生理学教育の振興のために…教育関連ページ“生理学教育ホットニュース”開設のお知らせ
1. 始めに
昨今の医学教育改革の大波は大学の設立母体を問わず、全国の全ての大学に何らかの改革を迫っていると言えましょう。日本生理学会の年次大会で2年前からモデル講義を開講し、多くの参加者に有益な情報を提供する試みを実施してきました。この度、医学教育の改革の中で、生理学教育を振興するための施策として、日本生理学会のトップページに教育関連記事やリンクを集めた“生理学教育ホットニュース”(http://physiology.jp/exec/page/kyoiku-hotnews/)を新設する事になったのでお知らせします。
2. 多様化する生理学教育技法
従来、日本生理学会の年次大会は、ややもすれば研究中心で、教育関係プログラムに魅力を感じて参加する会員は皆無であったと言えよう。この「研究重視の体質」から「教育にも配慮する体質」へ転換し、教育関係のプログラムだけで大会の3日間を参加出来るような学会運営への提言が平成10年に設置された将来計画委員会の第1回委員会で既に討論されていました(松尾理. 日本生理学会の改革. 日生誌2002 64(9): 175-178.)。しかし現実は遅々として進まず、2年前にようやくモデル講義を開講し、大好評を得たものの、第2日目の午後のプログラムだけとなっているのが年次大会の現状であります。
今やほとんどの大学で授業評価や教員の教育能力評価が問われています。その中で更に図1に示すように生理学教育技法が年々多様化しております。
図1 多様化する教育技法
これら新しい波(ヌーベルバーグ)に乗り遅れず、波の先端を走る生理学研究者兼教育者になって頂きたく、教育関係の最新情報を随時“生理学教育ホットニュース”にアップする事にしました。その内容は単に医学部での生理学教育だけに留まらず、ヘルスサイエンス系の学部(薬学部、看護学部、体育学部、医療系学部など)やライフサイエンス系学部(農学部、工学部、生物理工学部など)など幅広い分野で生理学教育に携わる多くの生理学担当教員に役立つ事を確信しています。
3. 生理学会会員の特典
生理学会会員は、本教育関連ページで公開している生理学教育や教育関係全般のホットニュースを見られますし、さらに上述のモデル講義のビデオを視聴出来るリンク先(http://www.psj-ki.umin.jp/)にアクセス出来ます。年次大会に参加出来なかった場合でも、ホットな授業風景をパワーポイントのハンドアウトを見ながらモデル講義を臨場感を持って視聴出来るのです。このURLにアクセスするためのID,パスワードは、生理学会会員にのみメールで配信していますので、学会に入会して頂くと共に、メールアドレスを学会事務局にお知らせ頂く必要があります。
モデル授業は、自分の専門分野以外の講義の際に大変参考になります。大会中でも会場が満席になり、企画運営する立場から嬉しい悲鳴を上げています。自分の専門分野でない所を如何に興味深く説明し、学生の関心を惹き付けるか等のポイントが分かるように工夫されています。授業評価に当たっても、魅力的な講義が出来る参考にして頂ければ、高い評価が得られることになりましょう。ID,パスワード不明の会員は学会事務局にお尋ね下さい。
4. 今後の予定
“生理学教育ホットニュース”には生理学教育が直面する問題や話題のみならず、医学教育全般についての動向、問題やそれらへの対応策等を分かり易く解説していきます。大体月に1度のペースで更新する予定ですが、会員諸氏から提言などがあれば、学会事務局を通じてお知らせ下さい。
本教育関連ページが会員諸氏の生理学教育能力の向上に役立ち、ひいては生理学会の発展に貢献する事を願って止みません。
平成19年1月吉日
松尾理
日本生理学会教育委員会委員長
国際生理学会教育委員会委員