日本生理学会誌 第78巻4号

CONTENTS

表紙の説明

大会名:第93 回日本生理学会大会

演題番号:3P-112

演題名:コレラ菌副毒素はアノクタミン6(TMEM16F)Cl −チャネルを活性化する

演題名(英語):Accessory cholera enterotoxin activates anoctamin 6(TMEM16F)Cl − channels

演者:林美樹夫1,Hoque Kazi Mirajul2,松田博子1

所属:1 関西医科大学医学部生理学第一講座,2Pathophysiology Division, National Institute of Cholera & Enteric Diseases, Kolkata, India

説明(キャプション):

コレラ菌副毒素は下痢の原因とされているが,細胞内機序は明らかにされていない.我々は,パッチクランプ法を用いてコレラ菌副毒素が活性化するCl−チャネルの同定を試みた.

A:アノクタミン1-mCherry 融合タンパク質とアノクタミン6-EGFP 融合タンパク質を共発現させたHEK293 細胞の共焦点顕微鏡画像.赤色蛍光(mCherry)を検出.核は青色で示す.バーは20μm.

B:同じ標本において,緑色蛍光(EGFP)を検出.

C:A とB を重ね合わせた画像.

D:共発現細胞における全細胞電流―電位関係.コレラ菌副毒素(Ace)は電流を増加させた.その後,細胞外液のCl イオンをグルタミン酸(glu)に置換すると,逆転電位が約+60mV 移動した.再び,細胞外液をCl イオンに置換し,Ca イオノフォア(A23187)を投与すると電流は増加した.

E:膜電位が+59mV における電流密度の比較.コレラ菌副毒素はアノクタミン6 発現細胞(Ano6),またはアノクタミン1 および6 共発現細胞(Ano1&6)において電流密度を増加させた(6‒16 例).

以上より,アノクタミン6 はコレラ菌副毒素による腸液分泌に関与することが示唆された.

 

利益相反の有無:無し