平成23年日本生理学会第1回常任幹事会議事録

日時
平成23年3月27日(日)13:00~15:00
場所
東京慈恵会医科大学(高木会館5F B会議室)
出席者:岡田泰伸、川上順子、小西真人、吉村恵、久保義弘、多久和陽、松山清治、加藤總夫、上田陽一、前田正信、河合康明、福田敦夫、宇賀貴紀、佐久間康夫、柚崎通介、鯉淵典之、石川義弘、尾仲達史、水村和枝、大森治紀、高井章、矢田俊彦、狩野方伸、山本哲朗、岡村康司、関野祐子、蔵田潔、少作隆子、佐藤多加之、栗原敏、大橋俊夫、河合佳子、本間生夫
欠席者
田中潤也、倉智嘉久、丸中良典、八尾寛、佐々木和彦、御子柴克彦、小林誠、
小野克重、黒澤美枝子、松田博子、宮下保司

報告及び協議事項

1.会長挨拶 (岡田会長)

2011年3月11日に起きた東日本大震災によって亡くなられた多くの方に黙祷を捧げた。
続いて東日本大震災により大会が中止、JPS誌上開催になった事、学会の財政立て直しが必要である事、2019年のFAOPS大会開催国として応募しイランとの決選投票になった為、招致準備委員会の立ち上げが必要であることが話された。

2.庶務報告(岡田会長)

中馬一郎特別会員、武田守正評議員、名津井悌次郎評議員の御逝去に対して弔意が述べられた。
山田科学振興財団助成に2名の会員(野田、山田)を推薦したことを報告した。
岡田会長から、現在の会員数は2746名であり、この2、3年で会員数が減少しており、今後どうして行くかを考えていかなければならないとの話があった。

3.財務報告(川上財務幹事)

川上財務幹事から、平成22年度日本生理学会会計(4月1日から12月31日)の年度決算報告が行われた。丸中、八尾会計監事により、平成23年3月11日に監査が行われ、適正な会計処理が行われている事が報告された。常任幹事により決算案が承認された。
続いて、平成23年度会計の予算案が提出され、一部修正が必要となった為、決議は総会に持ち越された。
岡田会長から学会の財政立て直しのために、会費未納者に対して納入催促の強化を行っていくこと、そのための事務局体制の強化と大会開催事務サポート業務の一部を事務局が行うために大会参加費の約10%上積み化を次回から行う事が提案され、了承された。

4.編集・広報委員会報告(小西編集・広報幹事)

小西編集・広報幹事から、日本生理学雑誌を経費節減のため、隔月刊とすることを、編集委員会で検討していくことが報告された。
続いて、会員名簿と電子名簿およびメーリングリストの連動が完全でない為、これらを統合したシステムの構築を今後一年間やっていくとの報告がされた。

5.JPS編集委員会報告(佐久間委員長)

佐久間委員長から、Impact Factorが上がってきており、投稿数も増え、掲載論文の約50%が海外からであり国際化がかなり進んできている。またSpringerリンク ダウンロード数も年々増えてきているとの報告がされた。

6.次期会長候補推薦委員会報告(宮下委員長-代理岡田会長)

岡田会長から、平成22年12月19日に次期会長候補推薦委員会を開催、7名の委員により第一次候補者リストを基に3名の二次候補者を選出し、推薦書を平成22年12月末に岡田会長に提出したことが代理報告された。

7.選挙管理委員会報告(加藤委員長)

加藤委員長から、生理学会初の電子選挙の形で2月23日から3月2日にかけて次期会長最終候補者選出選挙が行われ、有効票の過半数を超える得票者がいなかった為、3月9日から3月23日決選投票を行った結果、次期会長最終候補者に栗原敏評議員を選出したことが報告された。また投票率が57.3%、決選投票では56.9%であった事が報告された。

8.会員委員会(吉村委員長)

吉村委員長より、特別会員選考の判断基準について次の4項目が提案され、承認された。1.極めて優れた生理学的研究成果を挙げたおおむね70歳以上の会員で、かつ以下の条件のいずれかを満たす会員。2.大会主催経歴有。3.常任幹事で委員長経歴有。
4.誰もが認める賞受賞歴有。
続いて平成23年度評議員候補者38名を推薦、承認された。
次回までに、サブ会員制度、地方会発表者会員化、学生会員申請法簡略化などを検討するとの報告がなされた。

9.教育委員会(鯉淵委員長)

