平成12年度 第2回常任幹事会速報

12月2日に日本生理学会の常任幹事会が開催されました。会議の主な結果をニュースとしてお知らせいたします。日本生理学雑誌(日生誌)の編集委員が書いた記事と してお読み下さい。正式な議事録は、後日、日生誌に掲載されます。

主な審議事項

  • 国際生理科学連合(IUPS)大会の招致について  2009年IUPS大会を日本に招致することについて検討委員会が組織され、すでに本年の8月11日(第1回)と10月20日(第2回)に開催されています。2回の検討委員会での意見や検討事項が紹介され、それに基づき今回の幹事会でも活発な議論がなされました。
    IUPSを招致する場合は、2001年8月のIUPS総会で開催地として立候補することを表明しますが、その前段階として2001年2月15日までに提案書を事務局宛提出することが必要になります。招致することのメリットとデメリット、招致する場合の生理学会の企画力や実行力などについての多くの意見が出されましたが、招致検討委員会の「招致する方向で考える」という結論、および第5回将来計画委員会(7月19~20日開催)の招致への賛成意見をふまえ、2009年IUPS大会の開催地として立候補することが決まりました。
    IUPS大会の開催のためには、日本生理学会の年次大会を中心とした活動のより一層の活性化が不可欠であり、そのためには現在すでに将来計画委員会等から提案されている学会活性化の試みを速やかに実施し、成果をあげることが急務との意見がありました。さらに、招致が決まったとき、実際の担当の主体になる世代の意見を聞くことが必要との指摘があり、その具体的な方策を今後検討することになりました。

    学術(または)研究委員会(仮称)の設置について

    (1)年次大会などの学術集会の充実、活性化、(2)研究費、とくに科学研究費の制度の検討を目的として、上記の委員会の設置が本郷庶務幹事より提案され、了承されました。
    この委員会では年次大会の企画(プログラム作成等)に関して当番校への支援、他学会

  • 関連領域研究者との交流および若手研究者の参入促進に寄与する企画の検討や実施、大会開催地の検討、研究費、とくに科学研究費の制度・運営の適正化に関する検討等を行う予定です。さらに当番校への財政的援助、他の学会との共同開催、学会としての年次大会の方針の一貫性、学会提案の企画の実施等についても検討事項として提案されました。
    当該委員会は、これまでの研究費委員会を改組し、新たな委員を加えて構成され、 科研費と新規職務を併せて担当することが了承されました。また、委員長として小澤瀞司研究費委員会委員長が担当することとなりました。
  • 常任幹事の任期について

    常任幹事の若返りを推進するため、常任幹事の任期制限を導入することが検討されました。将来検討委員会案を含め複数の具体案が提示され、次回の改選時期までに結論を得るべく今後継続して審議することとなりました。

    ad hoc 委員会の設置について

    生理学会として緊急に対処すべき課題が発生した場合、庶務幹事はad hoc 委員会を組織して問題処理に当たることが認められました。

    JJP編集委員と倫理規定について

    環境生理研究領域における編集委員(Exercise生理領域)を1名増員することと し、信州大学医学部の能勢博教授が推薦され、了承されました。また、JJPのヒト倫理規定に関するInstructions to Authorsの一部改定について提案され、了承されました。

    日本生理学雑誌について)

    印刷所が変更されること、それに伴い表紙のデザイン、レイアウトを2001年1月号より刷新されることが報告されました。さらに学会ホームページのあり方やその内容を検討する小委員会を日生誌編集委員会の下に、入来篤史編集執行委員を委員長として設置することが提案され、了承されました。
    また、長年にわたって日生誌の製作に当たられた鶴岡印刷に対し感謝状を贈呈することが全会一致で承認されました。

    非会員外国人の大会発表について

    国外に居住する外国人に限り、評議員の推薦があれば非会員でも年次大会で演題を発表することができることになりました。

    特別会員の推薦について

    広島大学歯学部名誉教授の菅野義信先生を特別会員として総会に推薦することが了承されました。

    第80回大会(平成15年)の開催候補地について

    北九州地区4大学の協力の下に福岡大学が当番を引き受けてよいとの申し出があったと報告され、次回に決定することになりました。

主な報告事項

  • 環境庁で第9次鳥獣保護事業計画の基準が策定されつつあります。これに関して、 サルなどの動物実験の重要性や環境問題、動物倫理に関する学会の取り組みについて理解を求める意見書を日本生理学会から環境庁自然保護局に提出したことが報告されました。
  • 教育委員会より、12月2日に開催された「医学における教育プログラム研究開発シンポジウム」について報告がありました。これに関連して現在全国の大学に配布されている医学教育モデル・コア・カリキュラム(試案)のアンケートについて活発な論議がなされました。提案されたコアカリキュラムの内容は、学問としての医学教育、特に基礎医学教育の視点を欠くものであるとの発言が続き、他の基礎医学関連の学会とも連携して集約された意見を関係機関に提出することが討議されました。今後、この問題について学会としても何らかの方策で対応して行くことになる予定です。
  • 将来計画委員会より前述の第5回委員会におけるIUPSの招致、生理学の現状と展望に関する調査アンケートの分析、生理学の教育、生理研連、若手の活動等に関する討論の内容が報告されました。いずれも学会の活性化に重要な事項であり、いろいろな委員会や幹事会でさらに議論が深められることになると思われます。以上

(日生誌編集委員 工藤典雄 記)