平成12年度 第1回常任幹事会の報告、討議より

平成12年3月26日(第77回日本生理学会大会前日)に平成12年度第一回常任幹事会が慶應義塾大学医学部(信濃町キャンパス)で開催されました。常任幹事の一人としてこの会に出席しましたので、 幹事会での報告、議論、決定された内容のうち、会員諸氏に関心が高いと思われる項目を速報として、簡単に紹介します。詳しい議事録は後日、日本生理学会誌に掲載されます。

会費の値上げについて

平成13年度から一般会員会費を8,000円から10,000円に値上げすることが決定されました。これは、将来計画委員会や若手研究者の会の発足、日本生理学会奨励賞の設置、IUPSの招致検討などの学会活動の活発化に対応するための措置であります。また、在学中の学生は会費が5,000円から3,000円に値下げされます。臨時会員会費は平成12年度から廃止することになりました。これらの措置は、生理学会大会や地方会での共同研究の発表を促し、さらに若手の入会を促進するためであります。一般会費収入は600万円程の増収になりますが、臨時会員会費の撤廃と学生会員会費の値下げにより、184万円程の減収となりますので、全体としての増収分は約416万円となりますが、当面の財政上の危機は乗り越えられるとの判断に拠るものです。
なお、学生会員とは学部、大学院に在学する会員ですが、研究生の取扱については今後検討されることになりました。

JJP編集委員会からの報告

入沢賞が、重本論文(49(6):527-539)、水野論文(49(2):145-158)の2編に決定されました。
2000年、第50巻、1号から国際編集顧問 (International EditorialAdvisers) 9名が選出されました。9名の氏名等はJJPに掲載されますので省略します。また、査読協力者 (Editorial Board) も導入され、これまでの編集委員会を Associate Editors と呼称することになりました。
環境生理領域の編集委員が1名増員されました。この増員により、Exercise生理領域(運動生理、スポーツ生理、体力生理)の論文に対応することになります。
オンラインテキスト化が計画されています。4月から50巻1号の全論文をnacsisのアドレスで試験的に無料公開される予定です。

会則委員会からの報告

上述のように、年会費が改訂され、臨時会員制度が廃止されたことに伴う会則変更が承認されました。また、評議員の選考基準内規が改定されました。これは、現行では会員としての在籍期間の表現が曖昧であったものを明確化し、さらに、最近の生理学研究領域の多様性に対応させ、評議員を積極的に推薦し生理学会の活性化を促進するための措置であります。
科学研究費補助金審査委員の選出方法も改定されました。最近の科研費審査システムの変更に伴い、これに対処すべく文言が改定されました。いわゆる委員のリフラクトリィ・ペリオドが4年から2年に短縮された以外は実質的には何ら変わるところはありません。
前年からの継続審議として、常任幹事の特別枠について討論されましたが、結論に至りませんでした。しかし、日本生理学会会則の附則のうち、常任幹事会に関する事項にある、「任期は3年とし重任を妨げない」を3専任幹事で検討することになりました。
統一した地方会会則の要望については、必要なら各地方会で独自の会則を作ることとしました。

動物実験に関する委員会からの報告

現在、生理学領域における動物実験指針を改定し、生理学会としての一応の成案を得ているが、会員がオーバーラップする神経科学会と調整中であると報告されました。

国際生理科学連合(IUPS)関連について

IUPS世界大会開催地決定に関する IUPS Constitution とBy-Laws の変更について説明されました。主な変更点は、委員の任期で、従来1期4年で3期まででしたが、これが1期4年で2期までになることと、開催地決定のプロセスで、具体的には2001年の総会で2009年(8年後)の開催地が3 ケ所選ばれ、2003年(2年後)に開催地に地域的偏りのないように配慮されて1ケ所に絞り込まれ、さらに2005年(4年後)のIUPS総会年で正式決定されるというものであります。この変更が承認されました。また、IUPS招致準備のためのワーキンググループの設置が承認されました。
2002年にMalaysia の Kuala Lumpur で FAOPS Congress が開催予定されています。

賞選考委員会からの報告

次の5名の受賞者が決定されました。神谷温之(群馬大・医・第2生理)、佐藤容子(東京医科歯科大学大学院・認知行動医学・脳行動病態学)、飛田秀樹(名古屋市大・医・第2生理)、松井広(東京大学大学院人文社会系心理学)、美津島大(横浜市大・医・第2生理)。平成12年における申請の締め切りは10月末、年齢は平成12月12月末で37歳以下となりました。

第78回日本生理学会大会について

京都大学が当番校となり、平成13年3月29日(木)、30日(金)、31日(土)に京都市にあります同志社大学新町キャンパスで開催されます。演題締め切りは平成12年11月4日(土)必着です。口演かポスターの選択はプログラム委員会が決定するそうです。

第79回日本生理学会大会

広島大学の瀬山教授らが当番幹事として開催される運びになりました。

(編集委員 中島祥夫 記)