鯉淵委員長より、今までは医学部の学部教育にウエイトをおいてきたが、今後はノンメディカルの方々へアンケートを取るなどの働きかけをする為にワーキンググループを作り行動をしていると報告があった。
生理学会大会での教育関連プログラムの在り方、教育に対する方針を見直してほしいとの提案があった。

10.学術・研究委員会(久保委員長)

久保委員長より、日本学術会議・機能医科学分科会世話人の三品昌美教授の要請に応えて、機能医科学分科会が作成を計画している「機能医科学の展望」に生理学会として盛り込むことを希望する内容に関する文書を提出したが、三品先生からの返答はまだないとの報告がされた。続いて3月28日生理・解剖学会合同大会において両学会学術研究委員会企画の研究費シンポジウム「次世代を担う若手研究者育成に適する研究費制度とは」を実施する予定であったが大会中止に伴いシンポジウムも中止となった。第89回信州大会では研究費関連のシンポジウムは休止としていたが、今回の大会中止により検討の余地があるとの説明がされた。

1月27日に松本にて開催された第89回大会の拡大プログラム委員会に久保委員長、加藤幹事が出席し、その時に大会における発表時および討論時の使用言語について話題となり、継続的に検討をしていくとの提案があり、第89回大会長 大橋先生から大会前に生理学会会員にアンケートを取り、企画シンポジウムを開催し会員の意向を聞いて将来の方向性を考えていかなければならない時期に来ているとの意見が出された。また、FAOPS2019招致の行方を踏まえての検討が必要であるとの意見も出された。

11.研究倫理委員会(蔵田委員長)

昨年12月の報告以降は大きな動きはない。また、昨年10月に動物愛護管理法の改定に向けた要望書を提出したが、まだ法が成立していないので成立した時点で日本生理学会として具体的に対応していくとの報告がされた。

12.利益相反委員会(蔵田委員長)

蔵田委員長より、委員会が立ち上がったとの報告がされた。

13.将来計画委員会(前田委員長)

前田委員長より、将来計画委員会では、次の検討が行われたことが報告された。
・教育委員会と共同で生理学アウトリーチ活動に取り組んでいく。
・連携可能な他学会との合同学会の開催が、日本生理学会の活性化の為には非常に重要であるとの意見が多く出ている。
・他国の生理学会との共同開催は急には無理なのでアジアの若い研究者を中心にtravel grantを充実させ、来日した研究者に日本の生理学研究室を見学してもらう事で交流を深める必要性があると意見が一致した。
・日本生理学大会の国際化に伴い、地方会は若手中心で行ってもらいたい。また若手の交流会をやってもらいたいとの意見が多く出された。
・若い生理学会員を増加させる問題が議論されたが結論は出ていない。この問題は非常に大きな問題である為、今後も継続協議を行う事になった。

14.賞選考委員会(松田委員長-代理岡田会長)

岡田会長から平成22年度 日本生理学会奨励賞、入澤宏・彩記念若手研究奨励賞を選考、受賞者は次のとおりと報告があった。
日本生理学会奨励賞:山下貴之氏
入澤宏・彩記念若手研究奨励賞:中條浩一氏、藤原祐一郎氏、大内仁氏、木場智史氏
また、入澤彩記念女性生理学者奨励賞(入澤彩賞)及び入澤宏・彩記念JPS優秀論文賞と同心臓・循環論文賞の受賞者に関する当該委員会による選出結果が報告された。
山田科学振興財団研究助成は2名までの推薦が出来るところ、3名の応募があった。財団の研究助成推薦の選考の場合は、賞選考委員会のメンバーに会長が加わるという規定により、今回は11名で投票を行った。その結果、野田百美氏、山田充彦氏 両名を推薦したとの報告がされた。

15. 入澤賞信託運営委員会(川上委員長)

川上委員長から、3月18日に第1回の会議を開き、委員会5名にオブザーバーとして小西副会長、虎ノ門総合法律事務所の後藤税理士に来て頂き、中央三井信託銀行の大澤様から「信託事業とはどういうものか」との説明があり、その中で公益信託での運営は難しいとのご意見をいただいた。今、一般信託での運営が可能か主務官庁である文部科学省に問い合わせ中であり、また税金はどうなるかを後藤税理士に確認していただいているところとの報告がされた。

16.生理学女性研究者の会運営委員会(少作委員長)

少作委員長から、第1回入澤彩賞の選考について説明があり、水村和枝評議員が受賞した事が報告された。また選考過程を説明する文章をWPJニュースレター及びWPJホームページに掲載する予定との説明がされた。
入澤彩賞の規定および細則について提案が出されたが、川上副会長より信託化を進めており、文部科学省からの返事が来ていないので、規定および細則の決定は待った方がよいとの意見が出された。

