任しました東京慈恵会医科大学の栗原敏です。岡田泰伸前会長から会長職を引継ぐことになり身の引き締まる思いです。 岡田前会長は第36回国際生理学会世界大会(IUPS2009)の開催、学会の一般社団法人への移行、日本生理学会の国際化、アジア大洋州生理学連合(FAOPS)大会の日本への招致など、日本生理学会の活性化に多大な貢献をされました。会員一同感謝しています。 私はこのような岡田前会長の路線を引き継ぎ、新たな体制でより良い学会運営を目指したいと考えています。これまでは、会長と2名の副会長(財務担当、編集広報担当)が中心となって学会を運営してきました。しかし、解決しなくてはならない問題は山積しており、私は担当業務を明確にして6人の副会長で運営することを提案したところ、理事会(常任幹事会)と社員総会(総会)で同意が得られました。財務担当、情報担当、学術・研究担当、教育担当、国際化・集会担当、庶務担当の各副会長をおいて、それぞれの副会長の下に関連委員会を位置づけました。このような体制は、各副会長の連携が十分にとれてはじめて有機的かつ、効果的に機能しますので、今後、問題解決にあたってはそれぞれの副会長がお互いに意思の疎通を図ることが重要です。 各副会長の任命に当たっては、副会長が所属する大学などを考慮しました。また、会長直属の委員会として、将来計画委員会、生理学女性研究者の会運営委員会、男女共同参画推進委員会、賞選考委員会、入澤賞運営委員会、研究倫理委員会、利益相反(COI)委員会、若手の会委員会、選挙管理委員会、義援金配分委員会を設け、これらの委員会の任務をよく考えてその役割を担って頂きたいと考えました。特に、将来計画委員会は、今後の生理学会のあり方を考える上で、各副会長と連携を取りながら、学会の将来像を描いて頂きたいと思います。

(1)運営の基本的な方針 世界をリードする生理学研究を推進して、日本生理学会の活性化を図るという基本的な運営方針はこれまでと変わりません。生理学は生命科学のあらゆる分野に関係しており、関連学会と連携して生理学会の深化を図るとともに、生理学関連分野の方に生理学の魅力を伝えて、日本生理学会の裾野を広げることが極めて重要であると考えています。教育担当副会長が中心となり、モデル講義を中核とした生理学エデュケーター資格認定制度(仮称)が計画されており、様々な医療従事者の方々の参加を期待しています。日本生理学会の会員を増やすためには、魅力ある学会運営が求められることはいうまでもありません。これまでに蓄積した日本生理学会の知財を活用して、様々な企画を考え関連分野の方の参加、入会を促すことが必要です。会員の獲得は喫緊の課題です。 また、市民公開講座を開催するなど、一般市民の方に生理学を理解して頂くために、より一層努力することが必要となります。 社団法人日本生理学会と日本生理学会大会の運営との関係や、他学会との連携、あるいは合同大会開催などについては、学術・研究担当副会長を中心として考えていただくことになります。特に大会のプログラム編成では、日本生理学会が基幹としている企画を尊重して頂き、その上で各大会の魅力あるプログラムを作っていくことが基本だと考えています。他学会との合同大会開催や連携などは、熟慮した上で積極的に進めて頂きたいと思います。 これまで、2009年に開催された第36回国際生理学会世界大会(IUPS2009)開催を目標に、日本生理学会の国際化を図ってきました。今後も継続的に国際化に取り組んでいきます。また、地方会の開催の在り方も重要な課題です。これらの問題は、国際化・集会担当副会長に対応をお願いしています。特に、2019年に日本で開催されることが予定されている、アジア大洋州生理学連合(FAOPS)大会開催に向けた準備は、組織委員会が発足しており、IUPS2009の経験を活かして日本生理学会として対応していくことになります。その一環として、アジアにおける日本生理学会の役割を十分に認識して、韓国、中国生理学会との良好な関係の継続に努めていくことも重要な課題です。 日本生理学会の情報を学会員や社会に発信することは、学会活動の要といえます。情報担当副会長には、新しい情報を積極的に発信して頂くようお願いしております。 これらの活動には経費が必要です。これまでも日本生理学雑誌の隔月発行などで経費削減に努めてきましたが、会員数が減少している中で、会費収入に依存している学会の財務は厳しい状況です。財務担当副会長には、会員増と経費削減に向けて各副会長や会員委員会などと連携して、収支の改善に努めて頂きたいとお願いします。 これまで、会長が庶務担当の役割を担っていましたが、庶務担当副会長を置いて、副会長は事務局長として、全ての活動を注視して会長の補佐をお願いすることにしました。

(2)日本生理学会の事務管理体制 日本生理学会事務局は長い間、文京区本郷にあり、また、長年にわたりお一人の事務担当者に仕事をお願いしてきました。長年に亘る経験は、日本生理学会の円滑な運営に不可欠です。しかし、今後の事務局の在り方、継続性、経費などを考慮して、今年度から事務局を財団法人国際医学情報センター(新宿区信濃町)に移転することを決めました。移転に関しては多少の時間が必要ですが、事務業務が滞り、会員の皆様にご迷惑がかかることのないように準備しております。正式な移転が決まり次第、会員の皆様に可及的速やかにご連絡いたします。 また、事務所の移転に際してこれまでの資料の整理が必要となります。資料によってはデジタル化を図らなくてはならないものもあります。この資料の整理については、経験豊かなこれまでの事務担当の方に期間を限定してお願いすることになります。 今年度から、新体制で日本生理学会が運営されることになることをご理解頂きたいとお願いいたします。

日本生理学会理事長: 栗原 敏 (東京慈恵会医科大学)