Cdk5 regulatory subunit-associated protein 1-like1(CDKAL1)はリジンtRNAの37塩基目をチオメチル化修飾する酵素をコードします。CDKAL1の機能低下は2型糖尿病の発症リスクを高めることと慢性腎臓病進行に関連することが報告されていましたが、CDKAL1の機能不全に伴う慢性腎臓病の発症機構は未解明でした。
我々は初めに、全身Cdkal1欠損マウスを作出し、加齢や腎臓への負荷後に腎機能が低下することを確認しました。腎ポドサイト特異的Cdkal1欠損マウスも同様に腎臓機能低下を示し、この結果より、Cdkal1欠損は2型糖尿病と独立して腎機能障害を促進することが判明しました。マウスCdkal1欠損培養ポドサイトでは、リジン翻訳効率が低下しており、ポドサイト機能障害(遊走能の低下、濾過障壁障害)が見られました。さらに我々はポドサイトのスリット膜構成タンパクである「CD2AP」が高いリジン含有率を有することに着目し、Cdkal1欠損培養ポドサイトにCd2apを過剰発現させた結果、ポドサイト機能障害の回復を認めました。以上から、CDKAL1の機能低下は、ポドサイトにおけるリジンを多く含むタンパク質の翻訳を選択的に減少させることによりポドサイト機能を低下させ、その結果、腎機能の低下を引き起こすことが示されました。
論文タイトル
CDKAL1 dysfunction impairs lysine codon translation in podocytes and accelerates chronic kidney disease
全著者名
Hiroko Nagata, Yu Nagayoshi, Takeshi Chujo, Hitomi Kaneko, Kayo Nishiguchi,
Yutaka Kakizoe, Hiroko Ijima, Korin Sakakida, Takeshi Masuda, Sumio Ohtsuki,
Fan-Yan Wei, Yukie Takahashi, Takaichi Fukuda, Hideaki Jinnouchi, Yuki Adachi,
Ryosuke Yamamura, Koki Matsushita, Masataka Adachi, Hideki Yokoi, Kimitoshi Nakamura,
Hitoshi Nakazato, and Kazuhito Tomizawa.
雑誌名The European Molecular Biology Organization (EMBO) Journal 45 (9): 3206-3229, 2026.

<図の説明>
(A)tRNALysUUUの二次構造とms2t6A(2-メチルチオ-N6-スレオニルカルバモイルアデノシン)修飾。CDKAL1により37塩基目のt6A(N6-スレオニルカルバモイルアデノシン)がチオメチル化修飾を受けms2t6Aとなる。
(B)CDKAL1を失うことで腎機能障害を来たすメカニズム。
