17.男女共同参画委員会報告(水村委員長)

水村委員長から、前回の常任幹事会で加藤總夫幹事、関野祐子幹事に委員になっていただいたが、その後さらに高松研評議員にも加わっていただくことになった。
今回の大会でワークショップ開催を予定していたが中止となった為、次回大会で開催しようと話し合い中である。
アドバイザー制を介した相談が1件あり、現在も相談中である。
アンケートは回収率が低かったため、締切を延長、継続中であるとの報告がされた。

18.法人化委員会報告(本間委員長)

本間委員長から、前回の報告時より変わりはない。公益法人化は様子を見ている状態である。評議員の法人におけるあり方、今回のようなマイナス予算では申請は困難であるとの報告がされた。

19.若手の会運営委員会(佐藤委員長)

佐藤委員長から、今回の大会で企画していたランチョンセミナー形式の若手の会のシンポジウムでスポンサーとしてマイクロブライトフィールドジャパン株式会社からの協力を得ることとなっていたが、誌上開催大会となったため、来年まわしとしていただくことになったとの報告があった。
3月中に予定をしていたサイエンスカフェは会場の都合で急遽中止となった。
夏までに開催を予定している「若手研究者フォーラム」と共に、今回の震災に伴う停電等の関係もあるので5・6月に開催することも考えているとの報告がされた。

20.日本医学会評議員会報告(加藤委員)

加藤委員から、2011年2月23日に開催された第78回日本医学会定例評議員会について次の内容が報告された。
第28回日本医学会総会において日本生理学会は8つの共同企画セッションを計画提供していたが、今回の震災により集会は中止、WEB開催となった。
日本医学会加盟学会に対して、日本医学会・医学研究のCOI(conflict of interest
:利益相反)マネージメントに関するガイドライン案が配布され、おそらく採決
される見通しである。
日本生理学会の大会発表、雑誌発表においてCOIを明確にしていく必要があると日本医学会評議員会でも話題になった。

21.アジア大洋州生理科学連合(FAOPS)報告(岡田会長)

岡田会長から、第7回FAOPS大会のThird Announcementが大会Webに掲載されていること、前回の常任幹事会の決定に基づき第9回FAOPS大会(2019年)開催候補地に、日本生理学会大会との合同開催を条件に応募、9月11日にイランと決選投票になることになったとの説明がされた。
FAOPS招致準備委員会の立ち上げが提案された。招致準備委員会には、2019年度日本生理学会大会の大会長も兼ねた組織委員長と開催都市の選出、Proposal冊子の作成、General Assemblyでのプレゼンを担当していただくとの説明があり、栗原敏先生、鯉淵典之先生、岡村康司先生、富永真琴先生、三谷昌平先生、鍋倉淳一先生が選出された。

22.第88回日本生理学会大会報告(栗原大会長代表)

栗原大会長代表より、第88回日本生理学会大会・第116回日本解剖学会総会 全国学術集会 合同大会について、今回の震災により「会員の安全確保」「会場までのアクセスの問題」「停電・節電」「他学会の動向」「原発の問題」「余震が続いている」事を考慮し、解剖学会との協議の結果、パシフィコ横浜での会場開催は中止、JPS誌上発表という形になったとの説明があった。
また今回の事前登録数は、生理学会は1,210名、解剖学会は998名、合計2,208名であった事が報告された。
大会プログラム委員長の加藤先生より、事前登録者にプログラムは発送済み、JPS抄録集は編集が済んでおり、また4月上旬にはWEBで抄録の検索ができるようになるとの報告がされた。

23.第89回日本生理学会大会の準備状況報告(大橋大会長)

大橋大会長より、平成24年3月29日(木)-31日(土)長野県松本文化会館を中心に松本市総合体育館、信州大学松本キャンパスの3会場で開催。4月1日(日)には松本文化会館で市民講座を開催するとの報告がされた。

24.第90回日本生理学会大会の準備状況報告(石川大会長)

石川大会長より、日程は平成25年3月27日(水)―29日(金)の3日間を開催予定、会場は横浜あるいは東京都内を予定しているとの報告がされた。

25.その他

平成22年12月11日(土)開催の平成22年度第2回常任幹事会議事録が承認された。
平成23年度予算案を収益の部①受取会費(¥24,950,000→¥27,950,000)、支出の部①事業費JPS出版代、Supplements代のうちSupplements代は大会から支出(¥19,830,000→¥17,830,000)、当期経常増減額‐¥5,420,142→‐¥420,142へ修正、承認された。